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糖尿病のインスリン治療
薬による糖尿病治療には、基本的に飲み薬と注射の2種類があります。血糖値の状態によって、インスリン注射療法を始めるように指示されます。
インスリン療法は誤解されている部分が多いので、インスリンの働きなども理解し正しい判断ができるようにしましょう。
インスリンの働き
インスリンが出ない身体は、ガソリンが調整できずエンジンが不調になった車のようなものです。
人体はよく精巧な機械と表現されますが、高度で複雑な仕組みの身体を機能させるにはインスリンが欠かせません。
インスリンの役割は人間にとっての燃料
人間のすい臓から分泌されるインスリンは、血糖をコントロールしてくれるホルモンです。血糖と呼ばれる血液中のブドウ糖は、全身の細胞に運ばれて身体を動かすエネルギーになります。
脳や筋肉、内臓が働くのは糖をエネルギーとして消費しているからです。ガソリンがないと車が走れないように、人間の身体もブドウ糖がないと動くことができません。
人体は常にインスリンで変動しているブドウ糖を調節しています。ブドウ糖が足りないと低血糖になり、多すぎると高血糖になります。
高血糖はインスリンに問題があるせい?
インスリンは各細胞のドアを開ける鍵の役目があります。インスリンに問題がなければ、食事やストレスで一時的に糖が増えても、余った分は細胞内に取り込んで処理することができます。
ところが、このインスリンに不具合が生じると、細胞のドアを開けることができなくなります。結果として血液の中に糖が溢れ血糖値が上がります。高血糖が続くといつ糖尿病になってもおかしくありません。
インスリン抵抗性と分泌不足
インスリンに問題が生じると血糖値が高くなり、糖尿病を発症します。インスリンの不具合はインスリン抵抗性(働きが悪い)と分泌不足(量が足りない)の2種類です。
糖尿病1型はインスリン抵抗性と分泌に問題がある状態ですので、早急にインスリンを補う必要があります。
糖尿病のインスリン治療のタイミング
糖尿病予備軍や糖尿病になりインスリンに問題が発見されると、まずは生活習慣を改善するために指導が行われます。血糖コントロールに成功すれば、薬を飲まずに治療することも可能です。
インスリン治療は治療の第3ステップ
糖尿病の対策を3ヶ月続けても空腹時血糖値が140mg/dl以下にならない場合、薬物治療を始める目安になります。
最初は飲み薬からスタートし、それでもダメならインスリン注射が行われるのが一般的です。生活指導は第1ステップ、飲み薬は第2ステップ、注射治療は第3ステップです。
インスリン注射療法が行われるタイミング
インスリン製剤を注射するよう指示されるタイミングには、「必ず必要な場合」と「使用が望ましい場合」の2パターンあります。
インスリン注射が欠かせないのは
血糖値の状態によっては、患者の意思に関わらず治療を始めなければならないこともあります。
- インスリン分泌量がほぼゼロ。生きるためにインスリンの補充が必須。
- 高血糖~昏睡状態の時
- 合併症の肝臓、腎臓の障害が重症化した時
- 重い感染症に感染した時
- 深刻な外傷を負っている時
- 中程度以上の外科手術を行う時
- 糖尿病合併妊婦や妊娠糖尿病患者
インスリン注射が望ましい場合
- 「インスリン注射を打った方が治療上プラスになる」と医師が判断した時は、インスリン治療を提案されます。
- インスリンの分泌量が十分ではない状況が続いている時
- 経口薬でも血糖値をコントロールできない時
- 栄養状態が悪い痩せ型の患者さん
- 緩徐進行1型糖尿病患者さん(半年~数年かけてゆっくりインスリンの分泌量が減っていくタイプ)
インスリン治療を早く始めるメリット
医師にインスリン治療を提案されると、ほとんどの患者さんが動揺してしまいます。注射治療が嫌でそのまま病院に来なくなってしまうケースもあるようです。
医師にインスリン療法を勧められたら、「今の自分に必要なこと」だと認識し、前向きに受け入れることが大切です。
インスリン治療を提案されると重度?
糖尿病は段階を追って進行するので、治療も段階を踏むのが一般的です。そのため、お医者さんからインスリン治療を提案された患者さんは「ついに重度の糖尿病になってしまった」とショックを受けてしまうようです。
確かにインスリン治療の話が出るということは、飲み薬では血糖値の上昇を抑え切れなくなっていることを意味します。しかし「インスリン治療=重度の症状」というのは間違っている認識です。
確かに注射は一昔前まで末期段階で選択される治療法でした。ただ、現在は重症化する前に始める早期インスリン療法が行われるようになっています。
早期にインスリン療法を始める効果
早めにインスリン治療をスタートするのはデメリットよりメリットが多いためです。疲れたすい臓も、インスリン製剤を与えられている間は休ませることができ、分泌機能が回復する可能性があります。
強引に働かせ疲弊した状態で注射を打つより、余力があるうちにインスリン治療を始めることで、完全に枯渇するのを予防し、復活の猶予を与えることができます。
また、早期インスリン療法は糖毒性を取り除く効果もあります。一旦高血糖になると、インスリンの分泌や機能に不具合が生じ、そのまま改善できるにいると糖毒性という高血糖が更なる高血糖を呼ぶ悪循環に陥ってしまいます。
こうなると糖尿病は急速に進行しますので、インスリン製剤を使って強制的にすい臓を休ませなければいけません。
インスリン療法で使う注射の種類は多い
インスリン療法に使われる注射薬には多くの種類があります。具体的なインスリン治療の方法は患者さんの条件で異なるため、それぞれに合う方法が選択されます。
インスリンの種類や単位は医師の指示に従う
インスリン製剤の単位(量)や打つ回数は、血糖値の自己測定を行いながら10日から2週間に1度通院して状態を見ながら調整していきます。
食事のタイミングで1日3回打つタイプが大半を占め、血糖値の状態や薬の種類によって1日1回~1週間に1回で良い新薬もあれば、毎日何回も打たなければならない注射もあります。
血糖値を下げる注射薬は大きく分け2種類
糖尿病患者さんに処方される注射薬は基本2種類です。よく知られているのは、インスリンそのものを出しやすくするインスリン製剤で、体内での分泌を促すGLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬という比較的新しい薬を打つよう言われることもあります。
6種類のインスリン注射薬
すい臓から出るインスリンは、1日中ほぼ一定量が分泌される「基礎分泌」と血糖値の上昇に応じて分泌される「追加分泌」の2つのパターンが組み合わされています。
インスリン製剤もこの分泌パターンを再現するために開発され、作用の仕方によって6種類に大別されます。
- 超速攻型インスリン製剤(追加分泌を補うため、食事に合わせて注射。すぐ効く代わりに作用も短い)
- 速攻型インスリン製剤(追加分泌を補うため、食事に合わせて注射。30分で効く)
- 中間型インスリン製剤(基礎分泌を補うため、定時に注射。ゆっくり効き始め効果がほぼ1日続く)
- 特攻型インスリン製剤(基礎分泌を補うため、定時に注射。ピークがなく、1日安定した効果)
- 混合型インスリン製剤(追加分泌と基礎分泌を補うため、食事に合わせて注射する混合タイプ。)
- 配合溶解インスリン製剤(追加分泌と基礎分泌を補うため、食事に合わせて注射する混合タイプ)
インスリン治療の費用が高い!注射生活になって後悔すること
インスリン製剤は優秀で、人間のインスリン分泌パターンをかなり忠実に追うことができます。
近年、早期インスリン治療のメリットに注目が集まっていますが、やはり患者さんの本音は「できるだけ注射は打ちたくない!」です。あまり表に出てこない注射療法のつらい部分が存在しています。
インスリン治療が始まると医療費は6~7倍
糖尿病はとてもお金がかかる病気です。健康保険は適用されますが、全額ではありません。通院回数が多く通院年月も長くなるので、トータル費用で大変なことになります。
しかも治療がステップアップする度に医療費も高くなるので、インスリン治療が始まると月々の病院代は受診のみの期間に比べ6~7倍高くなることも珍しくありません。
~通院1回にかかるお金のモデルケース(3割負担の場合)~
- 受診のみ→ 約2,000円
- 受診+飲み薬1種類 → 約3,900円(2種類4,000円、3種類4,800円~)
- 受診+飲み薬+インスリン療法+血糖自己測定(月60回以上) → 約12,000円
- 受診+飲み薬+GLP-1受容体作動薬+血糖自己測定(月60回以上) → 約14,000円
自己測定の保険適用は1日2回まで!センサー代の補助もゼロ
注射療法に欠かせない血糖値の自己測定に保険が適用されるのは1日2回までで、センサーなど消耗品代に至っては完全に保険が適用されません。
しかも測定器のメーカーは患者さんが自由に選ぶことができません。つまり、「安いエイコンがいいな」と思っても病院から支給される測定器は決まっています。
病院ではなぜか消耗品代が高いメーカーが流通しているので、センサー代が業界最安値の当社と併用している患者さんも少なくありません。
糖尿病患者を苦しめるインスリンの副作用
インスリン注射は副作用を伴う治療法です。血糖値が下がり過ぎ低血糖になると様々な症状が現れます。
低血糖はインスリン治療最大の副作用
インスリン注射でインスリンの働きを補っても、最高のタイミングで効かせることができないことも多々あります。
注射治療を受けている患者さんは、血糖値が下がりすぎる低血糖の症状に用心しなければなりません。
頭痛、だるい、あくびが出て目がかすむ…などの症状を放置しておくと、顔面が蒼白になり指が震えて痙攣も起こし、そのまま昏睡状態に陥ってしまうことがあります。
この副作用は注射治療に限らず、飲み薬にも言えることですが、特に注射は気をつけなくてはいけません。
低血糖の症状で転職を余儀なくされるケース
低血糖の症状が仕事中に起きて大事故の原因になることもあります。インスリン注射を始めても車の運転が禁止されるわけではありませんが、乗り物の運転手や運転機会が多い外回りの営業といったお仕事だと結局自主的に転職するケースも少なくありません。
発作が起きた時、自分や他人を傷つける恐れがある業務は厳しくなります。また、薬をもらうため平日の通院が必要になるため、午前半休を取りやすい仕事に転職するケースもあります。
不本意な転職のせいで収入が激減することも「インスリン治療のあるある」の1つです。
~就職が難しい職業~
- 公共交通機関の運転手
- 飛行機のパイロット
- 高所での作業を伴う職業
- 潜水士
糖尿病で人生が激変する場合もあります
インスリン療法に強い不満を感じ、「生活指導や投薬治療の時点で、もっと頑張れば良かった」と後悔する患者さんが後を絶ちません。
インスリンを打つところを見られたくない
食事のタイミングで打つインスリン注射薬も多く「人前で注射を出したくない、打ちたくない」とストレスを感じるケースもあります。
「外食の度に個室のお店を選ぶので食事代が高くつく」という不満もよく耳にします。また、人の視線を避けるために外出先のトイレで注射を打つ方もいますが、公衆トイレは衛生面が気になるところも多く、「どっちにしても落ち着かない」という状況になってしまいます。
たった3分の診察に待ち時間2時間
インスリン治療は薬の種類や量を微調整しなければならないので、どうしても通院回数が多くなります。
最低でも月に1回通院することになり、条件によっては1週間から2週間に1度のハイペースで通わなければならないこともあります。しかも、たった2~3分の診察時間のために待ち時間が2時間以上かかる病院も珍しくありません。
ストレスを溜め込みやすい方は病院の待ち時間でイライラしないよう気をつけなくてはいけません。
インスリン注射で旅行に行きにくくなる
インスリンの注射治療を行なっていると、様々注意する必要が出てきます。旅先で規則正しく糖尿病患者向けの食事を食べるのも難しくなります。
飛行機を使って旅行する場合、問題になる可能性があるのはインスリン。機内持ち込みは基本可能です。海外の場合は飛行機の手荷物検査でひっかかり説明に手間取ることもあります。
中国の航空会社でインスリンの針が没収されてしまった事件も過去にありました。念のため手荷物とトランクの両方に予備の針を入れておいた方が安心です。
インスリン治療を回避する具体策
インスリン治療を先延ばしできる具体策として効果的な血糖コントロール対策が、血糖値の自己測定と食事制限、運動です。
糖尿病のインスリン治療は一生続く?
「インスリン治療を始めると一生継続しなければならない」と一般的に思われていますが、そうではありません。
2型なら血糖コントロールに成功し、すい臓の機能が正常に機能したら飲み薬に戻すことは可能です。血糖値が高くなっても良好な数値をキープできれば、注射治療を受けずに済みます。
お医者さんに早期インスリン療法を提案されないよう、早い段階で自主的に糖尿病対策に取り組むことが重要です。
投薬前から血糖値の自己測定を始める
早い段階で血糖値の自己測定を始めることも、血糖コントロールの大事な対策の1つです。NHKでも血糖値の自己測定は「食事、運動、薬に続く第4の治療法」として提案されています。
ダイエットでも現在の体重を知らなければ、どれだけ減量すれば良いのか分かりません。年に1度の検査では、食後高血糖を見つけることはできません。
最近は血糖値を測定できる薬局もあります。でも、一番血糖値が上がる夕食後後はお店が閉まっている時間。最初はとにかくこまめに測定し、数値の変動を細かく把握することが大切です。
食事制限のストレスはサプリで軽減
食事制限でストレスに感じるほどの計画を立てるのは禁物。ストレスもインスリンの効きを低下させてしまいます。
当社が扱っているサプリの中には、糖尿病対策に効くものが10種類以上揃っています。例えば、食後高血糖の上昇をブロックする効果があるのは、食欲を抑える働きもある「ドクターズチョイス フェーズ2プラス」。
「マイタケオール」には、インスリン抵抗性を改善する特許成分が入っています。サプリの力を上手に利用し食事制限のストレスを解消できます。
運動するとインスリンが出やすくなる
運動も糖尿病の予防や改善に欠かせない大切な要素です。身体をしっかり動かすとインスリンも出やすくなります。週に3日程度のウォーキングやジョギングを習慣にしましょう。
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