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食後の眠気は糖尿病の可能性あり?原因と解消法

糖尿病と眠気に関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 食後に異様に眠くなるのですが、糖尿病でしょうか?
A. 糖尿病の可能性もありますが、他にも眠くなる要因はありますので、一概にはいえません。

この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

 

食後に強い眠気に襲われる…これは糖尿病?

「食後に異常な眠気を感じる」
「こんなに眠いのは病気だからじゃないだろうか…」

このような理由から、食後の眠気が原因で自分が糖尿病になってしまったのではないか、と心配している人も多いのではないでしょうか。確かに糖尿病にも同じように眠くなる症状がありますので、その可能性もあります。

ですが、糖尿病でなくとも眠くなる原因は数多くあり、それだけでは一概にはいえません。参考までに、以下の症状に当てはまる場合は、糖尿病の可能性がでてきます。

  • のどが頻繁に乾く
  • 40歳以上である
  • 疲れやすい
  • 肥満体である
  • トイレの回数が多い

当てはまらない場合、どちらともいえない場合は、他の要因で眠くなっている可能性もあります。いったいどのような原因があるのでしょうか。

糖尿病と眠気の関連性

そもそも糖尿病と眠気の関連性はどうなっているのでしょうか?糖尿病とは、簡単にいうと血糖値が高くなってしまう病気です。食後は誰でも血糖値が上がりますので、眠気を感じるのはおかしいことではありません。ですが、血糖値が高いと通常よりも眠気を感じやすくなります。

食事によって上がった血糖値は、正常な人だと2時間程度で下がりますので、それに合わせて眠気もおさまってきます。ですが、2時間以上経っても眠気がおさまらなかったり、一日中眠かったりという人は糖尿病を疑わなくてはいけません。そのままにしておくと、車の運転などに支障をきたす場合もあり、危険が伴います。早めに病院に行き検査をしてもらいましょう。

血糖値が上がると眠くなる理由

血糖値が上がると眠くなるというのは、どういうことなのでしょうか?それには、オレキシンという物質が関係しているのです。オレキシンとは神経ペプチドの一種で、食欲に関連しており、睡眠や覚醒を制御する働きがあります。オレキシンが活動しているときは、人は覚醒状態になりますが、動きがなくなってくると眠くなってきます。

オレキシンがどういう条件で動きだしたり、止まったりするのかについて、関係しているのは血糖値です。人が空腹になってきて血糖値が下がってくると、オレキシンを作動させるニューロンが反応し、オレキシンの活動を促します。活動が活発になってくると、食物を摂取するために人は覚醒状態になります。

そして、空腹が満たされると血糖値が上がりますので、ニューロンの動きも次第におさまってきて、オレキシンは動きを低下させます。その結果、人は眠くなってきますので、食後は眠くなるという状態になるのです。

炭水化物を摂ると眠くなる

三大栄養素のひとつである炭水化物を摂取することも、食後に眠くなる要因になります。炭水化物は食物繊維と糖質で構成されています。食物繊維は消化されずエネルギーにはなりませんが、糖質はブドウ糖となります。ブドウ糖が増えてくると血糖値が上がりますので、結果的に眠くなってくるということなのです。

ですから、眠くならないようにするためには、できるだけ炭水化物の少ないものを選ぶと効果的です。炭水化物はごはんやパンなど主要な食べ物に含まれており、制限するのは難しく感じます。ですが、ごはんを少なめにしておかずを増やすなど、工夫することで対処できます。

また、炭水化物を摂るときは、一番最後に食べるようにすると、血糖値の上がり方がゆっくりになります。注意したいのは、必要以上に制限しすぎないようにすることです。糖質は人の重要なエネルギー源でもあります。特に脳にとって主要なエネルギーとなるものですので、不足しすぎると、意識障害にまで発展するケースもありますので、注意しましょう。

薬が原因で眠くなる

特定の薬が眠気を誘うことは、よく知られています。中には、飲んだ後に車の運転をしていけないというものもあり、薬の眠気に対する影響が強いことを物語っています。実は、よく使用されているアレルギーの薬・痛み止め・せき止め・かぜ薬などにもそういう成分を含んだものがあるのです。

ですから、日常的にそういった薬を服用しているのが原因で、食後に眠くなるという可能性も考えられます。眠くなる薬には、例えば以下のようなものがあります。

せき止め デキストロメトルファン臭化水素酸塩
痛み止め プレガバリンカプセル
トラマドールカプセル
吐き気止め メトクロプラミド錠
プロクロルペラジンマレイン酸塩錠
抗アレルギー薬 ロラタジン錠
エピナスチン塩酸塩錠
セチリジン塩酸塩オロパタジン塩酸塩錠
フェキソフェナジン塩酸塩錠
ベポタスチンべシル酸塩錠
抗不安薬 リスペリドン錠・リスペリドン内用液
アミトリプチリン塩酸塩錠
ロフラゼプ酸エチル錠
イミプラミン塩酸塩錠
アリピプラゾール内用液
クロチアゼパム錠
クロナゼパム錠・クロナゼパム細粒

以上のものは一部で、実際はもっと多くの薬が対象となりますので、今服用中の薬があるなら、調べるか担当医師に確認してみましょう。

低血糖が原因で眠くなる

高血糖も眠くなる原因ですが、実は低血糖も眠くなる原因になっています。血糖値は、健康な人だと、110mg/dL〜140mg/dL程度ですが、70mg/dL以下になると低血糖と呼ばれます。低血糖でも数値が高めであればまだましですが、下がれば下がるほど症状はひどくなっていきます。低血糖になる原因はさまざまですが、例えば糖質の摂りすぎが挙げられます。

糖質を摂りすぎると、ブドウ糖をエネルギーに変えるため、インスリンの分泌もそれだけ多くなります。必要以上に分泌されてしまうと、その分ブドウ糖が血液中から減っていき、その結果低血糖となってしまうのです。

もともと低血糖になりやすい人は、自覚症状がない場合もあり、無自覚性低血糖になる可能性があります。この場合、気づかないうちに重度のものに進行していることもあるのです。低血糖になると以下のような症状が出てきます。心当たりがある場合は、早めに受診して検査を受けることが重要です。

  • 頭痛
  • やる気が出ない、だるい
  • 落ち着かない、イライラ、不安になる
  • けいれん、動悸、冷や汗
  • 意識障害、昏睡

糖尿病の治療をしている人は、薬の量が適切でなかったり、インスリン注射の効きすぎにより、低血糖状態に陥ってしまうことがあります。その場合は担当医に相談して、薬の量などを調整してもらう必要があります。

高齢の場合は食事性低血圧(食後低血圧)の可能性も

食事性低血圧とは、食後に急に血圧が下がってしまう症状のことです。低血圧により立ちくらみやめまい、頭痛といった症状が起こりますが、だるくなり眠気を感じるのも特徴のひとつです。高齢者に多くみられますが、若い人でも血圧が低い人は注意しておく必要があります。

では、どうして食事性低血圧が起こるのでしょう?人が食事をしたときには、腸を動かすために血液が集中します。ですから必然的に血圧は低下しますが、普通はそれを防ぐために血圧を一定に保つようになっています。ですが、中には高齢などの原因で、その機能が正常に働かない人がいます。これが原因で食後に低血圧になってしまうのです。

眠くなるだけでなく、立ちくらみやめまいもある場合は、食事性低血圧の可能性もあります。症状がひどくなると気を失う場合もありますので、病院に行き医師に相談してみましょう。

糖尿病になるリスクも上げてしまう睡眠不足

睡眠不足は、単純に日中に眠くなる可能性を高くします。ですが、それだけではなく、糖尿病になるリスクもあげてしまうのです。人は歳をとっていくほど、睡眠時間が短くなりますので人により違いますが、病気のリスクを下げるために適切な睡眠時間は、7〜8時間がベストです。6時間以下の場合、糖尿病をはじめとする、あらゆる病気になるリスクが増えていきます。

睡眠不足になると、食欲を抑える働きが弱くなり、食欲が増していつもより多く食べ過ぎてしまいます。食べ過ぎは、血糖値の上昇を高くするだけでなく肥満にもなります。また、睡眠不足だと、糖質を多く必要とするようになります。

糖質は血糖値の上昇に直接影響し、それは眠気を増やすことを意味しています。このように、睡眠不足は糖尿病のリスクを大きく増やす要因となっているのです。

食後に眠くなる人のための眠気対策

このように、食後に眠くなる原因はさまざまです。その眠気が何からきているのかを知ることが、もっとも大事なことですが、眠気をとる方法が知りたい人のためにご紹介していきます。簡単ですぐに使える解消法もあり、また糖尿病の予防になるものもありますので参考にしてください。

食事のときの食べる順番を変える

糖質が血糖値の上昇と眠気に影響しているとはいえ、まったく摂らないというのは不可能です。量を減らすというのも方法のひとつですが、ただ食べ方を変えるだけでも、血糖値の上昇と眠気を抑えることができます。

血糖値の上昇を緩やかにするために、糖尿病の食事療法としても推奨されるのが、野菜から食べはじめることです。その次に肉や魚などのタンパク質が含まれるものを食べ、最後に糖質の含まれるごはんなどを食べます。空腹時にいきなり糖質を摂ってしまうと、血糖値の上昇が早くなります。それを防ぐために糖質類は最後に食べて、吸収を遅れさせることが効果的なのです。

血糖値の上昇が緩やかになる理由は、インクレチンという成分です。タンパク質を食事の前半に摂ると、インクレチンの分泌が多くなります。インクレチンが多くなると、すい臓が刺激されてインスリンの分泌も増えます。こうして血糖値の上昇が緩やかになるのです。

眠くなりにくい食べ物を選ぶ

血糖値が上がることによって眠くなっている場合、できるだけ血糖値が上がらないように食べる物を工夫することも効果的です。糖質の多い以下のようなものは意識的に避けましょう。

穀類 ごはん、パン、パスタ
いも類 ジャガイモ、さつまいも、里芋
野菜類 れんこん、トウモロコシ、かぼちゃ
豆類 そら豆、あずき、ひよこ豆、いんげん豆
果実類 イチゴ、バナナ、みかん
甘味料 砂糖類、はちみつ、メープルシロップ
アルコール類 ビール、日本酒、ワイン(ロゼ)

外食が多い人は、自分の好きなものを食べてしまいがちです。栄養も偏りますのでできれば避けたいところですが、どうしても難しい場合は、注文するメニューに気をつけましょう。おすすめは、定食やセットメニューなど、サラダや味噌汁といった副菜や汁物が付いたバランスの良いものです。そして、野菜から食べ始め、最後にごはんを食べましょう。

よく好まれる丼物・カレーライス・うどん・そばなどは、総じて糖質が高くおすすめできません。そしてこれらのメニューは、時間をかけて食べるのにはあまり適していないのです。時間をかけて食べることは、糖尿病の治療・予防に大切なことです。

時間をかけてよく噛んで食べる

よく噛まずに早く食べてしまうと血糖値の上昇が早くなり、それだけすい臓に負担がかかってしまいます。また、糖尿病に大敵である肥満になるだけでなく、糖尿病自体にもなりやすくなるという調査結果があります。

厚生労働省は、1口の噛む回数を30回以上にすることを推奨しています。意識的に回数を増やすことは難しいため、食べ物を大きめにカットするなど工夫すると、自然に噛むようになります。1回あたりの口に運ぶ量を減らすことも有効で、全体的な噛む回数が増える効果があります。

また、忙しいなどの理由で食事を抜くことはあまりよくありません。空腹の時間が長いと、次の食事で血糖値の上昇が著しくなります。朝食を抜く人は特に多くみられますが、時間がない場合はバナナなどの果物や、野菜ジュースなど手軽に摂れるものを常備しておきましょう。

食後に運動をする

食後にすぐ運動をすると、血糖値の上昇を抑えられることが、研究からわかっています。ウォーキングを10分するだけでも効果がありますので、昼食後に散歩がてらやってみるといいでしょう。会社勤めの人も、外に食べに行くときに少し遠くの店に行くようにすると、特に意識をしなくても歩くことができます。

注意点としては、食後すぐにすることです。研究結果でも、食後すぐに運動をした人のほうが効果が高いと出ています。すぐにしないと、血糖値が上がりはじめてしまうからです。炭水化物を多く摂取したときは特に、食後の運動をするように心がけましょう。

昼食後に昼寝をする

眠気をとるのにもっとも簡単な方法は、シンプルに寝ることです。昼休みの食事が終わった後に、車の中で仮眠をとるなどしてみましょう。時間はそんなに多くなくてもよく、10分程度でもしっかりと効果があります。

まとめー他に気になる症状があるなら病院へ

健康な人でも食後に眠くなることはよくあります。ですが、だからといってそのままにしておくのはよくありません。何もしなければ本当に糖尿病だったときに困ります。原因をはっきりさせるために、今回の内容を参考にしてみてください。当てはまっているものがあるなら、それに適した検査を受けましょう。病気の予防のためには、早めの受診が大事なのです。

 

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