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糖尿病の診断基準のひとつ、HbA1cとは?

糖尿病とHbA1cに関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病の診断基準のひとつであるHbA1cとは何ですか?

A. HbA1cは血液中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」とブドウ糖が結合した物質で、これを測定することで過去1,2か月の血糖コントロールの状態がわかります。

この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

HbA1cとは?

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、赤血球の中に存在しているヘモグロビンがブドウ糖と結合してできたものです。血液中のヘモグロビンのうち、HbA1cがどのくらいの割合で存在しているかを測定することで、血液中のブドウ糖の量を調べることができます。高血糖だとHbA1cの値が高く出ますので、糖尿病の判定や血糖コントロールに用いられます。

高血糖を調べる方法はこれ以外にも「グリコアルブミン検査」「1,5-AG検査」「ケトン体検査」などいくつかありますが、HbA1cがもっともよく用いられています。その理由は、HbA1cの値は高血糖になってその後血糖値が下がっても、数か月の間値が下がらないため、過去にも高血糖状態だったかどうかがわかるからです。長期的な血糖値を表す数値のため、信頼性が高いともいえます。

HbA1cは糖尿病の診断基準にもなりますし、治療のときに血糖値が改善しているかどうかの判断にも用いられており、よく糖尿病患者の間では「HbA1cはいくつですか?」「HbA1cが7.0%から5.4%に下がりました」などの会話がされます。このようにHbA1cはとても一般的で、糖尿病には重要な数値になっているのです。

HbA1cの測定方法であるNGSP値とは?

HbA1cはさまざまな表記の方法があり、以前の日本では日本独自のJDS値という表記が使われていました。しかし、このJDS値を使用しているのは日本のみであったため、海外の論文と日本の論文で解釈に違いが出てくることがあり、それが問題になることがありました。そのため、日本糖尿病学会が2012年に、米国で決められた国際基準でもあるNGSP値を採用することに決定しました。

JDS値は、NGSP値よりもわずか0.4%低いだけですが、逆にこのわずかな差が解釈を混乱させる結果になっていたのでしょう。なお、小さい個人病院など病院によっては2012年に切り替えられたこの基準に対応できておらず、従来のJDS値が使われている場合もありますので、検査結果に注意しておきましょう。

HbA1cの数値がいくつだと糖尿病?

糖尿病の検査は尿検査もありますが、多くの場合血液検査で診断されます。血液を調べて血糖値を測定することで、糖尿病かどうかを判断するのです。血液検査には食事を摂った時間に関わらず採血する「随時血糖検査」、朝食を抜いて空腹の状態で採血する「早朝空腹時血糖検査」、空腹状態で採血し、さらにブドウ糖を摂取した状態で採血する「75g経口ブドウ糖負荷試験」などがあります。

日本糖尿病学会が決めているHbA1cの基準値は、NGSP値で6.5%以上だと「糖尿病が強く疑われる」とし、6.0〜6.4%だと「糖尿病の可能性を否定できない」としています。ポイントは糖尿病だと断言はされていないところです。実は糖尿病と診断されるには、いくつかの基準があり、HbA1cが基準値を超えていただけだと、予備群という診断になります。

この予備群は「糖尿病型」と呼ばれ、以下のいずれかひとつに該当すると糖尿病型という診断がされます。

・随時血糖値が200mg/dL以上の場合
・早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合
・75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間経過後の値が200mg/dL以上の場合
・HbA1cがNGSP値で6.5%以上の場合

ただし、HbA1cがNGSP値で6.5%以上かつ、ほかの検査でも血糖値が基準値をオーバーしている場合、要するに2回糖尿病型だと診断された場合は、糖尿病となります。基本的にはいずれかの検査を行い、糖尿病型と診断された場合は、別の検査を行い糖尿病かどうかを診断します。

もし以下のように基準値を下回る場合は「正常型」という診断になり、糖尿病でも糖尿病予備群にも該当しません。

・早朝空腹時血糖値が110mg/dL未満の場合
・75g経口ブドウ糖負荷試験2時間後の値が140mg/dL未満の場合

糖尿病型にも正常型にも当てはまらない場合(糖尿病型と正常型の間の数値だった場合)は、「境界型」という診断になります。境界型は予備群まではいかないものの、予備群の一歩手前に該当しますので、経過観察が必要なグループになります。また、上記の基準は患者の状態によりもっと細かく決められており、あくまで目安になります。

HbA1cを下げる方法は?

HbA1cを下げるということは、血糖値を下げるということになりますので、血糖値を下げる治療方法である「薬物療法」「食事療法」「運動療法」を実践していると、HbA1cは下がってきます。

ただし、覚えておかなければならないのは、HbA1cが長期的な血糖値を示しているということです。そのため、実践し始めてすぐには効果は現れにくいのです。では、具体的にはどのような方法で下げることができるのか、一例をみてみましょう。

・糖尿病用の薬で下げる
糖尿病の薬で血糖値を下げる薬はいくつか種類があり、基本的な治療として患者の状態に合わせて処方されます。例えば、SGLT-2阻害薬というものがありますが、これは尿から糖を排出させることにより血糖値を下げる効果があります。また、体重の減少効果もあり、糖尿病にはとても効果的な薬です。

一体どういうメカニズムになっているのかというと、薬の名前のとおりSGLT2の働きを阻害することでその効果を発揮します。SGLT2は、もともと体内のブドウ糖(グルコース)を細胞内に取り込む働きがあります。

しかし、その働きによって本来尿に排出される糖が少なくなってしまうという欠点があります。高血糖状態においては、糖が尿と一緒に排出されるほうが血糖値を下げることができるため有利です。そこで、SGLT2の働きを阻害して、糖が排出されるのを助けるというのがこの薬の役割となっているのです。

とても便利な薬ですが、HbA1cは薬だけ飲んでいれば下がるというものではありません。せっかく薬で血糖値が下がっても、相変わらず生活習慣が悪いままだと状況は停滞しているだけですし、最悪もっと悪化してしまうこともあります。

・果物や野菜の摂取で下げる
果物や野菜をたくさん摂取するのは健康にいいことはよく知られていますが、糖尿病に対しても効果的です。食物繊維を多く摂取することで、血糖値の上昇を抑えられることがわかっています。食物繊維の多い食事を摂ると、栄養の吸収に時間がかかるようになり、結果として血糖値の上昇が緩やかになります。

また、血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌を促すホルモンの分泌が促され、満腹感も得られるため、食べ過ぎを防げます。

ほかにも、果物や野菜を1日の摂取量の2倍食べることで、脳梗塞、心筋梗塞、がんなどの死亡リスクを低下させることもできることがわかっています。2倍だとかなりの量になりますので、続けられないと感じる人もいると思いますが、摂取量に満たなくてもリスクの低下は見込めますので、とにかく摂取することを心がけましょう。

また摂取の際は、果物や野菜を皮、根、たねなどすべてを摂取するようにすると効果的です。これをホールフードと呼びますが、自然のままの状態で摂取するほうがより多くの栄養が摂取できるという考えから来ています。

・朝に飲む牛乳で下げる
カナダのトロント大学で行われた研究では、朝食にシリアルと牛乳を摂ったときと、シリアルと水を摂ったときでは、牛乳のほうは食後の血糖値の上昇が少なくなっていることがわかりました。

これは、牛乳に含まれるたんぱく質が炭水化物の吸収を遅くする効果があり、それによって血糖値の上昇が抑えられたのだとされています。しかも、朝食後だけでなく昼食後の血糖値にも影響が出ることがわかっています。また、脳卒中や心疾患のリスクを下げる効果もあります。朝に一杯の牛乳を飲むだけですので、続けるのも簡単です。

・セカンドミール効果で下げる
前述の牛乳の摂取もそうですが、「セカンドミール効果」を利用することでも、血糖値の上昇を抑えることができます。セカンドミール効果とは、朝起きて最初に摂る食事(ファーストミール)が、次に摂った食事(セカンドミール)の後の血糖値にも影響を与える現象のことです。

朝食時には糖質が少なく食物繊維の多い食品を選ぶことで、昼食後の血糖値を抑えることができます。この理論では、朝食に何を食べるかがもっとも大事なことで、1日の血糖コントロールの鍵を握っているとされています。

・HbA1cを下げる運動
糖尿病の治療方法の中でも運動療法は大変効果的で、ウォーキングなどの有酸素運動でHbA1cの値を下げることができます。食後すぐに有酸素運動をすることで、血糖値の上昇を抑えることができることもわかっています。2型糖尿病の人は、食後1〜3時間以内に運動するともっとも適切な効果が得られます。

いきなり無理な運動を始めても続かない可能性が高いので、少しずつ始めることが大事です。30分程度のウォーキングを、軽く疲労を感じるくらいの速さで行いましょう。初めは週3日程度から始めて、週5日〜毎日続けられるくらいまでになるのが理想です。

不思議なことですが、普段から運動をあまりしない人が運動をすると、食べる物も変わってきます。運動前は、お菓子、炭酸飲料、揚げ物などを好んでいた人たちが、運動を一定期間継続して行った場合、果物、野菜、ササミなどの脂肪分が少ないものを選ぶようになります。

インスリン治療をしている人は、運動をしてもよいかどうかを担当医師に確認する必要があります。運動をすると血糖値が下がるため、インスリンで血糖値が下がるタイミングと重複してしまった場合、下がりすぎて低血糖になる可能性があるからです。朝食を食べた後に運動をすると、低血糖を起こしにくくなりますのでそういった方法も取り入れていきましょう。

糖尿病の治療を続けて血糖コントロールがうまくいっていると、HbA1cは下がってきますが、ある程度下がると下がりにくくなってくることが多いです。逆をいえば、下がりにくくなってきたら、かなり改善されてきているといえます。

もちろん個人差はありますので、HbA1cの下がり方が緩やかになってきたと感じられたら、別のやり方を試してみることで、また下がりはじめる可能性があります。ただし、その際もHbA1cの特性を理解し、長期間続けてみることです。

HbA1cを下げたいならアルコールはよくない?

アルコールの摂りすぎは、あらゆる病気に対してよくないことは知られており、もちろん糖尿病に対しても悪影響を与えます。特に糖質を含む日本酒、ビール、梅酒は血糖値を上げるため、飲むとしても量を控える必要があります。アルコールを飲む場合、糖質ゼロとして売られているアルコール、ブランデー、ウイスキー、ウォッカなどを選ぶとまだましです。

ですが、糖質がゼロとはいっても、血糖値がまったく上がらないというわけではありません。確かにアルコールはブドウ糖に変換されないのですが、肝臓内のグリコーゲンの分解を促進させるために、血糖値を上昇させる作用があるのです。ですから糖質ゼロだからいくらでも飲んでもいいというわけではありません。

しかし、意外なことにワインがHbA1cの値を下げるという研究データが公表されているのです。このイスラエルの大学が行った研究では、糖尿病患者に対し赤ワイン、白ワインを与えたところ、どちらの患者もHbA1cと空腹時血糖値が下がり、さらにインスリン抵抗性もよくなるという結果が得られたそうです。

これは、ワインに含まれるエタノールの作用で、血糖値が改善していると推測されています。また、赤ワインのポリフェノールで総コレステロールやHDLコレステロールも改善する作用もあるため、肥満が大敵の糖尿病には効果的な薬代わりになっていくかもしれません。

まとめ

HbA1cは血糖値を測定するための数値であり、糖尿病の診断をする際のひとつの基準でもあります。また、治療時には改善しているかひと目でわかるため、糖尿病とHbA1cは深いつながりのある数字なのです。

HbA1cを下げるためには、血糖値を下げるような薬物療法、食事療法、運動療法をすることが効果的です。ですが、HbA1cは長期的な血糖値を表していることもあり、下がるのに時間がかかることと、ある程度下がると低下率は緩やかになり、下がりにくくなってくることを覚えておきましょう。

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