目次
糖尿病と油に関する基礎知識
弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病の人はどんな油を摂取すると良いのでしょうか?
A. 魚油などのオメガ3系の脂肪酸の摂取が効果的です。
油や脂質の性質
わたしたちが摂取している油や脂質には動物性・植物性のものがありますが、この2つの中にもさらに複数のものがあり、非常に多くの種類の油や脂質があります。植物油はどれも同じカロリーですが、それぞれ油を構成している脂肪酸の種類が違うため、その性質も変わってきます。
一般的にいわれている中性脂肪の値とは、血液中のトリグリセライドの量を測定したものです。中性脂肪(トリグリセライド)は悪い意味で説明されることが多いですが、実際は人の身体にとって必要なもので、重要なエネルギー源となります。
ですが、中性脂肪が増えすぎてしまうと、エネルギー消費が追いつかなくなり、消費されない脂肪は身体に蓄えられてしまいます。その結果、肥満になりそれが原因となって、糖尿病をはじめとするさまざまな病気を発症する可能性が出てくるのです。
油と聞くと「太る」というイメージがありますが、すべての油が太る要因となる性質を持っているわけではなく、痩せるのに適した油もあるのです。太る油の摂取が悪いというわけではありませんが、油の性質を正しく理解して摂取することで、健康的な食生活を送ることができます。
糖尿病と油(脂肪酸、コレステロールなど)の関係
糖尿病に悪い食べ物としては、血糖値の上がりやすい糖質を含むものが代表的ですが、油類も高カロリーなものが多く、糖尿病に悪影響を及ぼすものがあるため、摂取には注意しなくてはいけません。糖尿病になりやすい人の特徴のひとつとして、肥満体であることが挙げられます。
人の身体は通常、食後などに血糖値が高くなると、それを下げるための作用が働きます。これを耐糖能といいますが、肥満の人はこの耐糖能が低下するなどの異常が起こり、その結果として糖尿病になりやすくなるのです。油の種類によっては太る原因になるものもあり、肥満は糖尿病になったり治癒を長引かせたりする大きな要因になります。
ですが、中には逆に体にいい働きをする油や脂質もあります。それらについての正しい知識を知っておくことで、糖尿病の改善や予防だけではなく、ほかの病気にも良い影響が出たり、ダイエットに対していい効果があったりと、いいことずくめです。
油脂の種類
油脂は、液体である「油」と固体である「脂」の総称で、グリセリンと脂肪酸から構成されています。脂質は油脂やコレステロール、グリセリン、脂肪酸などをすべて合わせたものをいいます。そのうちのひとつである脂肪酸は大きく分けて2種類、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。この2つの違いは、脂肪酸を構成している炭素の二重結合が、あるかないかです。
・飽和脂肪酸
炭素の二重結合がない脂肪酸で、チョコレート、卵黄、バター、牛乳などに多く含まれています。飽和脂肪酸を摂りすぎると、心血管疾患のリスクを高めるとされています。
・不飽和脂肪酸
炭素の二重結合がある脂肪酸で、二重結合の数により、さらに「多価不飽和脂肪酸」と「一価不飽和脂肪酸」に分かれます。以下のような種類の脂肪酸があります。
不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 | オメガ3(n-3)脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA) | 魚油、亜麻仁油、えごま油、しそ油 |
オメガ6(n-6)脂肪酸(リノール酸、γ-リノレン酸) | なたね油(キャノーラ油)、コーン油、大豆油、ごま油、グレープシード、紅花油、綿実油 | ||
一価不飽和脂肪酸 | オメガ9(n-9)脂肪酸(オレイン酸、パルミ、トレイン酸) | オリーブオイル、ナッツオイル、米油 | |
飽和脂肪酸 | ラード(豚の脂)、ヘット(牛脂)、バター |
これらの油の分け方としては、単純にどの成分を多く含んでいるかによります。例えば、オレイン酸を多く含んでいる場合はオメガ9系、リノール酸を多く含んでいる場合はオメガ6系という具合です。ただし、米油や落花生油などのように、リノール酸が約40%とオレイン酸が40%で、オメガ6とオメガ9の中間のような油もあります。
一般的に「サラダ油」と呼ばれているものは、植物の油を精製したもので、菜種や大豆、ひまわりなど9種類のいずれかから作られています。サラダ油もキャノーラ油も菜種が原料になりますので混乱しますが、品質に違いがあります。サラダ油は9種類のうち2種類以上をブレンドして作られる場合もありますが、キャノーラ油は菜種のみで作られます。
不飽和脂肪酸の中でも、人が健康に生きていくうえで必要な脂肪酸を「必須脂肪酸」といいます。必須脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸になりますので、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸が人の身体に必要な脂肪酸ということになります。
料理に適した油と摂取方法
油の中でも、もっとも料理に適しているのはサラダ油です。サラダ油はほかの油に比べて香りや味が少ないため、食材や調味料の風味を邪魔することがないからです。ですからサラダ油は天ぷらや唐揚げなどの揚げ物にも使えますし、炒め物や焼き物にも使えます。
ちなみに揚げ物をするときにはサラダ油に少しごま油を足すと、酸化を防ぐことができるため、もっと効果的に使うことができます。キャノーラ油や紅花油も、サラダ油と同じように使うことができます。
一方、香りをつけたい場合は、その料理に適した油を使うとよりおいしく作ることができます。例えば、ごま油はごまの香ばしい香りをつけることができるため、中華料理に最適です。オリーブオイルも同じように、イタリア料理などに使うとおいしくできます。
このように、その料理に合った香りや味の油を使うと特性を引き出すことができますが、ルールにこだわらず好みの油を使用することも料理や食事を楽しむうえで大切です。
また推奨される摂取方法ですが、油を調理に使うときは、熱して使わないほうがいい場合もあります。サラダ油や動物油などは別ですが、植物油は本来なら熱して使用するよりも、ドレッシングなどの用途でそのまま摂るほうが、栄養を壊さずにそのまま摂取できるため、効果的なのです。
オメガ3系脂肪酸の効果
現代の日本の食生活は、魚や野菜などの摂取量が減ってきており、オメガ3系脂肪酸が不足しています。反対に植物性油脂、菓子、カップ麺、マヨネーズなどのファーストフードや加工食品の摂取量が増えており、オメガ6系脂肪酸過多の状態になっています。
オメガ6系脂肪酸も人に必要なものですが、過多になってくるとアレルギー性炎症疾患、アトピー性皮膚炎、心臓の疾患、動脈硬化などを引き起こす可能性があります。そのため、オメガ6系脂肪酸を摂りつつも、オメガ3系脂肪酸も摂取していく必要があります。厚生労働省が推奨している基準はオメガ6系脂肪酸が4〜5に対して、オメガ3系脂肪酸は1となっています。
研究結果から、魚介類をあまり食べない人に比べて、よく食べる人のほうが心臓疾患で死亡する確率が低いことがわかっています。また、リウマチ性関節炎の症状である、関節の痛みや炎症、こわばりを緩和させる効果があります。これ以外にもオメガ3系脂肪酸には、身体の機能を正常に保つ働きがあります。
ダイエットにも効果的なオリーブオイル
オリーブオイルにはポリフェノール、オレウロペインといった強い抗酸化作用を持った成分が多く含まれています。そのため、脂肪細胞の増加を防止することができ、ダイエットに効果的です。ですが、品質が高い本物のエクストラヴァージンオイルでなければ、効果は低くなります。
また、エクストラヴァージンオイルと書いてあるものの中でも、効果が低いものがあります。それはなぜなのでしょうか?通常、本物のエクストラヴァージンオイルは、IOC(国際オリーブオイル協会)の基準に適合するもののみですので、IOCのエクストラヴァージンオイルの基準に適合しているものを選ぶことが重要です。
ところが日本はIOCに加盟しておらず、JAS(日本農林規格)の基準にしたがってエクストラヴァージンオイルを選定しているため、IOCの本物のオリーブオイルとは違った品質のものとなっているのです。
JASのものとIOCのものの違いを簡単に説明すると、オイルの酸化度合いです。日本のものの方が酸化度合いが高いため、IOC基準より質が悪いものもエクストラヴァージンと呼ばれています。では、どのように正しいオイルを選べばいいのでしょうか?ポイントは以下のようになります。
・遮光性の高い容器に入っていること
オリーブオイルは光に弱く、普通の容器に入れていると簡単に劣化してしまいます。そのため、品質の高いオイルは遮光性の高い容器に入っていることが普通です。多くは黒っぽい容器に入っていますので、選ぶ際に参考にしましょう。
・オーガニックの認証マークがあること
品質が高い製品のほとんどは、オーガニックの認証マークが表示されています。オリーブオイルはさまざまな国で生産されているため、国ごとにその認証マークは違いますが、これがあるかどうかも選ぶ際のひとつの基準になるでしょう。
・価格が安いものは避ける
本物のエクストラヴァージンオイルは、ほとんどが1,000円以上の価格になっています。容量にもよりますが、価格が安いものほど質が悪いと言って間違いありません。
・低温圧搾(コールドプレス)製法のもの
植物性の食物は、高温になると一部の成分が破壊されてしまうものが多く、オリーブも例外ではありません。そのため高品質のオリーブオイルは、低温圧搾製法で作られていることが普通です。
日本の数百円のエクストラヴァージンオイルに比べると、本物のものは香りや味に大きな違いがあり、それもひとつの判断基準になります。多くの人が購入して高い評価を得ているものや、有名なものも選ぶときの参考にしましょう。
MCTオイル(中鎖脂肪酸)とは?
MCTオイルとは、「Medium Chain Triglcerides」の略で、中鎖脂肪酸油ともいいます。パームやココナッツなどのヤシ科の植物から採れるオイルで、ダイエットやアスリートのトレーニング、栄養補給などに有効なオイルとして注目されています。
MCTオイルは消化・吸収・分解作用が他の油に比べて速く、脂肪として蓄積されないのにエネルギーはちゃんと摂取できるという素晴らしいオイルです。そのため、アスリートの体づくりやトレーニングに最適です。また、高齢者やエネルギー不足の人たちも栄養補給のために摂取できます。
糖尿病に悪い油(脂)
糖尿病にとって悪い油(脂)は、人を太らせる働きがあるものです。例えば、ラードやヘットなど、動物性のものは全般的に太りやすい脂になりますので、避けたほうがいいでしょう。また、ショートニングやマーガリンといった脂は、「トランス脂肪酸」という動脈硬化などの原因になる脂でもありますので、糖尿病にとっては良くないものです。
とはいえ、動物性のものでもエネルギーになるものもありますので、まったく摂らないのはおすすめできません。良質なものを適度に摂取することをおすすめします。
糖尿病の改善、リスク低下に効果的なオメガ3系脂肪酸
糖尿病にとって肥満は大敵です。ですから糖尿病に良い油があるというのは信じられない話に聞こえます。ですが油にはさまざまな種類があり、その性質もそれぞれ異なりますので、糖尿病にも良い油はあるのです。
糖尿病に良い油は、α-リノレン酸を多く含むオメガ3系の油です。オメガ3系脂肪酸は亜麻仁油、チアシード、クルミなどの植物性のものをはじめ、ムール貝やカキなどの貝類、カニやエビなどの甲殻類、サバ、サーモン、イワシなどのフィッシュオイル(魚油)に多く含まれています。
それらの油が良い理由は、オメガ3系脂肪酸の働きにあります。オメガ3系脂肪酸は、血液中に存在するLDLコレステロールの増加を防ぎ、中性脂肪を下げる働きがあります。また、血圧を下げる効果もありますので、肥満を抑制することができるのです。
オメガ3系脂肪酸の中でも特に、EPAやDHAを含む魚油は血液の凝固を防ぎ、心筋梗塞や動脈硬化を防ぐことができますので、糖尿病に対してより高い効果を得られます。ただし、魚介類の中でもキンメダイ、メバチマグロ、クロマグロ、メカジキなどを摂取する時は注意が必要です。
通常どの魚にも水銀が微量に含まれており、健康に影響があるレベルではありませんが、これらの魚は他の魚に比べると多くなっているため、特に妊婦の方は気をつけなければいけません。
また、キャノーラ油も糖尿病に良い効果をもたらします。キャノーラ油を摂取するとHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値を下げることができるという研究結果があります。HbA1cは血液中のブドウ糖の多さを示す値で、多いほど血糖値が高いといえます。
それを下げることができるため、糖尿病に非常に有効な油ということになります。ですが、100%ピュアなキャノーラ油を摂らなければ、効果はあまり望めないでしょう。
油よりも摂取しやすいサプリメントがおすすめ
魚介類以外にもオメガ3系脂肪酸を摂取できるものはありますが、例えば「えごま油」を毎日摂り続けるのは大変です。加熱をすればほとんどの栄養は失われてしまいますし、そのまま摂るにもドレッシングとして摂るぐらいしか方法がありません。
ですから、より摂りやすい魚からがおすすめですが、魚から摂る場合でも、毎日食べ続けるのは大変ですので、手軽に多くの栄養を効率的に摂取できて、いつでも飲めるサプリメントが便利です。
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糖尿病にとってDHAとEPAは有効な成分ですが、市場のサプリメントは重金属や水銀が含まれていたり、良質のオイルが使われていたりで、安全で健康的とはいえません。
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まとめ
油や脂質を摂取するうえで、その特性を知ることはとても大切です。身体にとって悪いものを摂取し続けると、肥満の原因になったり健康を害したりする恐れがありますが、良質なオイルのように病気に良い効果をもたらすものもあります。ですが、どの食品も摂りすぎや偏りはよくありません。
昔から、健康のためにはバランスの良い食事をすることが大事だといわれています。ですが、現代のライフスタイルの変化などが原因でそれが崩れてきており、糖尿病などの病気が増えてきています。
それを正すためには、意識的に食べるものを選び食生活を正していく必要があります。いきなりは無理でも少しずつ取り入れて、健康的な生活を送っていきましょう。