目次
糖尿病と交換表に関する基礎知識
弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病における交換表とは?
A. 自身の摂取カロリーや単位などを理解し、食品の摂取量などを考えていくための表です。
糖尿病で利用される交換表とは?
糖尿病において欠かせない食事療法では、日々のメニューに気を配ったり、間食に気をつけたりすると思います。さまざまな食べ物が存在する中で、具体的にどのように食事療法を始めてよいかわからない、どんな食材を使用すればよいのか?といった疑問を抱えている人も多いです。そんなときは、交換表と呼ばれるものを活用してみましょう。糖尿病の際に利用される一覧表となっており、交換表を確認することで日々の食事療法がスムーズに続けられます。
食事療法において欠かせないもの
食事療法において欠かせない交換表は、6つのグループに分けてまとめてあります。まずは6つのグループを知り、これを参考に献立を作っていくとよいでしょう。
・6つのグループの詳細
- 穀物、いも、豆(大豆を除く)、炭水化物の多い野菜など
- くだもの
- 魚介や大豆、卵、チーズ、肉
- チーズを除く牛乳、乳製品
- 油脂や脂質の多い種実(アボカドなど)
- 炭水化物の多いものを除いた野菜、海藻、きのこ、こんにゃく
この6つのグループとは別に、味噌やみりんなどの調味料も加わって、交換表が出来上がります。6つのグループを理解し、これを元に献立を考えていくと、無理なく食事療法が続けられるでしょう。食事療法が初めてという人にとっても、メニューが考えやすくなっています。
交換表、どうやって利用する?
糖尿病の食事療法においてぜひ活用してもらいたい交換表、6つのグループがわかったところで実際にどのように利用すればよいのか見てみましょう。利用方法のコツを押さえておけば、食事療法も順調に進みます。
まずは1日の摂取カロリーを確認しよう
交換表を利用するにあたって、まずは1日の摂取カロリーを計算しておく必要があります。成人男性と成人女性の一日に必要なエネルギー量を見てみると、男性で2200キロカロリーほど、女性で1400~2000キロカロリーとなっています。日々の活動量や体型によって、1日に必要なエネルギー量が変わってくる点は、理解しておきましょう。
この標準的な1日の摂取カロリーとは別に、糖尿病を患っている場合は少し抑える必要があります。ひとりひとり体重や身長が異なるため、以下の計算式を利用してカロリーを算出してみましょう。
1日に必要なエネルギー量=標準体重(kg)×身体活動量
標準体重は、以下の方法で計算しておきましょう。
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
力仕事また、身体活動量は以下を参考に計算してみましょう。
- デスクワークなど身体の動かし方が少なく、軽い場合・・・25~30
- 立ち仕事が多く、適度に身体を動かしている場合・・・30~35
- 力仕事が多い場合・・・35~
この標準体重と身体活動量を計算した上で、上記で説明した1日に必要なエネルギー量を出してみましょう。具体例をひとつ、以下に記します。
(身長160cmで、立ち仕事が多く適度に身体を動かしている人の場合)
標準体重・・・1.6×1.6×22=56.3kg
身体活動量は、30~35
ここから、1日に必要なエネルギー量は・・・
56.3×30~35=1689~1970キロカロリー
と計算できます。
自身の身長や体重、日々の活動量などを確認し、ぜひエネルギー量を計算してみてください。この数字を参考に、カロリーオーバーにならないよう心がけると食事療法が順調に進んでいきます。
栄養バランスに注目しながら、食材を選ぶ
1日に必要なエネルギー量が計算できたら、交換表を元に食材を選んでみましょう。ここで重要なのが、栄養バランスに注目することです。6つのグループを網羅できるように食材を選ぶと、栄養面もきちんとカバーできるでしょう。
その上で、主食、主菜、副菜、汁物と献立を決めていくとよいです。主食に食べる炭水化物は何にするか、主菜には魚か肉どちらを使うか、副菜ではどのような野菜を利用するかといったことに気をつけながら選んでいくと、糖尿病のときにも安心して食べられる献立が仕上がります。
三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質が適量摂取できるように献立を作っておくと、満腹感も得られ、食事療法にもなるでしょう。
また、食材選びと同時に、調理法にもアレンジを加えてみるとよいです。炒め物ばかりでは飽きてしまうので、蒸す、煮る、揚げるなど工夫してみましょう。揚げ物の食べ過ぎには注意が必要なため、頻度は少なめにしておくと安心です。
1単位を意識して食べる量を調整しよう
交換表を利用しながら日々の食事を意識することで、糖尿病の改善を図ることができます。この交換表では、それぞれの食品を単位で表すことでカロリーが見やすくなるという利点があります。糖尿病において利用される交換表については、80キロカロリー=1単位とし、食品ごとのカロリーを算出してみましょう。
上記で具体例をあげた、身長160cm、適度に立ち仕事などがある人の場合は、摂取カロリーの目安が1689~1970キロカロリーでした。1単位=80キロカロリーとするため、この人が摂取すべき単位は20~24単位ほどとなります。1単位の具体例をあげると、ごはん茶碗に半杯、じゃがいも1個、バナナ1本、卵1個、豆腐1/3丁などになり、食品ごとに1単位でどれぐらい摂取すればよいかを考えるとよいでしょう。
単位について理解し、1日に必要なエネルギー量を計算しておくと、日々の食事においてカロリーオーバーになるのを防げるでしょう。
交換表を活用した糖尿病におすすめの献立例
糖尿病の食事療法において活用したい交換表は、日々の献立を考える際に役にたちます。交換表の使い方にまだ慣れていない人や、いまいち利用方法がわからないといった人に、以下の献立をおすすめします。メインのおかずにあっさりと食べられるものを選び、高タンパク低カロリーに仕上げました。ぜひ、食事を作る際に活用してみてください。
焼き魚メインの献立
肉よりも魚の方が全体的にヘルシーであり、調理法によっていろいろな楽しみ方ができます。そこで、焼き魚メインのおすすめ献立を紹介しましょう。
・鮭のソテー きのこソースがけ
栄養満点の鮭を使った、簡単メニューです。
材料(1人分)・・・鮭1切れ、塩コショウ、小麦粉少々、サラダ油3g、白ワイン5cc
きのこソース(えのき15g、しめじ20g、しいたけ5g、バター3g、醤油3g、白ワイン3cc)
作り方
- 塩コショウで味付けをした鮭に、小麦粉を軽くまぶす。サラダ油を敷いて熱したフライパンで焼く。
- 白ワインをかけ、蓋をし、鮭に火が通るまで蒸し焼きにする。
- 別のフライパンで、きのこソースを作る。バターできのこ類を炒めたあと、白ワイン、醤油で味付けする。
- 器に鮭ときのこソースをかけたら出来上がり。
- 手軽にできるメニューとして、おすすめです。
鶏胸肉やささみメインの献立
肉メインの献立を立てる際は、脂質に注意して肉の種類を選ぶことが大切です。今回は、鶏胸肉やささみを使ってできる簡単メニューを紹介しましょう。
・蒸し鶏の味噌がけ
材料(1人分)・・・鶏胸肉70g、塩少々、酒小さじ1、きゅうり20g、キャベツ80g
(味噌ソースの材料)西京味噌小さじ1と1/2、酒小さじ2、豆板醤少々、ごま油少々
作り方
- 鶏胸肉は厚さが均等になるように切り、塩と酒をふっておく。
- キャベツは一口サイズに、きゅうりは千切りにする。
- 耐熱皿にキャベツ、きゅうり、鶏胸肉を乗せ、ラップをかけて電子レンジで温める。(500wで約3~4分)
- ソースの材料を混ぜあわせ、耐熱容器に入れて電子レンジで温める(500wで15秒ほど)
- 食べやすい大きさに切った鶏胸肉の上に、味噌ソースをかけたら出来上がり。
電子レンジだけで簡単に作れるメニューです。豆板醤を入れて辛みを出すことで、暑い夏にも食べやすいでしょう。
交換表を活用して食事療法を続けていくためのコツとは
糖尿病において便利な交換表を活用しながら、楽しく食事療法を続けることが何よりも重要です。慣れない頃は難しく感じ、食事療法が続けられるか不安に感じてしまうこともあるでしょう。そこで、交換表を利用しながら食事療法を続けていくためのポイントを紹介します。
旬の食材を活用する
交換表を参考にしながら、食事の量をコントロールしたり、食品を置き換えるなどの対策を取っていく中で、旬の食材を活用するように意識してみましょう。旬のものを食べていると身体が丈夫になるともいわれており、新鮮でより美味しく感じられるのも事実です。
たとえば、春ならたけのこや菜の花を使った副菜を作ってみる、夏なら夏野菜を使った炒め物や煮物、和物なども美味しいでしょう。魚介類に関しても、旬があります。たとえば、7月ならイカやタコ、アジやカツオ、イワシなどが旬を迎えます。カレイやハモ、アナゴもおすすめです。毎日の食事を楽しむためにも、ぜひ旬を意識してみましょう。
食事を楽しみながら、無理せず続けよう
交換表を利用しながら日々のメニューを考える際、ときには続けるのが辛いと感じてしまうこともあるでしょう。最初から張り切ったため疲れてしまうパターンや、糖尿病の改善が見られず落ち込んでいるときなどには、交換表を使った食事に意味があるのだろうかと考えてしまうこともあります。
ショックを受けて落ち込んでしまうという事態を避けるために、食事を楽しむことを意識してみましょう。交換表に基づいて、すべての食品を意識することばかり考えていると、心から食事を楽しめなくなってしまいます。ときには、自分が好きな食材を入れて、好きなメニューを考えてみましょう。
また、季節に合わせて美味しい食べ方を試すのもおすすめです。夏ならさっぱりと食べられる冷たいものを、冬はお鍋で野菜をたくさん食べるなど、季節ごとに食事を楽しむことが大切です。つい交換表ばかり眺めて食事を考えてしまいそうになりますが、継続して食事療法を行うためにも、食事を楽しめるようにしましょう。
たまには息抜きとしてご褒美も
糖尿病で食事療法を続けていると、食事を心から楽しめない、食べてはいけないと思うとストレスが溜まってしまうと感じる人も多いです。そこで、交換表を活用して献立を考えながら、たまには息抜きもしてみましょう。いつも食事療法を頑張っている自分へのご褒美もおすすめです。
間食で低糖質なスイーツを楽しむ、友人との食事やお茶を満喫するなど、気分転換も行いましょう。ときには、好きなものを食べて癒されることも大切です。ストレスを溜めたまま食事療法を続けていると、思うように血糖値が改善されなかったり、イライラしてしまうこともあります。そのような悪循環を避けるためにも、定期的にご褒美も用意しておきましょう。
まとめ
食品交換表は、糖尿病の食事療法の際に活用できて便利です。一日の摂取エネルギー量を把握でき、6つのグループを参考に献立が立てやすくなります。交換表を意識した献立はウェブ上でも、多く掲載されています。気になる献立に挑戦したり、味にアレンジを加えるなどして食事を楽しみましょう。
そして、たまには食事療法に縛られず、息抜きも行いましょう。旬の食材を活用し食事を楽しむ、美味しい食べ方を考案して試してみる、ときには息抜きをして間食を楽しむのもおすすめです。糖尿病では、血糖値や血圧の状態が気になり、食事を楽しめなくなる人もいます。食事療法を無理なく続けるためにも、適度に息抜きを行いましょう。食事を美味しいと感じながら、糖尿病を改善していくという方法がベストです。