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糖尿病でもさつまいもを食べても大丈夫?

糖尿病とさつまいもに関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. さつまいもは糖質が多いと聞きますが、糖尿病でも食べて良いのでしょうか?

A. 糖尿病だからといって食べてはいけない食品はありません。さつまいもは、食物繊維やさまざまな栄養素が豊富な野菜です。1日50~60gまでを目安にして、食事や間食に上手く取り入れましょう。

さつまいもを食べ過ぎると糖尿病になるって本当?

さつまいもは、甘みが強い食べ物なので「食べ過ぎると糖尿病になる?」と不安になっている人も少なくないでしょう。実際、さつまいもは野菜のなかでも糖質が多い食品です。
そのため、食後血糖値の上昇を招く食べ物といえます。

ただし、さつまいもを食べ過ぎたからといって必ずしも糖尿病になるわけではありません。糖尿病の発症要因には、遺伝、食生活、運動習慣、ストレスなどのあらゆるものが複雑に絡み合っています。そのため、「この食品を食べると糖尿病になる」「この食べ物さえ避ければ糖尿病にならない」といったものは存在しないのです。

現代において、糖尿病は成人の4人に1人が発症するといわれているメジャーな病気です。いつ自分が糖尿病になるかは予測できません。どんなに食生活に気を付けていても、遺伝要因によって糖尿病を発症してしまう人も少なくないのが現状です。
逆に、糖質の多い食事を続けていても生涯にわたって糖尿病にならない人もいます。もちろん、さつまいもを毎日食べて糖尿病になるケースもあれば、まったく糖尿病に縁のない人もいるということです。

糖尿病リスクをできるだけ下げるためには、栄養バランスの取れた健康的な食生活と、適度な運動習慣をつけることが大切です。さつまいもが好きで毎日食べてしまう人もいるかもしれませんが、このような食生活を継続していると摂取栄養素に偏りが出てきてしまいます。
さつまいもの糖質が糖尿病を引き起こすのではなく、偏った食生活こそが糖尿病を招くのだということを忘れないようにしてください。

 

糖尿病患者にさつまいもは良くない?

さつまいもは、野菜のなかでも糖質が高い食品に分類されるため、糖尿病で膵臓からのインスリン分泌能力が低下している患者さんは食べ過ぎに注意しなければなりません。
ただし、「さつまいもを食べてはいけない」「さつまいもを食べると糖尿病が悪化する」といった意味ではないので勘違いしないよう注意が必要です。

さつまいもをはじめとした、じゃがいも、サトイモなどの芋類は植物の根部分にデンプン質が蓄積して実のようになったものをいいます。
このデンプン質は炭水化物の一種で、体内に入るとブドウ糖に分解されて、脳や筋肉、内臓などのエネルギー源として吸収されます。私たち人間の「血糖値」を直接的に上げるのが、このブドウ糖です。
しかし、さつまいもには豊富な食物繊維が含まれているため、糖の吸収が穏やかに行われます。
白米やパン、麺類などの炭水化物と比較すれば、急激な血糖上昇を起こしにくい食品といえるのです。さつまいもの食べ過ぎより、主食の食べ過ぎの方がよほど身体に大きな負担をかけてしまいます。

糖尿病の治療を開始した患者さんの場合、良好な血糖コントロールのために食事療法と運動療法は欠かすことができません。特に、食事療法では医師から指導された1日の摂取目安カロリーのなかで、さまざまな食品をバランス良く摂取することが大切です。
そのなかで「何を食べてはいけないのか」「糖尿病に悪い食べ物はどれなのか」といった点が気になってしまう人も多いのが現状です。

しかし、糖尿病になったからといって特に禁止される食べ物はありません。もちろん、さつまいもを食べることも問題ないのです。糖尿病患者さんの食事療法では、食べる量(カロリー・糖質量)と栄養素の組み合わせが何よりも重要です。

最近では、糖質制限食やロカボ食なども流行しており、「さつまいもなどの糖質が豊富に含まれる食品は糖尿病の敵である」といった考え方も広がっていますが、糖尿病治療を行っている患者さんにはあまり極端な食事療法はおすすめできません。
糖尿病治療のために食事療法を行っている人は、かかりつけの医師の指導のもと、適切な食事管理を行っていきましょう。

糖尿病でもさつまいもをおやつに食べても大丈夫?

食事療法でカロリーコントロールを行っている糖尿病患者さんの場合、1日3食を規則正しく摂取していても「次の食事までにお腹が空いてしまう」「間食をしたくなる」といった方も少なくありません。

そのようなときには、さつまいもがおすすめです。さつまいものカロリーは、100gあたり134kcalと全食品のなかでも低カロリーに分類されます。ただし、中くらいのさつまいもを丸々1本食べてしまうと268~335kcalにもなってしまうため、糖尿病患者さんがおやつで食べる際には3分の1から半分程度にしておくと良いでしょう。
Lサイズから3Lサイズになると、500~900kcalも摂取することになるので、重さをはかってから食べる習慣をつけてください。

さつまいもなどの「芋類」は、その7~8割ほどが水分で構成されており、さらに食物繊維も豊富に含まれているので少量でも満足感を得ることができます。
もちろん、運動前の軽いエネルギー補給にも最適です。さつまいもに含まれるデンプン質は、ゆっくりと消化・吸収されていく特性があるため、血糖値を緩やかに上昇させます。これらの理由から、運動療法時の低血糖予防にも向いている食品といえるでしょう。

しかし、さつまいもには100gあたり29.7gの糖質が含まれています。そのため、糖尿病患者さんがおやつとして食べ過ぎてしまうと、思わぬ高血糖の原因となることがあるので注意してください。

また、干し芋のように加工されたさつまいもは、水分量が非常に少なくカロリーや糖質が高いので、糖尿病治療を行っている人は控えましょう。干して水分が抜けている分、量を食べ過ぎてしまう恐れがあります。
パッケージに記載されている成分表示をしっかりと確認して、カロリーオーバーにならないよう1回分をお皿に出して、あらかじめ食べ過ぎを防ぐことが大切です。

 

糖尿病患者なら知っておきたい!さつまいもの栄養と効果

さつまいもは、芋類に分類される野菜でデンプン質を多く含んでいます。前述した通り、このデンプン質は腸内でゆっくりと消化・吸収されていく特徴があるため、糖尿病患者さんの血糖値上昇を抑える働きがあるといわれています。
炭水化物は血糖値を上昇させやすいことで知られていますが、さつまいもには豊富な食物繊維が含まれており、糖の吸収を穏やかにしてくれるのです。
アメリカ糖尿病学会(ADA)でも、「さつまいもを食生活に取り入れましょう」と提言しているほどです。

また、さつまいもにはカリウムが多く含まれています。カリウムは、糖尿病などの生活習慣病を予防・改善するためには欠かすことができない栄養素のひとつです。
体内のナトリウムを排出する作用があるため、糖尿病腎症の予防や高血圧改善にも大いに役立つとされています。一般的な焼き芋100g中には540mgものカリウムが含まれており、これだけでも成人男性の1日の摂取目安量の25%程度が摂取できるのです。

その他、ビタミンAもたっぷりと摂ることができます。ビタミンAは、免疫力の向上や目の健康維持、骨の発達などに必要不可欠な栄養素です。
糖尿病で高血糖が続くと、網膜症で失明したり、免疫力が低下して足の壊疽や潰瘍が起こって、下肢切断を迫られてしまうケースも少なくありません。
これらの重篤な糖尿病合併症を予防するためには、日頃からの良好な血糖コントロールが重要とされていますが、健康維持に欠かせない栄養素を過不足なく摂取しておくことも大切です。

さつまいもに含まれる食物繊維は血糖値の急上昇を抑え、カリウムが高血圧症や糖尿病腎症の予防に貢献し、ビタミンAが目の健康や免疫力の上昇に働きかけてくれます。
もちろん、糖質やカロリーの摂り過ぎには気をつけなければなりませんが、食生活にさつまいもを取り入れることは、糖尿病患者さんにとってのメリットがたくさんあるといえるでしょう。

糖尿病食事療法におすすめのさつまいもレシピ

糖尿病患者さんが、食事療法を実践していくなかで「さつまいも」を取り入れる際には、栄養バランスの取れたレシピや献立を意識することが大切です。
三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質の比率にも考慮し、過不足のないメニューを上手に組み立てましょう。

さつまいもと鶏肉(豚肉)を一緒に蒸したものは、手軽にたんぱく質の補給を行えるためおすすめです。蒸すといっても、難しい手間はまったく必要ありません。
市販のスチームケースや耐熱容器を使用して、電子レンジで4~5分程度加熱するだけで簡単に作ることができるので忙しい朝の食事や仕事で疲れて帰宅した夕飯にもぴったりです。

一般的なさつまいもレシピには、大学芋やさつまいものゴマ揚げ、さつまいもご飯などが多く掲載されています。しかし、油で炒めたり揚げ物にしてしまうと脂質の摂り過ぎにつながってしまう恐れがあるため、糖尿病治療を行っている人は調理方法にも注意しなければなりません。
さつまいもご飯はとても美味しいものですが、炭水化物であるお米と一緒に食べるのは糖尿病患者さんの食後血糖値を大幅に上昇させてしまうので、できるだけ避けるべきでしょう。
さつまいもご飯を食べる際には、糖尿病食事療法のための食品交換表をもとに「炭水化物(ご飯)」として適切な単位数を守るようにしてください。

また、ネットでさつまいもレシピについて調べていると「蒸したさつまいもより、揚げさつまいもの方が血糖値を上げにくい」といった情報を目にすることがあります。確かに、サラダ油で揚げたさつまいもは脂質が多いため、油が糖の吸収を抑制してくれるのは事実です。

しかし、糖尿病治療においては血糖値だけにとらわれないようにするべきです。
揚げさつまいもの場合、油を大量に吸収しているためカロリーや脂質の摂取量が跳ね上がります。その結果、カロリーの過剰摂取につながり、肥満や内臓脂肪の増加を助長させることになってしまうのです。
肥満により内臓脂肪が多くつくと、膵臓から分泌されるインスリンの効きが悪くなってしまうといわれています。これは「インスリン抵抗性」と呼ばれており、糖尿病患者さんの血糖コントロールを悪くする要因のひとつだとされています。

糖尿病食事療法を行っている人が、さつまいものレシピや調理法を探すときには「本当にその情報が正しいのかどうか」といった部分もしっかりと考えて取り入れるようにしましょう。

糖尿病患者に優しいさつまいもの食べ方とは?

糖尿病患者さんの食事療法では、食後血糖値の急激な上昇を抑えるために、食事の前に食物繊維を多く含んだ野菜やきのこ類、海藻などの食品を食べることが推奨されています。
しかし、さつまいもなどの芋類は、野菜に分類されるといっても「糖質」を多く含んでいるため、食前のサラダや野菜として摂取するのはおすすめできません。
さつまいもを使用した料理は、できるだけ食事の後半に食べるよう心がけましょう。

また、さつまいもは時間をかけて加熱をすると、デンプン質が麦芽糖に変化してしまいます。そのため、糖尿病患者さんが食べる際にはGI値があまり変わらない「ふかし芋」や「蒸しさつまいも」で摂取するのが良いとされています。

さつまいもには食物繊維が豊富に含まれているため、糖尿病患者さんの血糖コントロールに良い影響を与えてくれます。また、低カロリーで満足感を得られやすい食品なので、よく噛んでゆっくり食べるようにすると、ご飯やおかずの食べ過ぎを防ぐ効果も期待できるでしょう。

さつまいもから食物繊維を効率よく摂取するには、皮ごと食べるのがおすすめです。実は、さつまいもの実の部分より皮の方が多くの食物繊維を含んでいます。
さらに、目の健康に良いといわれているアントシアニンや、脂肪の蓄積や血糖上昇を予防するクロロゲン酸も皮にたっぷりと含まれているのです。

クロロゲン酸は、コーヒーにも多く含まれており「糖尿病に良い」といった研究結果も発表されているほどです。糖尿病の予防や改善には、1日3~4杯程度のコーヒーを飲むことが推奨されていますが、患者さんのなかにはコーヒーが苦手で飲めない方もいるでしょう。
そのような方は、さつまいもを皮ごと食べることでもクロロゲン酸を摂取できます。

ただし、「さつまいもは糖尿病に良い食べ物なんだ」と多く食べ過ぎてしまうと、カロリーや糖質の過剰摂取にもつながってしまう恐れがあるため注意してください。
目安としては1日50~60g程度までとし、毎日の食事や運動前の間食に上手に取り入れていきましょう。

さつまいも蒸しパンのレシピは糖尿病でも安心?

糖尿病患者さんのなかには、「さつまいも蒸しパンなら安心して食べられる」と考えて、そのレシピを検索している人も多いでしょう。
食パンやロールパンなどはGI値が高いため、糖尿病治療中の人は思いっきり食べることができません。そこで注目され始めたのが蒸しパンです。
「蒸しパンは糖尿病でも安心」といった情報がひとり歩きしてしまっている状況なのですが、実は蒸しパンもカロリーや糖質量が決して少ないわけではありません。

一般的な蒸しパンであれば、1個あたりのカロリーは142kcal程度、糖質量は25gほどだといわれていますが、これはかなり小さめの蒸しパンを想定した数字です。
2つ食べてしまえば284kcal、糖質50gにもなってしまうので注意が必要です。
また、蒸しパンには小麦粉や砂糖、バターや卵が使われており、糖分や脂質の摂り過ぎにもつながります。

大手レシピサイトのクックパッドでは、「さつまいも蒸しパン 糖尿病」で検索すると1件ヒットします。
材料は、さつまいも、豆乳または牛乳、砂糖、マーガリンまたはバター、薄力粉、ベーキングパウダーとなっています。ところが、こちらのレシピにはエネルギー量や糖質量が一切書かれていません。

もちろん、自宅でさつまいも蒸しパンを作る際には、ラカントなどの甘味料を使用することも可能です。しかし、手作りの蒸しパンはカロリーや糖質、脂質といった数字を把握しにくく、知らず知らずのうちに食べ過ぎてしまうケースも少なくありません。
糖尿病患者さんが蒸しパンを食べるときには、カロリーや糖質が明記されている市販のものを選んだ方が摂取量の調整をしやすいでしょう。

まとめ

さつまいもは、野菜のなかでも糖質量が多い食品のひとつですが、豊富な食物繊維とビタミンA、カリウムなどを含む栄養価の高い芋類です。
高血圧や高血糖を予防したり、免疫力の向上、目の健康維持にも役立つといわれているため、毎日の食生活に積極的に取り入れて欲しい食べ物といえます。
しかし、糖尿病治療においては、さつまいもに限らずさまざまな食品をバランスよく摂取することが大切です。「これを食べれば糖尿病が治る」といった食べ物は存在しません。
カロリーや糖質をはじめ、各食品の栄養価についてしっかりと学習しながら、良好な血糖コントロールを行っていきましょう。

この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

 

 

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