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糖尿病と鼻血の関係‐よく鼻血が出ると糖尿病?

糖尿病による鼻血に関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 頻繁に鼻血が出ます。糖尿病なのでしょうか?
A. いいえ、糖尿病だと鼻血が出やすくなるのは事実ですが、よく鼻血が出るからといって糖尿病だというわけではありません。しかし、気になる場合には医療機関を受診するのがよいでしょう。

この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

糖尿病だと鼻血が出やすくなる?

鼻血(鼻出血)とは、何らかの原因によって鼻の中やその奥の血管が損傷し、その出血が鼻の穴から流れ出る・またはのどに落ちていく状態です。ほとんどの鼻血は、自分で鼻をほじる・かむという行為によって鼻の粘膜の血管が傷つくことで起こります。また、乾燥によって鼻の粘膜が傷つきやすくなると、鼻血のリスクが高まります。

鼻血は、誰もが経験したことのある身近な現象だといえるでしょう。特に子供は、鼻の粘膜が発達途上であるために傷つきやすく、少しの刺激ですぐに鼻血が出ます。子供の鼻血の原因は、鼻をいじる癖やアレルギー性鼻炎によるかゆみのために鼻をほじるという行為がほとんどで、比較的単純なものです。しかし大人では、糖尿病や高血圧、肝臓の障害、血液を固まりにくくする薬の使用など、鼻血の背景に全身的な問題をもつ場合があります。そのうちの糖尿病では、「出血しやすく止まりにくい」状態になることによって、鼻血が出やすくなります。

 

糖尿病で鼻血が出やすくなる3つの理由

1.血管障害

糖尿病だと鼻血が出やすくなる原因は、糖尿病の合併症である血管障害にあります。血糖値の高い状態が続くと、細い血管の内側が傷つき、脆くなります。そのため、鼻の粘膜にある毛細血管が損傷しやすくなるのです。また、太い血管では動脈硬化が起こります。動脈硬化によっても血管は脆くなるので、鼻の奥の太い血管からも出血しやすくなります。

2.高血圧

また、糖尿病には高血圧の合併が多くみられます。これは、動脈硬化によって血管が硬くなり、心臓から送り出された血液をしなやかに受け止められなくなることで起こります(血圧とは、心臓から送り出される血液量とそれを受け止める血管の抵抗とを掛け合わせた数値なので、血管が硬くなり抵抗が増えると上昇します)。高血圧があると、出血した場合その勢いが強いため、止まりにくくなります。そのため、糖尿病だと鼻血が出やすく、高血圧を合併しているとそれが止まりにくい、ということになるのです。

3.薬の作用

更に糖尿病の患者さんは、血液を固まりにくくする薬を使用している場合も多くあります。これは、動脈硬化によって血管の内側に血の塊ができ、それによって血管が詰まってしまう脳梗塞や心筋梗塞を発症することがあるためです。血液を固まりにくくする薬は、これらの病気を防ぐ半面、出血したときには止まりにくい状態を作ってしまうのです。これらのことから、糖尿病は、大人の鼻血の背景要因となるものをいくつも発生させてしまう危険な存在だといえます。

 

糖尿病による鼻血の特徴

糖尿病があると、「出血しやすく止まりにくい」状態になっているため、頻繁に繰り返す、出たら止まりにくい、一度止まっても少しの刺激でまた出てくる、などの鼻血が考えられます。

また、通常の鼻血は、鼻の穴から1~2cm奥にある「キーゼルバッハ部位」という部分からの出血です。このキーゼルバッハ部位には細い血管が密集しているため、何らかの刺激によって出血しやすいのですが、自分で圧迫することで止血できる場合がほとんどです。ですが、糖尿病で動脈硬化が進んでいる場合は、鼻の奥の太い血管から出血することもあります。この鼻血では出血量が多く、専門医による速やかな止血が必要になります。

鼻血が出たときの対処方法

鼻血が出たときには、まず圧迫による止血を試みましょう。この方法は、糖尿病があってもなくても同様です。

座った状態で顔を下に向け、両方の小鼻を強くつまんで、15~20分圧迫し続ける。

止血このときに大事なことは、「15~20分の間、決して手を離さない」ことです。また、顔を上に向けてしまうと、鼻血が喉に垂れ込んで苦しくなります。鼻血が落ちてきた場合には、下を向いたまま口から静かに吐き出しましょう。ちなみに、鼻に詰め物をする必要はありません。
15~20分圧迫しても鼻血が止まらない場合には、もう一度同じように圧迫します。それでも止まらないときには、医療機関を受診する必要があります。また、糖尿病があると鼻の奥の太い血管から出血することもあります。この場合には、小鼻を圧迫しても全く止血されず、多量の鼻血が口や喉に流れ込んできますので、すぐに医療機関を受診しなければなりません。救急車を呼んでも構わないでしょう。

糖尿病による鼻血を予防するためには

糖尿病による鼻血を予防するために最も効果的なのは、血糖コントロールです。先にご紹介したように、糖尿病による鼻血は、高血糖状態で起こる血管障害が原因です。ですから、血糖値を適正範囲に維持して血管障害の進行を抑えることが、鼻血を出にくくすることにつながります。また、高血圧がある場合には、血圧のコントロールも必要になります。それに加えて、以下のような鼻の粘膜を傷つけないようにする工夫をするとよいでしょう。

  • 鼻をかむむやみに鼻をいじらない。
  • 鼻をかむときには大きく息を吸い込み、力を入れずにゆっくりと吹き出す。
  • 部屋の湿度調節やマスクの使用によって、鼻の乾燥を防ぐ。
  • 鼻の中にワセリンを薄く塗って保湿する。
  • アレルギー性鼻炎など、鼻水やかゆみの原因となる病気を治療する。

よく鼻血が出ると糖尿病?

糖尿病だと鼻血が出やすくなりますが、よく鼻血が出るからといって糖尿病だというわけではありません。その理由は以下のとおりです。

1.鼻血の原因はさまざま

鼻血は、乾燥した時季に鼻をかむだけでも起こりうる、ごく一般的な現象です。また、病気が原因で鼻血を繰り返すという場合でも、その病気には糖尿病以外にもさまざまなものがあります。例えば、アレルギー性鼻炎、肝機能障害、白血病などです。ですから、鼻血イコール糖尿病と考えるのは、少々早計だといえるでしょう。

2.子供の鼻血と糖尿病の関連は薄い

糖尿病による鼻血の原因は血管障害ですが、これは高血糖状態が数年間持続することによって起こります。ですから、子供の鼻血を糖尿病の兆候として捉えるのは難しいといえます。もしそうであるなら、よほど小さいときから高血糖状態が持続していたことになりますが、子供の糖尿病は急激に血糖値が上昇して発覚する場合が多いのです。

3.鼻血は糖尿病の典型症状ではない

糖尿病には特徴的な症状があります。初期の段階では自覚症状がない場合も多いのですが、高血糖状態が持続すると、尿が泡立つ、尿の量が増える、口渇が強くなる、体重が減少する、疲れやすくなる、風邪などの感染症にかかりやすくなる、などの症状が現れます。既に合併症(神経障害・網膜症・腎障害)が起こっている場合には、手足がしびれる、勃起障害、目がかすむ、飛蚊症(視野に影やゴミのようなものが映る)、むくみ、などの症状が現れます。鼻血以外にも気になる症状がないか、今一度確認してみてはいかがでしょうか。ちなみに、糖尿病に関する教科書的な文献の中では、鼻血は糖尿病の症状や合併症としてはあげられていません。鼻血は、「糖尿病の人に起こりやすいトラブル」というような位置付けだと考えられます。

とはいえ、糖尿病による症状の現れ方には個人差があり、かなり進行していても自覚がない場合もあります。極端な例では、合併症である網膜症によって失明寸前になって発覚したというケースもあります。また、糖尿病は合併症の進行を抑えることが最大の目標になる病気なので、早期発見と治療がとても大切です。ですから、鼻血で糖尿病が心配という気持ちがあるのであれば、一度医療機関を受診してみるのがよいでしょう。

糖尿病かもしれないと思ったら血液検査を

1.糖尿病の診断には血液検査が必要

糖尿病の診断は、血液検査によって行われます。ですから、糖尿病かどうか気になるという場合には、医療機関を受診する必要があります。その場合に選ぶ診療科は、内科、糖尿病内科、代謝・内分泌内科(医療機関によって表記が異なります)がよいでしょう。

2.糖尿病の診断方法

糖尿病の血液検査では、血糖値を測定します。血糖値には、10時間以上食事や糖分を含む飲み物を摂っていない状態で採血したときの「空腹時血糖」と、食事とは関係のないタイミングで採血したときの「随時血糖」があります。また、空腹状態でブドウ糖入りのソーダ水を飲んでから採血する「75グラム経口ブドウ糖負荷試験」という検査もあります。糖尿病では、これらの血糖値が基準値以上になります。

そして、糖尿病と診断するためには、血糖値が基準値以上であることを2回確認することが必要になります。日を改めて、上記のうち2種類の血糖値を再検査するのです。ですが、糖尿病の診断に使用される血液検査には、もうひとつ「HbA1c」というものがあります。HbA1cとは、採血した時点から過去1~2か月の血糖値の状態を反映する検査値で、食事とは関係のないタイミングで採血できます。このHbA1cと血糖値が両方基準値以上だった場合には、血糖値の再検査なしで糖尿病と診断されます。つまり、採血のために食事制限をする必要はなく、1回受診するだけで済むということです。また、既に糖尿病の症状がみられる場合・自覚症状がなくても眼底検査によって網膜症の所見が確認された場合にも、1回の血糖検査のみで糖尿病と診断できます。

3.健康診断で注目すべき項目

血糖値は、一般的な健康診断項目に入っている場合がほとんどです。鼻血に加えて、健康診断で血糖値が基準(空腹時血糖110mg/dL未満・随時血糖140mg/dL未満)より高い場合には糖尿病が疑われますので、速やかに医療機関を受診しましょう。

まとめ

1.糖尿病だと鼻血が出やすく止まりにくい

鼻血は、誰もが経験したことのある身近な現象だといえるでしょう。鼻血の多くは、自分で止血でき深刻な状況にはなりません。ですが糖尿病があると、「鼻血が出やすく止まりにくい」状態になります。通常の鼻血は、「座った状態で顔を下に向け、両方の小鼻を強くつまんで、15~20分圧迫する」という方法で止血できる場合がほとんどですが、糖尿病があると鼻の奥の太い血管から出血することもあります。この場合には、小鼻を圧迫しても全く止血されず、多量の鼻血が口や喉に流れ込んできますので、すぐに医療機関を受診しなければなりません。

糖尿病だと鼻血が出やすくなる原因は、糖尿病の合併症である血管障害にあります。血糖値の高い状態が続くと、全身の血管がダメージを受け、脆くなります。これによって、鼻の中の血管が損傷しやすくなるため、鼻血が出やすくなるのです。それに加えて、糖尿病には高血圧の合併が多くみられます。高血圧があると、出血した場合その勢いが強いため、止まりにくくなります。更に糖尿病の患者さんは、動脈硬化があるために血液を固まりにくくする薬を使用している場合も多くあります。この薬の影響によっても、出血が止まりにくくなります。これらのことから、糖尿病だと鼻血が出やすく、それが止まりにくい、という状態になってしまうのです。

2.鼻血イコール糖尿病ではない

糖尿病だと鼻血が出やすくなるのは事実ですが、よく鼻血が出るからといって糖尿病だというわけではありません。鼻血は、乾燥した時季に鼻をかむだけでも起こりうる、ごく一般的な現象です。また、糖尿病に関する教科書的な文献の中では、鼻血は糖尿病の症状や合併症としてはあげられていません。とはいえ、糖尿病による症状の現れ方には個人差があり、かなり進行していても自覚がない場合もあります。ですから、鼻血で糖尿病が心配という気持ちがあるのであれば、一度医療機関を受診してみるのがよいでしょう。

3.糖尿病が心配なら早めの受診を

糖尿病を診断するためには、内科、糖尿病内科、代謝・内分泌内科で血液検査を行います。「血糖値」と「HbA1c」という項目を検査できれば、事前に食事制限をしておく必要がなく1回の受診で済みますので、気軽に受診することをおすすめします。糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こす病気です。早期発見と治療によって合併症の発生を予防することが、生活の質を維持することにつながるのです。

 

 

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