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HbA1c値で“隠れ糖尿病”が分かる!
毎年健康診断を受けていても、HbA1cの値を調べていないと、近い将来糖尿病になってしまう可能性があります。
空腹時血糖値が正常でも、後に血糖値異常が見つかるのは、3人に1人と大きな割合です。EDのリスクも問題になっています。
糖尿病になると失明など深刻な合併症の心配も出てきます。予防のためにHbA1cの値を定期的にチェックすることが必要です。
基本検査で異常がなくてもHbA1c検査は必要
定期検診などの一般的な検査でわかるのは、一部の情報だけです。様々ある血糖値の検査で特に重要なのはHbA1c値です。
空腹時血糖値が正常でも油断できない?
健康診断で血糖値に問題がないと分かったら、安心するのが普通です。しかし、時間や食事、運動、ストレスなどで変動する血糖値の異常値を、一般的な検査だけで見つけるのは困難です。
通常、健康診断で行われる血糖値検査は、朝食をとらずに行う空腹時血糖値のみです。しかし、空腹時血糖値で異常が見つかるのは、糖尿病がかなり進行した状態です。
糖尿病も軽度なら空腹時血糖値では見落とされることがあり、隠れ糖尿病と呼ばれています。糖尿病予備軍の時点で対策を始めると発症を防げます。糖尿病になって後悔しても時間を戻すことはできません。
多くの方が糖尿病は治らない病気だと認識しています。そのため、検査で「気を付ける必要がある」と指摘されると誰でも少しは警戒するようになります。すぐに食事制限や運動対策に取り組むことができなくても、「このままではいけない」と自覚することが重要です。
ところが、空腹時血糖値に問題がないと再検査を受ける機会を失い、翌年の健診まで早期発見のチャンスを逃してしまうことになります。
ごまかせないHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
血糖値は食べたものの影響を直接受けます。条件によっては、短期間の食事制限や運動を行えば、検査で良好な数値に近づけることも不可能ではありません。
ただ、一時的に再検査を逃れることができても、ライフスタイルの根本的な対策に乗り出さない限り、糖尿病をいつ発症してもおかしくありません。
検査を受ける1~2ヶ月前の血糖の状態が数値に出る、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)はごまかしがききません。より“事実”に近い数値をチェックすることができます。
HbA1cはどんな検査?
一度の空腹時血糖値検査では、糖尿病かどうか判断することはできません。空腹時血糖値の値に加え、HbA1cの数値も参考にした上で糖尿病の診断が確定されます。糖尿病関連の数ある検査の中でも特に重要な検査方法です。
HbA1cと空腹時血糖はどう違う?
空腹時血糖値もHbA1cの値も、糖尿病リスクをチェックするために欠かせない指標です。空腹時血糖値は空腹時の血糖値の数値、HbA1cの値は直近1~2ヶ月の平均的な数値を表しています。
空腹時血糖値は絶食した状態で病院に向かわなければなりませんが、HbA1cは検査当日に食事制限をする必要はありません。
HbA1cの値は食後すぐ測定しても空腹状態で測定しても数値は変わりません。検査前の状態に左右されず1~2ヶ月の血糖の状態が数値に反映されます。
HbA1c検査で過去の状態がなぜ分かる?
HbA1cの値を調べると、過去に遡って血糖の状態を知ることができます。検査で調べるヘモグロビンは赤血球の成分の一種で、寿命が約120日間あります。
寿命が尽きるまでの120日間、徐々に糖がヘモグロビンと結合していきます。一旦糖がくっつくと元に戻ることはありません。糖と結合する割合は血糖濃度と時間に比例するため、採血時より前の情報がわかります。
低血糖が続くとHbA1cの値も低下、高血糖状態が続くとその分HbA1cの値も高くなります。
HbA1c値で“隠れ糖尿病”を発見することが大事
空腹時血糖値の検査では絶食状態の数値しかチェックできないため、隠れ糖尿病や低血糖を見つけることはできません。
HbA1c値が高いのは食後高血糖が原因?
空腹時血糖値が正常値でHbA1c値が高い場合、食後高血糖を起こしている可能性が大きくなります。この食後高血糖も糖尿病の重要な指標の1つです。
血糖値は食後上昇しても、1~2時間経過すると140mg/dl以下まで下がるのが正常です。2時間経過しても140mg/dl以上なら食後高血糖に該当します。
空腹時血糖値が正常域でも食後高血糖がみられると合併症リスクが上昇するため、糖尿病予備軍と診断されます。
実は糖尿病予備軍?
食後高血糖はブドウ糖負荷後2時間値を計測すると分かるので、再検査を受け予備軍かどうか確かめましょう。当社のエイコン血糖値測定器を使えば、自宅で食後の血糖値を気軽に測定することもできます。
同じ糖尿病予備軍でも空腹時高血糖タイプと食後高血糖タイプは合併症リスクが異なります。
食後高血糖タイプは空腹時血糖値が高いタイプよりも心血管系疾患の死亡リスクが高いことが分かっています。
糖尿病を発病するより先に動脈硬化やがん、脳卒中などおそろしい病になるパターンも珍しくありません。空腹時血糖値の数値だけで安心せず、食後の血糖値も把握しておく必要があります。
HbA1cの数値は低すぎてもダメ
空腹時血糖値が正常範囲でも、HbA1cの数値が高いと食後高血糖の可能性があるので要注意です。ただしHbA1c値は低すぎてもいけません。
HbA1c値の正常値!低いのは低血糖?
HbA1cの正常値は6.2%未満です。これより高いと「境界型」、「糖尿病型」に分類され、糖尿病や予備軍と診断されます。
糖尿病リスクが高い患者さんは75g経口ブドウ糖負荷試験で食後高血糖を調べる必要がありますが、HbA1cの数値は低すぎてもNGです。数値が高い時と同じように再検査を受けます。
糖尿病では高血糖に注目がいきがちですが、低血糖も安心できません。原因は複数あり、糖尿病を急に発症、悪化した場合も一気に低血糖になる可能性があります。
他に肝硬変や溶血性疾患、鉄欠乏性貧血の影響で数値が下がることもあります。血糖値が低ければ良いのではありません。
たった1度の低血糖発作で死亡することも
糖尿病はじわじわと進行していく病気なので、糖尿病そのものが原因で亡くなるリスクは高くありません。
ただし、最近の研究により重症低血糖は一度の発作でも心血管疾患のリスクが上昇し死亡する可能性もあることが分かりました。
弊社で扱っているエイコン血糖値測定器は、高血糖の方はもちろん低血糖リスクがある方にも多数ご注文いただいています。インスリン療法や経口血糖降下薬など薬物療法を行っている患者さん、高齢の患者さんも低血糖になるリスクを抱えています。
こまめに血糖値を測定し、高血糖を警戒しながら、低血糖になるのも避けなければいけません。HbA1c値が正常でも低血糖になることはあるので、HbA1cの数値だけで低血糖の可能性を判断することはできません。
高血糖と同じように、複数の検査を行って変動パターンを見極め、自分が背負い込んでいるリスクを知っておく必要があります。
HbA1cの治療目標
隠れ糖尿病を見過ごさないためにも、定期的にHbA1cの値を測定することが大切です。血糖を正しくコントロールするため、治療の目標となる数値を把握しておきましょう。
HbA1c の正常値は6.2%未満
空腹時血糖値の数値が100mg/dl未満かつHbA1cの値が5.6%以下の場合、正常値とみなされます。空腹時血糖値もHbA1cの値も問題がなければ、再検査を受ける必要はありません。
定期測定は欠かせませんが、健康的なライフスタイルをキープしましょう。HbA1cが6.2~6.9%になると、再検査を受けた方が良いレベルです。糖尿病を患っている家族がいる場合や肥満体型の場合、高血圧や脂質異常症などリスクを上げる要因がある方も、75gOGTTを受け食後高血糖の可能性を調べておいた方が無難です。
タバコを習慣がある方、お酒を飲む習慣がある方も手遅れになる前に糖尿病リスクを確かめておくのが理想的です。
6.9%以上になると、ついに糖尿病型と診断されるので再検査を逃れることはできません(空腹時血糖値126mg/dl以上)。ただちに受診しなければいけない危険なゾーンに突入しています。
初回の検査でも空腹時血糖値とHbA1cの値が両方糖尿病型と出て、糖尿病の診断が確定することもあります。
HbA1cの治療目標は3段階
HbA1cの治療目標は時代によって微調整されるので、常に最新情報を把握しておく必要があります。かつて5段階で定められていた治療目標は、現在6%・7%・8%と3段階に設定されるようになり、より分かりやすくなっています。
HbA1cの治療目標は患者さんの条件によって差があるので、個別に設定が必要です。食事療法や運動療法で対処可能なら、当面の目標はHbA1c6.0%未満を目指します。
薬物療法を受けていても、低血糖などの副作用がない比較的軽度の患者さんも、数値目標は6.0%。血糖コントロールは段階を追って目標の数値に近づけるのが理想的です。まずは目先の目標値に到達してから正常値をゴールに掲げましょう。
HbA1cで合併症を予防するための基準は、HbA1c7.0%未満です。残念ながら治療強化が困難な患者さんの場合でも、HbA1cが8.0%以上にならないよう血糖値をコントロールする必要があります。
妊婦さんや高齢者など例外もありますが、一般的にはこの3つの数値が治療目標になります。
HbA1cの単位はJDS値からNGSP値へ
HbA1cの単位が新しくなったことはご存知でしょうか。今までHbA1cの数値は日本糖尿病学会が定めたJDS値が採用されていました。
JDS値は日本独自のもので、世界共通で使われているのはNGSP値です。現在は日本も国際基準のNGSP値に変わりつつあります。
NGSP値の基準はJDS値より0.4%高いので、HbA1cの値をチェックする時は単位も確認して下さい。
「以前より高くなった?」と思っても単位が違うだけということもあります。同じ血糖値でも単位によって0.4%も誤差が出るので、インスリン治療中の患者さんなど、厳しい血糖コントロールが必要な方は特に注意が必要です。
HbA1cの値を調べる方法
HbA1cの値を調べるには病院で行うのが基本ですが、測定器を入手すると自分で調べることもできます。
病院で測定するのも自己負担ですから、待ち時間を節約し自分のペースで行えるメリットは大きいと言えます。
その日のうちに結果が判明!
HbA1cの値を調べるためには、空腹時血糖値と同様に採血を行います。HPLC法(高速液体クロマトグラフィー)を採用している病院やクリニックでは、測定にたった100秒しかかかりません。
その日のうちに結果が出るので、スピーディーに今後の治療方針を決めることができます。
HbA1c検査に保険は適用される?
HbA1c検査は基本的に自費診療扱いです。費用は医療機関によって異なりますが、空腹時血糖値と一緒に調べても数千円で受けられるところが多くあります。
ただし、既に糖尿病の診断が確定され、治療を受けている患者さんなど条件によっては保険が適用されます。
また、自己測定できる薬局も増えています。(ツルハドラッグかんたん!血液検査:4,500円)HbA1c値もチェックできる市販の糖尿病検査キットの場合、検査1回分で4,000~13,000円前後かかるようです。
(健康管理館ヘモグロビンA1c検査:4,320円、大塚製薬健康チェッカー:1回分7,600円)
血糖値測定器でHbA1cを算出する方法も
普通の血糖値測定器を使ってHbA1cの値を計算する方法もあります。血糖値の平均値からHbA1cの値を計算する方法が米国糖尿病協会から発表されています。自己測定器を持っていて数値の平均データがある方は、計算することができます。
多少の誤差はあるかも知れませんが、計算式を活用すれば自己測定器の活用の幅も広がります。平均値は1日に測定する回数が多いほど正確な数値に近づけることができます。
当社で扱っているエイコンの血糖値測定器は消耗品代が業界最安値なので、気軽に計測しやすいと評判です。糖尿病の対策も早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。
血糖値平均値からHbA1cの値を計算する方法:推定HbA1c=(平均血糖値+46.7)÷28.7