目次
糖尿病と指に関する基礎知識
弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病になると指に症状が出るのですか?
A. はい、指のしびれなどの症状が出ます。悪化すると指を切断しなければいけないので注意が必要です。
糖尿病の症状としての足の指の症状
糖尿病の症状としてわかりやすいものが、「しびれ」です。
糖尿病はそれ自体の症状が顕著にあらわれる病気ではなく、主に合併症に注意しなければなりません。
糖尿病の合併症には「神経症」「網膜症」「腎症」の3つがあり、このうち神経症による症状の一つが指などのしびれです。
糖尿病神経障害によるしびれが顕著にあらわれるのが、手足の指です。
糖尿病かも、と思うきっかけになる症状にはいろいろな種類のものがありますが、その中でも指のしびれは比較的分かりやすい症状です。
糖尿病が進行する前に、前兆的な指のしびれが起こることも多く、指のしびれを感じるようになったら、糖尿病を疑うべきでしょう。
そもそもなぜ糖尿病になると手の指がしびれるのでしょうか。
その理由は糖尿病の合併症である神経障害にあります。糖尿病になると手や足などの末端神経がダメージを受けてしまい、これによって手足の指が痛くなるのです。
糖尿病患者のうち痛みやしびれの症状を自覚している人は全体の約15%程度であるといわれています。
そのほかにも自覚症状として認識していない人を含めると、30〜40%の患者に指の痛みやしびれが起きていて、指のしびれは糖尿病の合併症としてはかなり発症率が高い症状です。
そのため、足や手の指がしびれ始めた場合、糖尿病を疑う必要があります。
足の指のしびれ
糖尿病による指のしびれは通常、手の指よりも先に足の指にあらわれます。
さらに足のしびれは指だけでなく、足裏にあらわれる場合もあります。
糖尿病の合併症としてなぜ神経障害が起こるのかはまだ原因がわかっていません。
一説として、神経障害を起こす原因物質「ソルビトール」が、高血糖の状態が続くと蓄積されることが挙げられます。
さらに高血糖の状態が続けば毛細血管の流れが悪くなり、神経細胞に酸素や栄養が送られなくなるからだという説もあります。
ビリビリ、ジンジンしたしびれの他に、足の裏にごわごわした靴下を履いているような感覚になるのも、この神経障害の症状の一つです。
足の指の痛み、麻痺
足指のしびれが起きてから糖尿病がさらに悪化すると、しびれは徐々に痛みに変わっていきます。
ただし足の指のしびれのすべての原因が、糖尿病というわけではありません。
糖尿病による足の指のしびれは、糖尿病での神経障害が原因ですが、足のしびれはその他にも血管が圧迫されて起こる血流性のものもあります。
糖尿病以外の足のしびれの原因となる病気として、足根管症候群や椎間板ヘルニアなどが挙げられます。
椎間板ヘルニアは通常は腰の痛みとしてあらわれやすいのですが、背骨の椎骨と椎骨の間にある椎間板が飛び出しヘルニアになることで神経が圧迫され、結果として足がしびれるようになります。
いずれにしても足のしびれが継続的に続くようであれば、糖尿病を疑うことも重要ですが、その他にも何らかの病気にかかっている可能性が高いため、できるだけ早く医師の診療を受けた方がよいでしょう。
指先が冷たくなる
手の指のしびれ、痛み、そして麻痺以外に糖尿病による神経障害の症状としては、足の指先が冷たくなるというものがあります。
足の指、あるいは足全体が冷たくなってしまうと、歩いているうちに痛みが悪化し、歩けなくなる状態にもなります。
しかしこの指の冷えは、糖尿病以外にも原因が考えられますので注意してください。
たとえば、足の血管が狭くなったり詰まってしまったりする動脈硬化の状態になっても、指が冷たくなることがあります。
糖尿病の症状としての手の指の症状
糖尿病による指の異常は、足の指だけでなく手の指にもあらわれます。
しかししびれや痛みは、糖尿病の神経障害が原因の場合、多くのケースで手の指よりも足の指に先に出るものです。
指のしびれは、手や足という体の先端から、徐々に体の中心に向かって進行していきます。
足のしびれ同様、手の指にしびれや痛みが出るようになったら、それは糖尿病の前触れかもしれませんので、医師に相談することをおすすめします。
手の指のしびれ、震え
糖尿病による指のしびれは、足の指のしびれと同様、糖尿病の初期から発症する合併症です。
糖尿病により神経が正常な状態でなくなると、しびれの症状があらわれます。
また、手や手の指のしびれに加え、手の震えも糖尿病が原因となって起こります。これは糖尿病自体の症状ではなく、糖尿病を治療するためのインスリン製剤などの用法・用量を間違え、血糖コントロールに失敗して低血糖状態になった時の症状です。
手の指の痛み、麻痺
糖尿病の症状として手の指に出るものはしびれの他に、痛みや麻痺という形にまで進行する場合もあります。
足の指のように神経が完全に麻痺して、その結果、傷に気がつかず細菌で組織が壊死して切断にまで至るということは、足指や足と比較して少ないですが、まったくないわけでもありませんので、手の指のしびれも注意が必要です。
さらに、手の指も足と同様神経障害や高血糖により、冷たくなる場合があります。
糖尿病が悪化すると最悪指の切断
糖尿病における足や手の指のしびれや痛みなどは、しびれだけのうちはあまり気にならなかったり、人によっては自覚症状として認識していない場合もあります。
しかし、足や手のしびれや痛みというのは、なかなか発見しにくい糖尿病の初期症状です。症状を自覚したら、すぐに病院で糖尿病の検査を受けましょう。
糖尿病が悪化すると足指の切断も
糖尿病による指の痛みは、糖尿病が進行するに従って思わぬ大きな問題にもなってしまうのです。
それは一体どんな状態なのでしょうか。
指のしびれから始まった糖尿病の神経障害の症状は、次に痛みへと進みます。痛みの次は麻痺、そして無感覚になると危険です。
なぜならその次に待ち構えているのは、足の切断という最悪の事態だからです。
ちなみに義足を使わなければならない理由の多くが、以前は外傷によるものが多くを占めていましたが、最近では糖尿病が原因で足を切断するケースが増えてきました。
糖尿病が原因で足を切断するという話は耳にしたことがあるかもしれませんが、そのきっかけが足の指のしびれから始まるということは知られていないのではないでしょうか。
ではなぜ足の指のしびれが最終的に足の切断にまでつながってしまうのでしょうか。
なぜ足を切断しなければならないのか
足の指のしびれの症状がどんどん進行すると、神経障害が悪化して最後には足の感覚がなくなってしまいます。
そうなると怪我などをきっかけに足や足指に傷がついたとき、普通であれば痛みで気が付き殺菌や薬を塗って治療しますが、感覚がないと傷に気がつかずに放置し、傷口から細菌が入り込んでしまいます。
本来なら細菌が入れば痛みで気が付くものですが、神経障害になると痛みを感じず放置してしまい、その結果細菌により組織が破壊され、切断せざるを得なくなる状況になるのです。
つまり、糖尿病による足の切断というものは、神経障害により感覚が麻痺し、知らないうちに傷ができて傷口から細菌が入ってしまうことによって起こります。
糖尿病になった時の足指のケア
実際に糖尿病になり、手や足の指のしびれや痛みが気になりだしたら、どうすれば足の切断を避けることができるのでしょうか。
もちろんその基本的な方法は、糖尿病の進行をできるだけおさえることです。糖尿病は生活習慣病の一つということで、規則正しい生活習慣を身につけることが一番です。
たとえば食事、そして運動というのが生活習慣病の進行を防ぐために最も基本となることですから、まずはそこをしっかり徹底してください。
もう一つ基本となるのは神経が麻痺して感覚がなくなってしまったら、しっかりと足のケアをすることです。
その一方で、神経障害自体を薬物療法で改善するという方法もありますので、気になるようであれば医師に相談し、適切な薬を処方してもらってもよいでしょう。
薬物療法による神経障害の痛みなどの改善も可能です。
その上で糖尿病による手足の指のしびれから、足の切断という重大な事態を避けるために、次のことを心がけてください。
足指を清潔に保つ
糖尿病の神経障害で足を切断しなければならないメカニズムに関してはすでに説明しました。
その対処法を明確にするためあらためて説明しておくと、糖尿病による神経障害の初期症状として足の指のしびれがあり、これがさらに進行していくとやがて神経が麻痺し、足の感覚がなくなってしまいます。
そうなると感覚のない足に怪我などで傷ができて傷から細菌が入っても、通常であれば痛みなどで気がつくものが感覚がないため気が付かず放置してしまい、その結果足の細胞が壊死し、最終的に切断しなければいけなくなる、というのがそのステップです。
そのため、まず何よりも、指のしびれの段階で糖尿病、あるいは神経障害の進行を止めるのが一番の予防となります。
仮に神経障害が進行し、足の感覚がなくなってしまったのであれば、するべきことは足の怪我を防いで、さらにできるだけこまめに足の状態をチェックすることです。
足の切断は傷口から細菌が侵入してしまうことが原因ですから、傷を作らないのと同時に細菌の侵入を防ぐことも大切と言えます。
傷自体は大きさや場所によっては目視できない可能性がありますので、糖尿病で足の感覚がなくなり始めたら、常に足を清潔に保つよう心がけましょう。
爪のチェック
足、足指を怪我する原因の一つは爪にあります。
爪を伸ばしっぱなしにしたり、仮に爪を切っても角が尖っていたりすると、足の指の爪が隣の足指に食い込み、時には皮膚に傷をつけてしまうことがあるのです。
そうなると、神経障害で感覚がなくなった足指の傷を知らないうちにどんどん傷つけてしまい、最終的には細菌が入って細胞が死んでしまいます。
爪切りというものは通常であれば身だしなみの一つと認識されているかもしれませんが、糖尿病で神経障害になってしまった人にとっては、大切なケアとなるのです。
爪による傷を防ぐためには、正しい爪の切り方などをかかりつけの医師に相談してみてもよいでしょう。
靴下などで保護する
足指に怪我をしてしまう原因は爪だけではありません。
屋外では当然のことながら素足ではなく靴を履くのが基本ですが、屋内でもできるだけ靴下を履き足指を怪我しないよう事前に対策しておくのが大切です。
さらに靴下を履いているときの湿度や温度を調整することで、足の神経障害の進行を遅らせたり、しびれや麻痺を改善したりすることも期待できます。
まとめ
このように手足の指のしびれ、あるいは痛みを感じていたら、それは糖尿病の合併症である神経障害の可能性があります。もちろん指のしびれや痛みが必ずしも糖尿病の症状だけかといえばそうとは限りませんので、糖尿病と決めつけることはできません。
なお、糖尿病による指のしびれは3ヶ月以上続くため、長期間にわたり指のしびれが治らなかったら糖尿病が原因かもと疑ってみましょう。
糖尿病により指のしびれはまず足の指から始まります。
指だけでなく、足裏などがビリビリ、あるいはジンジンし始めたら気をつけてください。糖尿病による指のしびれはまず足から始まり、初期段階ではまだ手の指まではしびれません。
次の段階として、しびれは痛みに変わってきます。さらに進行すると神経が機能しなくなり感覚がなくなってしまうのです。
こうなるとかなり重症で、多くの場合、足の指の感覚がなくなってしまい、もし怪我をしても気がつかず、細菌に感染すると細胞が壊死してしまい、最悪足の切断という状況になってしまいます。
このことからもわかるように、初めは足の指のしびれ、手の指のしびれ程度と軽い症状から始まります。
しかし、これらの症状を軽視して放置していると、糖尿病、そして神経障害の進行に従って、指の症状は悪化していきます。
もし、感覚が麻痺してしまえば、足の切断にまで至る、侮れない症状だと覚えておいてください。
糖尿病を指のしびれから早期発見するためには、
- 足の指がジンジン、ビリビリする
- 足の先のしびれ
- 足の先の痛み
- 足の感覚が鈍い
などの症状をいち早く発見し、医師の診断を受けましょう。