糖尿病:症状

糖尿病と脱水症状の関係は? 原因と解消方法

糖尿病と脱水症状に関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病と脱水症状は関係ありますか?
A. 糖尿病は脱水症状と関係が深く、急性合併症を発症することもあります。

糖尿病と脱水症状

人の体はほとんどが水分でできており、大人だと60%、子供だと70〜80%を占めています。糖尿病は高血糖により、水分が不足しやすくなる病気でもありますので、脱水はとても関連の深いものです。

脱水は命に危険を及ぼす急性合併症を発症することもありますので、どういう状況でそういった合併症が起きるのか、予防するためにはどうすればいいのか、脱水が起きた場合はどうすればいいのかということを知っておくと、いざというときに役に立ちます。

脱水症状とは?

脱水とは、体内の水分の量が不足した状態で、水分摂取量よりも水分喪失量のほうが多くなることをいいます。水分(体液)は血液、粘膜、消化液、リンパ液、唾液など人体の機能を維持するために必要なものです。そのため、水分喪失量が増えすぎると体の機能に障害が起こりはじめ、日常的な活動や生命の維持に問題が出てきます。この状態を脱水症状といいます。

糖尿病患者には高齢者も多いですが、高齢者は基本的な水分量が少なくなっている人が多く、また普段摂取する水分量も少ないため、脱水症状を起こしやすくなっています。体重に占める水分の割合が減っていくとあらわれる症状には以下のようなものがあり、脱水がひどくなるほど症状もひどくなっていきます。

  • 2%減少…のどの渇き、運動能力の低下
  • 3%減少…強いのどの渇き、食欲不振、ぼんやりする
  • 4%減少…イライラ、皮膚の紅潮、体温上昇、尿の量の減少と濃縮
  • 5%減少…頭痛、熱で茹で上がるような感じ
  • 8〜10%減少…けいれん、身体動揺
  • 20%減少…無尿、死亡

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糖尿病で脱水症状を引き起こす合併症

糖尿病の高血糖が原因で脱水症状が起こった場合、「糖尿病ケトアシドーシス」や「高血糖高浸透圧症候群」といった重症になり得る急性合併症を併発する可能性がありますので、注意が必要になります。

糖尿病ケトアシドーシス

インスリンが著しく不足すると、血液中のブドウ糖からのエネルギーが利用できなくなり、高血糖状態が続くことで、エネルギー不足を防ぐために脂肪などがエネルギー源として分解されます。その際にケトン体という酸性の物質が産生されますが、これが血液中にどんどん増えていくと、血液が酸性になり重度の脱水症状へとなっていくのです。

症状としては、急激なのどの渇き、多尿や頻尿、全身倦怠感、吐き気、腹痛などが出ます。インスリンがほとんどない1型糖尿病の患者がなることがほとんどで、2型糖尿病患者にはあまりみられませんが、清涼飲料水の過剰摂取によって起こる「清涼飲料水ケトーシス」と呼ばれる症状にはなる可能性があります。

糖尿病ケトアシドーシスが起きる原因は、極端なインスリン不足によるものですので、インスリン分泌のほとんどない1型糖尿病患者が、インスリン注射を打ち忘れた場合などに起こることが多いです。また、シックデイなどで、インスリンの量がいつもより必要だったにもかかわらず、通常時と同じ量しか打っていない場合などにも起こる可能性があります。

このような事態を防ぐためにも、インスリンを忘れずに打つようにし、またシックデイ・ルールを遵守して、いつもと体調が違うと感じたらすぐに血糖値を測定して、異常があるようならすぐに病院を受診しましょう。

高血糖高浸透圧症候群

高血糖高浸透圧症候群は、糖尿病ケトアシドーシスとは反対に、2型糖尿病患者に多く起きる急性合併症です。おもな症状は重度の脱水に加え、精神状態の障害で、錯乱、見当識障害、部分麻痺、けいれん発作、昏睡など重度の合併症、さらには死亡することもあります。高血糖高浸透圧症候群が起きる原因は、600mg/dL以上の極めて高い血糖値になった場合です。

この異常な血糖値の上昇が起こると、尿が大量に出て脱水症状を起こし、その結果血液が異常に濃くなることになります。これを高浸透圧といいますが、これがこの病気の名前の由来となっています。この病気も脱水症状を引き起こしますが、逆に脱水になったことにより高血糖高浸透圧症候群になることもあります。

では、それだけ異常な血糖値になるのは、どんな時なのでしょうか。おもな原因は2つあります。

薬物療法で使用すべき薬を使わなかった

糖尿病ではインスリンの分泌を促進させたり、インスリンそのものを増やしたりするために薬物療法がよく用いられます。糖尿病用の薬が処方されるということは、インスリンの働きに何らかの異常があると医師が判断したということですので、ちゃんと忘れずに薬を使用することが大切です。

インスリンのはたらきをできるだけ健康な人と同じような状態にしておくことで、はじめて血糖値を下げることができるわけです。ですから、糖尿病治療薬の使用を忘れたり、面倒だから使わなかったりということがあると、高血糖状態が続いてしまいます。それがシックデイなどと重なるとさらに高い血糖値になり、やがて高血糖高浸透圧症候群を発症することがあります。

感染症や手術などのストレス

尿路感染症などの感染症にかかったり、手術を受けたりした後などは、血糖値が大きく変動しやすくなります。手術や全身麻酔などは体にとってとても負担になりますので、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。これらのホルモンは血糖値を下げるインスリンとは逆に、血糖値を上げる作用があります。

さらに、手術により炎症反応が引き起こされ、それがインスリンを効きにくくする状態をつくってしまいます。そのため、糖尿病を患っている人が手術を受ける場合には、事前に血糖コントロールを良好な状態にしておく必要があります。

この急性合併症を起こすそのほかの要因としては、利尿薬、コルチコステロイドなどの血糖値を上昇させる薬の使用、脳梗塞や心筋梗塞などほかの病気によるもの、高カロリー輸液などさまざまな要因があります。

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糖尿病で脱水症状が起こる原因

大きな原因は水分摂取量が不足するか、水分喪失量が増加するか、あるいはその両方が同時に起こることにより脱水になります。問題は、どういうときにそういう状態になるのかということで、それを知っておくと脱水症状の予防にもなります。

高血糖により起こるもの

いくつかある糖尿病の症状の中でも、のどが渇くという症状はよく知られており、その原因は糖尿病は血糖値が高くなることにあります。血糖値が高いとはつまり、本来エネルギーとして使われるはずのブドウ糖が消費されず、血液中に多く混ざっている状態を指します。

その状態を解消するために、体は尿と一緒にブドウ糖を排出しますが、血糖値が高い人ほど排出するのに時間がかかりますので、排尿を何度もすることになります。これが頻尿とのどの渇き、そして脱水症状の原因となっているのです。

シックデイなどで起こる発熱・嘔吐・下痢によるもの

【嘔吐、下痢】
嘔吐や下痢はどちらも、水分を体外へ排出してしまう症状です。特に嘔吐は水分を摂取してもすぐに吐き出してしまうため、体内へ水分を補給することが難しくなります。

糖尿病は抵抗力が減りますので、ウィルスなどに感染しやすくなります。コレラや腸炎などに感染すると、嘔吐と下痢が同時に起こり水分が多く失われていきますので、脱水症状におちいる可能性がより高くなります。

【発熱】
発熱かぜなどの影響で発熱があると全身倦怠感が強くなり、水分の摂取量が減ります。そして、体温が上がったことで汗をかくと、体内の水分が排出されたり、呼吸が荒くなったりすることでも水分が失われます。

こうして、水分が失われるばかりの状態になり、それがひどくなると脱水へと繋がっていきます。シックデイの場合は、のどが渇いていると感じなくても、こまめに水分補給を行うことが重要です。

経口血糖降下薬によるもの

糖尿病の薬物療法では、SGLT2阻害薬と呼ばれる経口血糖効果薬があり、これを使用した場合に脱水が起こることがあります。SGLT2阻害薬は尿糖の排泄を増やして、血糖値を下げる効果のある薬です。そのため、これを服用すると多尿になり脱水症状になることがあるのです。

SGLT2阻害薬の種類はアルプウェイ錠、カナグル錠、ジャディアンス錠、スーグラ錠、デベルザ錠、フォシーガ錠、ルセフィ錠などがあります。

糖尿病に関係なく起こる脱水の原因は?

脱水は糖尿病ケトアシドーシスなどの特別なものでなければ、糖尿病でなくともなります。糖尿病に関係なく起こる通常の脱水症状としては、以下のようなものがあります。

  • 激しい運動や高温の場所での作業などで、過剰に発汗されて水分の補給も行わなかったことによるもの
  • 出血による水分の減少によるもの
  • 内分泌疾患、腎疾患、電解質代謝異常症などの病気によるもの

関係ないとはいっても、糖尿病の人も健康な人と同じく起こる可能性がありますので、注意をしておきたいところです。

症状は進行具合や人により異なる

糖尿病の症状として、のどの渇きが挙げられますが、すべての糖尿病患者が常にのどが渇いている状態かというと、そうではありません。病気の進行具合や人によっては、健康な人のようにまったくのどが渇かないという人もいれば、1日何リットルもの水を飲まないとのどが渇いてしょうがないという人もいます。

これはのどが渇く原因を考えてみれば、よくわかります。のどが渇くのは高血糖により、尿が大量に排出されているからです。高血糖の人の中にも数値が低い人もいれば、高い人もいますので、排尿の頻度も異なってきます。ですから、こういう差が生まれてくるのですね。

脱水症状の解消方法

糖尿病患者に脱水症状が起こった場合、病院では経口補水塩や輸液などを投与することにより治療を行います。そこまで重症でない場合で、経口により摂取が可能であれば経口補水塩を摂取します。

病院以外での応急処置も、基本的には水分を摂取することが大事です。ですが、スポーツドリンクや糖分を多く含む清涼飲料水などの飲み物は、血糖値を高くして余計に脱水を悪化させてしまう可能性もあります。なるべく糖分が少ない飲み物を摂取するようにしましょう。

脱水症状になる前にこまめに水分補給を

1日の適切な水分量は1.5リットルほどですが、糖尿病患者の場合はもっと多く摂取するようにしたほうがいいでしょう。特に暑い日が続いている場合、運動療法をして汗をかく可能性がある場合は、多めに摂取することで予防になります。

スポーツドリンク水分補給が大事といっても、スポーツドリンクや清涼飲料水などの糖分が大量に含まれているものは、血糖値を上げることになりますので飲まないほうがいいでしょう。糖尿病ですぐにのどが渇く場合、こういった飲み物を飲んでも一時的にのどの渇きがうるおいますが、血糖値が上昇することでさらにのどが渇き、悪循環になります。

その悪循環によりどんどん血糖値が上がっていくと、ケトン体という酸性物質が血液中に増えていき、悪化すると脱水症状になったりケトアシドーシス(酸性血症)という状態になることがあります。症状としては、腹痛、嘔吐、多尿などが起き、ひどくなると意識障害や昏睡といった重症になることもあります。

ケトアシドーシスは、通常1型糖尿病患者が発症することが多いですが、清涼飲料水を大量に飲むことで引き起こされるケトアシドーシスは、2型糖尿病患者でも起こります。このことをペットボトル症候群(または清涼飲料水ケトーシス)と呼びます。

また、注意したいこととして、よくノンシュガー・無糖・糖分ゼロとうたって販売されているドリンクがありますが、これらの表記は「100mlあたりの糖分が0.5g未満」であれば、表記してもいいことになっています。ですから厳密には必ずしも糖分がゼロではないということですので、できれば避けたほうがいいでしょう。

薬物療法でインスリン注射やスルホニル尿素(SU)剤などの、低血糖を起こすことのある薬を使用している人は、低血糖を防いだり緊急時のためにスポーツドリンクや、経口補水液などを飲むこともありますが、過剰に摂取すると逆効果になりますので担当医師の指示に従って摂取するようにしましょう。

まとめ

今回は、糖尿病と脱水症状についてお伝えしてきました。糖尿病は高血糖のため脱水が起きやすい病気です。そのため、健康な人よりも意識的に多く水分を摂取する必要があります。これは病気の進行度合いなどに関係なく、行うほうがいいでしょう。

のどが渇くという症状から糖尿病が発覚するケースもありますので、たかがのどの渇きだと甘く見ず、あまりに頻繁に起こるようであれば、医療機関を受診することをおすすめします。

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この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

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