目次
糖尿病予備軍に関する基礎知識
弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病予備軍とはどういう状態?対策法は?
A. 糖尿病予備軍の状態のまま過ごしていると、いずれ糖尿病を招くことになります。糖尿病の原因や特徴を踏まえ、生活習慣を改善していきましょう。
糖尿病予備軍とはどのような状態?
糖尿病は、現代人の多くが発症している病気です。その前段階となる予備軍と呼ばれる人も大勢います。糖尿病予備軍にはどのような特徴があるのでしょうか?
糖尿病予備軍の特徴
糖尿病予備軍とは、糖尿病と診断されてはいないものの、血糖値が高めである状態を指します。血糖値が高い状態が続くことから、その後、糖尿病へと移行する可能性が高いです。
一方、生活習慣を改善することで、糖尿病の発症をおさえられるという可能性があるのも事実です。糖尿病予備軍と診断されたら、すぐにでも生活習慣の改善を始めないといけません。
いきなり血糖値が高くなるのではなく、数年をかけて徐々に高い状態へと変わっていくのです。
糖尿病予備軍であるかどうかは、血糖値を測定するとわかります。空腹時血糖、75g経口ブドウ糖負荷試験、HbA1cの3つを測定し、このどれかを満たしている場合糖尿病予備軍と診断されます。
以下の血糖値測定結果によって、糖尿病予備軍と診断されるのです。
・空腹時血糖が110~125 mg/dL
・HbA1cが6.0~6.4%
この2つの条件に当てはまる場合、糖尿病の疑いがあります。その後、空腹時血糖値とHbA1cの数値が上記よりも低い場合も、将来糖尿病を発症するリスクがあるといえます。糖尿病予備軍であるかどうか、また健康について心配なときは、検査を行うと安心です。
糖尿病を発症する要因について知っておこう
糖尿病は、発症する要因を知っておくことで未然に防ぐことができます。糖尿病予備軍かもしれない、または予備軍と診断された人は、糖尿病の要因について理解し、予防しましょう。
肥満体型である
糖尿病の要因で多いのが、肥満です。肥満体型である人は、痩せ型の人に比べて糖尿病を発症しやすいです。
肥満は私たちの身体にとって異常な状態であり、肥満度が高くなるほど糖尿病をはじめ動脈硬化や脳梗塞などの生活習慣病にかかるリスクが高まります。
膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンは、血糖値を下げる役割を持っています。
糖尿病によってインスリンが多く分泌されるようになる一方で、働きが鈍くなり、血糖値の上昇を招くのです。肥満は、負のサイクルといえるでしょう。
家族に糖尿病患者がいる
糖尿病は、遺伝的要因により発症することも多いです。遺伝的な体質から肥満になりやすい、インスリンの分泌が弱いなど、個人差があります。家族をはじめ、近親者に糖尿病患者がいる場合、早めに健康診断を受ける習慣をつけておくと安心でしょう。
病気が進行して治療が難しくなる前に、遺伝的要因が潜んでいないか確認しておきましょう。
乱れた生活習慣
生活習慣の乱れは、糖尿病の大きな要因です。反対に、規則正しい生活を送れば、糖尿病はしっかり予防できる病気です。
暴飲暴食や夜更かしなどを続けていると、着実に糖尿病へと近づきます。乱れた生活習慣は、糖尿病以外の病気も招くため、いつまでも健康でいるためにも規則正しい生活は大切です。
糖尿病を予防するために気をつけることとは
糖尿病を予防して予備軍にならないためには、日々の生活で意識していくことが重要です。ここでは、糖尿病予備軍にならないよう、日常生活で実践できるポイントをまとめました。糖尿病予備軍と診断された人、診断されていないけれど糖尿病を予防していきたい人は、ぜひ参考にしてみてください。基本的な部分が多々ありますが、今一度見直していきましょう。
食事内容の見直し
糖尿病予備軍にならないよう対策を行う上で、食事内容の見直しは欠かせません。具体的にどんなことを始めればよいのか、以下を参考に実践してみましょう。
・1日3食、規則正しく食べよう
糖尿病予備軍と診断されたら、日々の食事で悩む人が多いです。無理な食事制限では反動を起こす可能性があるため、おすすめできません。その代わり、1日3食、規則正しく食べるようにしましょう。
自身の体型や体重に合った食事量を考え、内容にも注目してください。食事の時間が不規則だと、食べ過ぎや栄養面での偏りが生じやすいです。糖尿病を予防していくためには、1日3食きちんと食べることから始めましょう。
・糖質を控えめにする
1日3食きちんと食べるようにしながら、糖質を控えめにすることも大切です。私たちが生きていく上で欠かせない三大栄養素には、糖質、脂質、タンパク質の3つがあります。この中で血糖値を上げやすいのが、糖質です。糖質の過剰摂取にならないよう、日々の食事でコントロールが必要となります。
具体的には、吸収されやすい糖質を避ける、量を少なめにするといった方法がおすすめです。吸収されやすい糖質には、白米やうどんなどが挙げられます。一方、玄米や全粒粉のパンなどの糖質は、吸収されにくいという特徴を持っています。
糖質の量を控えめにしつつ、茶色いものを選ぶと摂取量をコントロールできるでしょう。
・野菜を積極的に食べよう
糖尿病予備軍と診断されたら、食事では野菜を積極的に食べるよう心がけましょう。野菜に含まれる食物繊維が、血糖値を下げてくれます。食物繊維をしっかり摂取していると栄養の吸収に時間がかかるため、食後の血糖値が急上昇するのを抑制できます。食物繊維は満腹感も与えてくれるため、インスリンの分泌も促すことができるのです。
野菜を意識して食べるだけでも、糖尿病の予防につながります。野菜不足である現代人も多いため、日々の食事でしっかり摂取していきましょう。
運動を少しずつ続ける
運動不足も、糖尿病を招く要因となります。運動は高血糖を改善でき、合併症の予防も可能です。しかし、普段運動する機会がない人にとって、いきなり身体を動かすのは負担となります。そこで、楽しみながら続けられる運動を始めてみましょう。
ウォーキングやジョギング、縄跳びといった有酸素運動がおすすめです。周りの景色を楽しみながら身体を動かし、毎日続けられる運動を選ぶことが大切です。
禁煙を心がける
糖尿病予備軍にならないためには、禁煙も重要です。喫煙により、糖尿病の発症リスクが高まることも明らかになっています。糖尿病と喫煙のメカニズムはまだはっきりと解明されていないものの、喫煙によって体内に酸化ストレスが溜まり、インスリン抵抗性や内臓脂肪の増加が関係していると考えられているのです。
また、喫煙によって交感神経が刺激されることから、血糖値が上昇しやすくなります。喫煙は、糖尿病以外の病気を招く要因にもなりうるため、できるだけ早く禁煙を心がけましょう。
健康診断を受けよう
糖尿病予備軍から抜け出し、元気に過ごすためには、健康診断も欠かせません。多くの人が年に一度、健康診断を受けているでしょう。きちんと受けておくと、糖尿病の予備軍ではないか知ることができます。
健康診断では、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値に注目しましょう。HbA1cはヘモグロビンとブドウ糖とが結合したものであり、この数値を測ることで糖尿病かどうかを確認できます。1、2ヶ月変動しないという特徴を持っているため、数値の平均化もしやすいです。
HbA1cは、6.0~6.4%の場合糖尿病が疑われる状態であり、6.5%を超えると糖尿病の可能性が高くなります。すでに糖尿病を発症している場合は、HbA1cを7.0%以下にコントロールすることが必要です。
定期的に健康診断を受け、糖尿病の可能性がないか、きちんと調べておきましょう。
肥満にならないよう注意しよう
糖尿病予備軍にならないようにするためには、肥満を防ぐことが大切です。健康診断の際に肥満と診断されると、改善をしていくように指摘されます。それほど、肥満は糖尿病をはじめ、さまざまな病気の引き金になるのです。
日々の生活では、食事内容の見直しと運動を継続的に行うことで肥満の予防が可能です。自身の体重や体脂肪率、毎日の生活を振り返りながら、肥満対策を始めましょう。BMIの数値と標準体重を計算し、肥満かどうかをチェックすることも可能です。
食事では脂肪分の摂取量に注意しながら、低エネルギー食品を上手に活用しましょう。低エネルギー食品には、こんにゃくや海藻類、きのこ類などが挙げられます。食物繊維が豊富で糖の吸収を緩やかにしてくれるため、肥満対策を行う際に心強い存在です。
また、ゆっくり食べるよう心がける、間食を控える、生活の中で身体を動かすよう意識することも大切です。駅や会社、ショッピングモールでは階段を使う、毎日続けられる運動を始めるといった方法がおすすめです。肥満にならないよう意識しておくだけで、糖尿病の予防になります。
ストレスと上手に付き合うことも大切
現代人は、多くのストレスを抱えがちです。このストレスが、糖尿病を招く要因にもなりうるため、注意しましょう。ストレスが溜まっていると、血糖値は上昇しやすくなります。アドレナリンやコルチゾールといったホルモンが、血糖値を上昇させようとするからです。これらのホルモンは、インスリンの働きを弱めてしまうことも明らかになっています。
現代はストレスだらけとも言えますが、リラックスできる方法を見つけて適度に息抜きをしましょう。旅行に出かける、友達とおしゃべりを楽しむ、美味しいものを食べる、趣味を楽しむなど、嫌なことを忘れて過ごせる時間を作ってください。
仕事や家庭、人間関係などでストレスを抱えている人も多いはずです。何か一つ目標を立て、それに向かって楽しみながら励むという方法もおすすめです。
糖尿病予備軍かも?こんな症状には要注意
糖尿病予備軍と診断される人が増えている中で、こんな症状に気がついたら早めに検査を受けましょう。糖尿病予備軍である可能性が高く、生活習慣の見直しが必要です。初期には症状がほとんど感じられないものの、少しずつ体調に異変を感じ始めます。特に糖尿病予備軍から境界型(予備軍よりも血糖値の高い状態が続き、糖尿病の発症リスクが高くなっている)になると、異変を感じやすいです。
- 喉がよく乾く
- 身体がだるい、疲れを感じやすい
- 体重が増えた
- 食欲が増す
- トイレの回数が増える
上記5つの症状のどれかを身体で感じるとき、糖尿病に近づいている可能性が高いです。早めに対策を取り、糖尿病を予防していきましょう。
また、以下の項目に当てはまる場合も糖尿病のリスクが高まります。私生活を見直すきっかけにもなるので、ぜひ確認してみてください。
- 家族や血縁者で糖尿病を患っている人がいる
- 肥満気味で、運動をする機会がほとんどない
- 食生活が不規則である
- ストレスを溜めがち
- お酒やタバコは欠かせない
- 早食い、野菜が嫌い
- 清涼飲料水を飲むことが多い
乱れた生活習慣は、糖尿病以外の病気も招きます。いつまでも健康でいるために、私生活を振り返ってみましょう。糖尿病は、生活や体質が似ている家族同士でかかりやすいという特徴もあります。一人ひとりが元気に過ごせるよう、家族みんなで糖尿病の予防を始めることも大切なのです。
まとめ
糖尿病は予備軍や境界型と呼ばれる状態もあり、数年かけて糖尿病に発展していく可能性が高いです。予備軍の状態では自覚症状はほとんど見られないため、気づかずに過ごしている人が多いです。そこで、定期的に健康診断を受けるよう心がけましょう。健康診断では、自身の体重や体脂肪率、血圧や血糖値について知ることができます。健康診断で自身の身体をチェックしながら、糖尿病の予防を始めましょう。食生活の見直しや運動不足とストレスの解消などを中心に、できることから始めるのがポイントです。糖尿病予備軍と診断されないよう、日々の生活を改善していきましょう。コツコツと続けられるものを選び、毎日実践することが大切です。