目次
糖尿病と年齢に関する基礎知識
弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 20代でも糖尿病になる?
A. はい、なります。特に痩せ型の20代は「隠れ糖尿病」に注意しましょう。
20代で発症する糖尿病とは
糖尿病といえば中高年世代に多い病気という印象を受けますが、今では20代の若い年代でも発症する人が増えています。これは、日本人がもともと糖尿病にかかりやすい遺伝子を持っている上に、食の欧米化が進んでいることが関係しています。
近年では糖尿病を発症する日本人が急増しています。「20代で痩せている人も糖尿病に注意」と言われるほど、あらゆる人に糖尿病のリスクが潜んでいることが分かってきました。
糖尿病には1型と2型がありますが、10代では1型、20代になると2型糖尿病を発症する人が多くなっています。まずはⅠ型糖尿病とⅡ型糖尿病、それぞれの原因を見てみましょう。
1型糖尿病の主な原因
1 膵臓β細胞が何らかの原因で破壊され、インスリンを産出できなくなる
2 小児期から思春期にかけてはウイルス感染などがきっかけで発症することもある
2型糖尿病の主な原因
1 遺伝的要因や食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣による影響
2 インスリンの分泌低下
型によって糖尿病の原因が異なることがおわかりいただけたでしょうか?20代でも糖尿病を発症することがあるということを念頭に、糖尿病について理解を深めていきましょう。
20代糖尿病の症状
現在発症例が増えつつある20代の糖尿病ですが、その症状には特徴があります。
症状一覧
- 食欲が異様に増加する
- 身体が疲れやすい
- 異常に喉が渇く
- 足の不調(痺れや火照り、冷え、こむら返りなど)
- 頻尿になる
- 体重が減る
- 目がかすむ
- 傷が治りにくくなる
- 手足の感覚が低下する
- EDになってしまった(男性の場合)
- デリケートゾーンのかゆみ(女性の場合)
- 20代のうちから上記のような症状がある場合には一度糖尿病の検査をしてみましょう。
男性の場合、20代のEDは糖尿病早期発見につながる重要なサインです。高血糖が続く状態では、陰部への血流が悪くなり性的反応が起きにくくなることでEDにつながるとされています。
また女性の場合、糖尿病により抵抗力が下がり、感染症や皮膚のかゆみを感じやすくなることが原因でデリケートゾーンでかゆみが起こることがあります。このデリケートゾーンのかゆみは糖尿病の初期症状とも言えるため、異変を感じたら病院に相談してみましょう。
20代で発症した糖尿病は治るのか?寿命はどれぐらい?
今や若い世代でも発症リスクが高い糖尿病。気になる治療の効果や寿命について解説いたします。
20代で発症の糖尿病は治療や生活習慣の見直しによって改善できる
20代で糖尿病を発症すると、この先ずっと病気と付き合っていかなければならないのかという絶望感に陥る人が多いでしょう。完治が難しい病気と認知されている糖尿病は、原因を追求して治療や対策を行なうことで、病気の改善を図ることができます。
症状を悪化させないよう気をつけて生活していても、日々大きな影響を感じることは少ないでしょうが、初期症状に気づき、早期に対策を始めることで糖尿病を悪化させずに済みます。糖尿病の症状改善には、生活習慣が大きな鍵となります。自分にとって続けやすい方法から実践することで、20代で発症した糖尿病とも上手に向き合っていけるでしょう。
気になる寿命はどれぐらい?
若くして糖尿病を発症した場合、気になるのは寿命でしょう。健常者と比べると、やはり寿命が短くなるのではという不安を抱えている人も多いはずです。
1型糖尿病に関しては、20代に発症した場合の寿命が徐々に伸びてきているという結果が出ています。インスリン剤など薬の開発が進み、様々な治療ができるようになったことが関係しています。
また、アメリカにおける研究では、糖尿病患者は健常者に比べると平均寿命が4.6年短くなるという統計が出ており、この数字は人々の予想外に小さくなっているのが特徴的です。今後医療が発展する中で、ますます糖尿病患者の寿命も伸びるでしょう。医療の発展に期待しながらも、自分でも生活習慣を改善していけると理想的です。
痩せ型の20代は「隠れ糖尿病」に要注意
糖尿病は肥満や生活習慣が影響していることが多くなりますが、そんな中、「隠れ糖尿病」と呼ばれる痩せ型の20代が増えています。
隠れ糖尿病とは、健診などでは引っかかっていないけれど糖尿病であるという場合を指します。特に空腹時では正常でも、食後に急に血糖値が上がる状態を隠れ糖尿病といいますが、日本人においては、遺伝的にこのような体質の人が多いことが分かっています。見過ごされてしまうことが多いため、「隠れ糖尿病」と呼ばれています。
最近では、痩せ型の20代で隠れ糖尿病である人が増えています。男性よりも女性に多い傾向にあり、特に痩せている女性は筋肉量が少ないため、ブドウ糖を筋肉に取り込むことができず高血糖の状態が続いてしまいます。そのため「痩せているから大丈夫」ということは言えなくなっており、隠れ糖尿病には十分注意が必要です。尿糖チェックを行なうと判断できるため、定期的に検査をして健康状態を確認しておくと安心でしょう。
20代で糖尿病を発症している人の割合
糖尿病を発症する人は現代ではかなり多くなり、20代や30代といった若い世代でもかかる病気になりました。年々増加傾向にある糖尿病、20代ではどれぐらいの人が発症しているのでしょうか?他の年代と比較しながら、20代の糖尿病患者の割合について考えてみましょう。
少し前にはなりますが、厚生労働省によって発表された「2009年国民健康・栄養調査報告」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h21-houkoku-01.pdfより引用)によると、予備軍も含めた糖尿病患者の数は、成人男性で30%以上、成人女性で25%以上という結果が出ています。
年代別に見ると1番多くなっているのが70代であり、それに次ぐ形で60代、50代と年齢層が高いのが特徴的です。20代はというと、男性で30%中1~2%、女性で30%中0.7%と少ない割合になっています。
この統計から早10年が経過した今は、男女共に20代の糖尿病患者の割合がやや多くなっていると見込まれています。数字だけで見るとまだまだ少ないように感じられる20代の糖尿病ですが、現代生活においては今後患者数が増えると考えられます。
20代糖尿病の治療法とは
20代で糖尿病を発症する人が増えている中、治療法にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、糖尿病における具体的な治療法について解説します。
食事療法
糖尿病の治療では、すぐに薬を服用し始めることは少ないです。まずは食事療法で、改善を図っていこうという流れになります。糖尿病の主な症状である高血糖状態を引き起こす糖は食事によって左右されるため、食事内容の見直しや改善を行なうことが最大の治療方法となります。1回の食事でどのような点に注意をすれば良いのか、1日に必要なエネルギー量はどれぐらいかなどといったことを分析しながら、実践していきます。栄養バランスに気をつけたり、食事量を見直すなどの方法を取って、糖尿病の状態を確認することになります。
運動療法
食事療法に続いて、同時に進めたいのが運動療法です。糖の代謝をよくするため運動は欠かせません。筋肉へ流れる血液が増えるとインスリン効果が高まり、血糖値が下がります。ウォーキングなどの有酸素運動と筋トレを組み合わせて行うとインスリンの効果を高めることができ、血糖値を正常に保つことが可能になるのです。運動療法では、一人ひとりに合った方法や継続するコツなどを医師がアドバイスします。
薬物療法
糖尿病の治療薬は飲み薬と注射に分けることができます。飲み薬と注射では、それぞれ期待できる効果や効能が異なるため、医師の診察のもと適した方法が用いられます。
飲み薬の特徴・・・インスリンの分泌促進、食事で摂取した糖の分解・吸収を遅らせるもの、糖を排泄させる作用があるものなどが一般的です。一人ひとりの状態に応じて、適した飲み薬を医師が選んでくれます。
注射の特徴・・・インスリンの分泌促進と、インスリンを補っていくものの2つに分けることができます。インスリンが体内でどれだけ働いているかによって、注射の種類も変わります。
日頃から実践できる予防と対策
糖尿病の治療では、食事療法と運動療法を中心に飲み薬や注射などを利用する場合があります。食事や運動のコツは医師がしっかりアドバイスしてくれるため、患者も安心して続けることができるでしょう。そして、糖尿病をより早く改善していくためには、日頃の生活の中で実践できる予防や対策も重要です。さっそく、日常生活の中で実践できることについて見ていきましょう。
アルコールやタバコは極力控える
20代の糖尿病について考えるとき、アルコールとタバコの存在を見過ごすことはできません。若い頃はお酒を飲む機会が多く、つい飲みすぎてしまうこともあるでしょう。また、さまざまな人間関係の中でタバコを吸うことも増えます。
アルコールとタバコのそれぞれに糖尿病を悪化させる要因があるため、どちらも極力控えるようにしましょう。
アルコール・・・単純に高カロリーであるだけではなく、食欲を増進させる働きがあります。血糖値を乱したり、脂肪を蓄積しようとする働きもあるため糖尿病において大敵です。合併症を引き起こすリスクも高めます。
タバコ・・・血管の収縮や損傷といったダメージを与えるため、動脈硬化の原因となります。喫煙によってインスリンの効きが悪くなったり、発がん性物質も多く含むため危険です。肥満の原因にもなると言われており、糖尿病を改善しようとするときには避けるべき存在となります。
足を清潔に保つ
糖尿病において恐ろしい合併症の1つに、足の潰瘍や壊疽があげられます。最悪の場合指を切断することにもなるため、日頃から清潔に保つよう心がけましょう。こまめに足を洗う、汗をかいたら拭く、小さな傷でもきちんと消毒をするなど、日常生活において何気ないことでも丁寧に行ないましょう。爪もきれいに切っておくと安心です。
尿糖検査や血圧測定、体重測定を日課に
尿糖検査では隠れ糖尿病も発見することができます。そのため、日常生活において定期的に尿糖検査を行なうことをおすすめします。さらに、血圧や体重についてもこまめに測定して確認しましょう。自宅で手軽に測定できる血圧計もありますし、体重計にも様々な機能が搭載されているものが登場しています。こまめにチェックをして、身体に異変が起きていないか確認しておくと安心です。気づかないうちに糖尿病が進行していたという事態を防ぐことができます。
あなたは大丈夫?糖尿病チェックを始めよう
20代で急増している糖尿病、もはや他人ごとではありません。隠れ糖尿病である場合も想定されるため、日頃から自身の健康には敏感になっておく必要があります。そこで、簡単にできる糖尿病自己チェックを行ない、自身の健康状態を確認してみましょう。以下の項目にあてはまる部分があったら、一度医師に相談してみることをおすすめします。
- 疲れやすくなった
- 急に太った、または急に痩せた
- 目のかすみが気になることがある
- 夜中のトイレの回数が増えた
- 運動不足が続いている
- 血圧が高めである
- EDで悩んでいる
- 喉の渇きが気になる
- お腹がすぐに減る
- つまずくことが増え、両足の先が痺れることがある
- 血糖値が高めと言われた
- 近親者に糖尿病患者がいる
- 外食が多く、野菜はあまり食べない
- 尿の量が多い
何気なく過ごしている毎日の中で、ふと気づく異変もあるでしょう。その異変が上の項目に当てはまる内容かどうか、一度じっくりと調べてみると良いでしょう。
まとめ
糖尿病は、中高年に多い病気とは言えなくなりました。20代でも発症する人が増えており、痩せている人にもリスクは潜んでいます。また、隠れ糖尿病である人も、たくさん存在していると言えるでしょう。
糖尿病には種類があることを知り、原因を追求して日常生活を見直していくことが何よりも大切です。一人ひとりライフスタイルが異なりますが、その中でも糖尿病の症状を改善できるようにまずは医師に相談してみましょう。早期発見と早期対策が、糖尿病改善においては大変重要です。セルフチェクを実施したり、健康診断を定期的に受ける、気になることがあったら信頼できる医師に尋ねてみるなど、日頃から自身の健康に目を向けておくと良いでしょう。