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糖尿病網膜症ってどんな病気?

糖尿病と網膜症に関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病網膜症って何?
A. 糖尿病三大合併症のひとつで、網膜の血管が傷つくことで発症する病気です。高血糖である場合にかかるリスクが高まります。

この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症は、腎症や神経症にならぶ糖尿病三大合併症の1つです。日本においては、失明の大きな原因にもなっています。

私たちは網膜と呼ばれる眼底の薄い神経の膜でものの光や色を感じ取っています。網膜にはたくさんの細い血管が張り巡らされていますが、糖尿病により高血糖状態が続くとこれらの血管が影響を受け、最悪の場合失明してしまうのです。

一般的に糖尿病網膜症は、糖尿病を発症してから10年ほど経ってから起きることが多いとされていますが、症状がある程度進行するまで自覚症状が現れないため注意が必要です。糖尿病歴が長い人は、網膜症のリスクを十分に理解しておく必要があるのです。

糖尿病網膜症の原因

前項の「糖尿病網膜症とは」で紹介したように、糖尿病網膜症は高血糖が長く続く状態から引き起こされます。

では、なぜ高血糖が網膜症に繋がるのでしょうか。

高血糖状態が続くと、網膜の血管は変形したり、詰まったりしてしまいます。血管に詰まりが生じると網膜のすみずみにまで酸素が行き渡らなくなり、結果的に酸欠状態を引き起こしてしまうのです。酸欠状態に陥った網膜は新生血管と呼ばれる新しい血管を増やして酸素を補おうとします。しかしこの新生血管は脆く出血を起こしやすいため網膜にかさぶたができますが、このかさぶたが原因で網膜剥離を起こす恐れが出てきます。

糖尿病網膜症の症状

前述したとおり、糖尿病網膜症は自覚症状がないまま進行することが多く、また最悪の場合失明を招くこともある病気です。しかし、日頃から自身の眼に敏感になっておくことで、早期に気づくことができる症状もあります。

初期の段階ではほとんど症状が見られないものの、よく注意すると小さな異変に気づくこともできます。下記の症状を参考に、自身の眼の状態を確認してみましょう。

① 眼の中の血管が出血を起こしている
② 視界がかすんでくる
③ 視力が低下し、飛蚊症を起こす
④ 眼の中で大きな出血が起き、網膜剥離や緑内障などの病気を併発する。失明する恐れも出てくる。

①~④の順に症状が現れることが多くなります。最終的に失明するかもしれないというリスクも伴う糖尿病網膜症ですから、初期症状に少しでも早く気づいて対処することが大切です。

糖尿病網膜症の治療法

糖尿病網膜症は、一度発症すると完治が難しい病気です。しかし、治療法は存在し、症状の進行を防ぐことができます。網膜症の進行状態によって治療法は異なり、段階ごとに適切に処置していくことが重要となっています。

初期における治療法

糖尿病の治療と同じく、血糖値のコントロールを図ります。食事療法や運動療法、薬物療法などを用いて、血糖値が安定するようにします。網膜症の恐れがあると診断された場合は、日々の生活で血糖コントロールを行なうことが何よりも重要です。

中期における治療法

網膜症中期になると、新生血管が傷ついてしまわないよう、レーザーで眼底を焼いていきます。これを「レーザー光凝固術」といい、眼科で治療を受けることで網膜症の進行を食い止めることが可能です。レーザー光凝固術は網膜症においてはとても重要な治療となっており、失明を防ぐために欠かせません。早期であれば、およそ80%の確率で効果が期待できるため、治療を受ける人が多いです。1回の照射時間は15分ほどですが、強い痛みを感じることがあります。痛みという負担を軽減するために、最近ではパターンスキャンレーザーというものが導入され、最小限の痛みで済むようになりました。病気になる前の視力や眼の状態に戻るのは厳しいものの、網膜症の進行を予防することはできます。

末期における治療法

網膜症末期になると、網膜剥離や緑内障といった病気を併発する恐れが出てきます。レーザー光凝固術で効果を得られなかった場合や網膜症末期になってきた場合には、硝子体手術を行ないます。いきなり視力が低下してしまったときにも用いられる治療法です。眼球に小さな孔を開け、眼球を照らすライトや手術器具、空気を注入する器具などを入れます。出血や網膜剥離を起こしている部位を丁寧に除去し、網膜剥離を起こしているときは眼中に空気を入れながら網膜を元の場所に戻していきます。この硝子体手術も、レーザー光凝固術と同じく網膜症を完治するものではありません。視力をしっかりと回復させるのも厳しいですが、これ以上網膜症の症状が進行しないように予防することができます。

失明を避けるためには、検査による早期発見が鍵

糖尿病網膜症においては、失明してしまうかもしれないというリスクが恐れられ、また初期症状がほとんど見られないため、発見が遅れがちになる病気でもあります。

恐ろしい網膜症に少しでも早く気づいて治療に進められるよう、眼科で定期的に検査を受けておきましょう。特に糖尿病歴が10年を超えたという人は、定期的に検査を受ける必要があります。網膜症であるかどうかを判断するためには、下記のような検査を行ないます。

1 眼底検査
2 蛍光眼底造影検査(蛍光の造影剤を静脈注射して撮影する検査方法)
3 フルオレセイン蛍光眼底造影(網膜の毛細血管の詳しい写真が撮影できる検査方法)
4 超音波検査

定期的に眼科に通い、上記の検査を受けていると安心です。自覚症状が全くなかったのに網膜症になっていたといったことにも気づくことができます。どの病気においても早期発見が鍵となりますが、糖尿病網膜症においては特に重要と言えるでしょう。失明を避けるためにも、定期的な検査を受けておきましょう。

糖尿病網膜症の疑いは?セルフチェックを行おう

自覚症状がほとんどないとされている糖尿病網膜症は、早期発見につなげるために定期的な検査が重要です。その検査を受けながら、日々自身の眼を観察しておくようにしましょう。網膜症になっていないか、眼に異変が生じていないかといった点を確認するためには、以下のセルフチェックを実施してみてください。

① ものが歪んで見えることがある
② ものの中心が欠けて見える
③ 視界がぼやけて見づらい
④ 左目または右目など、片方だけ視力が弱い
⑤ ものの中心を捉えることができない

上記5つの項目に一つでも当てはまる場合、網膜に異変が生じている恐れがあります。

また、網膜症のチェックを行なう際に「アムスラーチャート」という自己チェックツールもおすすめです。方眼紙のような画面の中心にある黒い点が、正常に見えるかどうかを確認するためのものです。この黒い点が歪んで見えたり、一部見えないところがないかなどを確認することで網膜症の有無をチェックできます。

日頃から自身の眼の状態に注目しつつ、定期的に自己チェックを行うと安心でしょう。

日常生活において糖尿病網膜症を予防していくには

自覚症状がほとんどなく進行していく糖尿病網膜症は、糖尿病を患っている人にとっては恐ろしい病気です。日頃から自己チェックと病院での検査を受けながら、日常生活においても予防法を実践していきましょう。

血糖コントロール

糖尿病の根本的治療にもつながる血糖コントロール、これをきちんと行なうことが網膜症の予防と改善につながります。高血糖の状態が続いていると網膜にも悪影響が及ぶため、日頃から血糖コントロールを行なうことが必要です。
血糖コントロールを行なううえで、最も重要となるのが食事です。バランスよく栄養を摂取しながらも、食べ過ぎは予防していきましょう。そのためには、1日に必要なエネルギー量を考慮した上で、ゆっくり噛んで食べる、規則正しい時間に食事を摂る、夜遅くに食事はしないなどの基本的な点を意識してください。
食事だけではなく、運動も効果的です。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。

血圧コントロール

血糖値のコントロールと同時に注目したいのが、血圧です。糖尿病の人は高血圧になりやすいですが、高血圧は糖尿病網膜症を悪化させる要因にもなります。日々血圧を測定しつつ、病院で高血圧と診断された場合には薬を服用するなどの対策を取りましょう。血圧は糖尿病網膜症とも深く関係しているため、日頃からチェックしておくと安心です。

ストレスを溜めない

糖尿病をはじめ、様々な病気の引き金にもなるストレス。日頃から溜めないように意識してみましょう。病気を患っていることに関してストレスを溜めこんでしまうケースもありますし、日々の生活の中で溜め込んでいる恐れもあります。
イライラする、気分が塞ぎ込むなどの変化を感じたら、楽しいと思えることを始めてみましょう。糖尿病の治療から食事で不満を感じているのなら、自分へのご褒美として美味しい食べ物を用意するのもおすすめです。また、旅行に出かけて気分転換をしながら、家族や友人と会話を楽しむなど、心身ともにリフレッシュできることを始めてみましょう。
毎日の生活においても、趣味を見つけて楽しむとストレス発散につながります。目に見えないストレスと上手に向き合っていくことで、糖尿病網膜症の予防にもつながるでしょう。適度な息抜きをすることで、糖尿病の治療も頑張ろうという気持ちになります。
糖尿病網膜症を予防していくために、日常生活で気をつけたいポイントはいくつか存在します。ポイントは、基本的な糖尿病の治療を適切に行なうことです。その上でストレスが溜まってしまわないよう、適度に息抜きをして発散することも重要なのです。

まとめ

糖尿病網膜症は三大合併症の1つです。病気が進行することで失明を招くこともある恐ろしい病気ですが初期では自覚症状がほとんど見られないため、定期的に眼科で検査を行う必要があります。

糖尿病網膜症は高血糖状態により網膜の血管が詰まることで引き起こされます。そのため基本的な治療法は血糖コントロールになります。血糖コントロールには食事療法や運動療法が効果的です。網膜症の症状が進行してしまっている場合にはレーザー治療や手術などが行われます。

医師による治療だけではなく、日ごろから自宅でも症状進行予防対策をとることは大変重要です。血糖コントロール以外にも血圧コントロールやストレスを溜めないようにするなど、さまざまな対策を取ることができます。

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