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多尿になると糖尿病?気になる症状と放置しておくことの危険性

糖尿病と尿に関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 最近すごく喉が渇いて、トイレの回数が増えました。糖尿病になっているのでしょうか?
A. 一般的に、尿の量が1日3リットル以上になると多尿といいます。糖尿病には、喉の渇きを感じ、大量に水分を飲む(多飲)、多尿になる症状があるため、可能性はあります。その他の病気が原因で多尿になる場合もあるので、早めに医療機関で受診してください。

多尿の原因は糖尿病?

多尿の原因は糖尿病以外の内科・泌尿器科・婦人科系の病気でも起こります。
ですが、「多尿」は糖尿病の特徴的な症状のひとつであるため要注意。

糖尿病が原因だった場合、そのメカニズムは以下のような流れです。

  1. 脱水症状血液中が高血糖になる
  2. 糖で濃くなった血液に、血管外から水分が血液に集まる(浸透圧による)
  3. 腎臓が血中のブドウ糖を排出しようと多尿になる
  4. 体の水分を大量に出すため脱水状態になる
  5. 喉が渇いて(口渇)大量の水分を飲む(多飲)

つまり、多尿により脱水症状を起こし、多飲になるということです。
多飲・多尿などの自覚症状がある場合、糖尿病の可能性があります。
さらに、糖尿病の合併症「神経障害」によって、末梢神経が損傷して排尿の調節ができないため神経因性膀胱になり頻尿の症状がでる場合もあります。

多尿は糖尿病の初期症状どころではない

糖尿病の初期は、1型糖尿病も2型糖尿病も、同じように自覚症状がないといわれています。
症状がみられた時は、糖尿病が進んでいる場合がほとんどです。
しかし、自覚症状の出方は、1型糖尿病と2型糖尿病とで違いがあります。

・1型糖尿病…突然症状が表れる
・2型糖尿病…ゆっくり少しずつ自覚症状が出てくる

自覚症状は以下のようなものが出てきます。

疲労【1型糖尿病】
・いつもに比べて喉が渇く(水を何リットルも飲む)
・頻尿
・急な体重減少
・非常に疲れる

【2型糖尿病】
・疲れが溜まっている感じ
・皮膚の乾燥と痒み
・頻尿
・空腹感や喉の渇きが強い
・手足の感覚が鈍い
・手足がチクチク・ピリピリする
・感染症にかかりやすい
・目のかすみ
・傷の治りが遅い
・ED(男性の性機能の低下)

自覚症状が表れた時には、糖尿病になっている可能性がありますが、血糖コントロールによりずっと健康体を維持することもできるので、できるだけ早く糖尿病治療を始めましょう。

 

多尿の頻度・量

尿の量は、健康な成人で1日0.8~1.6リットルです。
一方、多尿は1日3リットル以上の尿量があります。
回数は1日5~6回が一般的で、10回以上あると頻尿と呼ばれており、多尿の場合でもトイレの回数が増えます。
ですが、頻尿については、普段からトイレに行く回数が多い人もいるため、個人の感覚の差があり多尿と区別がつきにくい症状です。
糖尿病の場合は、尿の量が多くなるのがサインのひとつとなります。

劇症1型糖尿病はかなり危険

1型糖尿病も突然ウイルス感染や何かがきっかけになり、インスリンを分泌するβ細胞が破壊されて起こる、原因がはっきりしていない病気です。
ですが、「劇症1型糖尿病」はさらに急激に始まります。
たとえ、数日前に受けた健康診断で良好だったとしても発症することがあるのです。
年間300人ほどといわれる少ない発症率ですが、発症してから重症化する期間が非常に短いと知られています。
その期間は1週間くらいの間に何の前触れもなく訪れ、対処が遅れると死に至る場合も。
発症してたった2日で亡くなってしまった例をご紹介します。

水泳【43歳/男性/会社員 異変の流れ】
健康体で週3回プールに通い、健康的な食生活を心掛けていた方です。

金曜:仕事中に風邪症状(喉の痛み・微熱)
金曜夜:体の倦怠感が出る
土曜:朝からトイレの回数が多い(1時間に1回の頻度)
喉の渇き
多飲(朝から夕方までに4リットル)
土曜夜:猛烈な吐き気・嘔吐
日曜:朝声をかけたら昏睡状態
病院へ運ばれて2時間後に死亡
症状をみると風邪だと思ってしまいがちですが、「多飲」「多尿」を感じたら糖尿病が発症している可能性があります。
また、熱中症だと思っていたら劇症1型糖尿病だったケースもあるので、普段と違う喉の渇きや多尿・頻尿を起こしていたら一刻も早く受診してください。

糖尿病の多尿は脱水状態を起こす

多尿のメカニズムは、糖尿病による血液の状態と腎臓の働き、脱水状態にあります。
腎臓は、血液をろ過し不要なものを尿として排出します。
通常ブドウ糖は、必要な栄養なので尿で排出はされません。

しかし、高血糖は、筋肉や肝臓に取り込まれるべきブドウ糖が、血液中で濃度が濃くなっている状態。
次に、血中濃度のバランスを保つために、血管外の細胞から水分を血液中に集めてしまうようになります。
すると、血液の量が増え、腎臓は血液を改善しようと尿と一緒にブドウ糖を大量の尿で排出するため、尿の量や回数が多くなるのです。

そして、体内の水分が大量に減るため、脱水を起こし「やたら喉が渇く」「飲んでも渇きがおさまらない」といった状態になり、沢山水分を飲むようになります。

体の水分が減ると以下のような症状になります。

2%…喉が渇く
3%…脱水症状が始まる(強い渇き・ボーっとする・食欲不振)
4%…めまい・体温上昇・イライラ・倦怠感・皮膚の赤み
5%…頭痛・熱感
8~10%…意識障害・けいれん
人は体の60~70%が水分ですが、そのうちのたった3%の減少で脱水症状になってしまうのです。
8%以上になると昏睡や死亡に至る場合もあり非常に危険。
さらに、高齢になると自覚症状が薄くなるため、発見が遅れ命に関わる状態にまで進んでいることもあります。

命にかかわる脱水症状

糖尿病により脱水状態が続くと、一刻を争う重篤な合併症を起こす可能性があります。

【糖尿病ケトアシドーシス】
1型糖尿病発症時やインスリンが不足している時に起こりやすく、多くは1型糖尿病でみられる合併症です。
2型糖尿病の場合は、ペットボトル症候群(清涼飲料水を良く飲む)に多いといわれています。

糖尿病ケトアシドーシスは、急性的にインスリンの不足、または作用不足でブドウ糖が代謝できなくなり起こります。
ブドウ糖が体に取り込めなくなると、代わりに脂肪をエネルギーに変えて補うようになるのです。
そして、エネルギーに変えた際生成される副産物「ケトン体」が、血液中に急速に増えて(ケトアシドーシス)血液が酸性に傾きます。
すると、脳神経細胞へ酸素が届かなくなり、異常が起こるというメカニズムです。

症状は、低血圧や頻脈、呼吸が深くて速い状態がみられることも。
高血糖で胸のむかつき、吐き気、嘔吐、腹痛なども起こるとされています。
吐いた息の臭いが、果物のような香りがするのが特徴です。
酷くなると意識障害や昏睡状態になります。
糖尿病ケトアシドーシスが起こったら、一刻も早く処置が必要ですので、すぐに救急車を呼んでください。

【高浸透圧高血糖症候群】
主に2型糖尿病でみられる合併症です。
脱水から多飲、多尿、体重減少、倦怠感、眠気、意識障害が起こります。
これらの症状は、数日間経過してから表れます。
意識障害はゆっくりと起こり、高浸透圧・脱水の重さに連れて深まり、数時間程度の時もあれば、1カ月に及ぶ場合もあります。
けいれん発作や一時的な部分麻痺になる場合もあれば、脱水症状が強いと、何度も昏睡を繰り返し、処置が遅れると命の危険もあるのです。
少しでもおかしいと感じた時は、迷わず医療機関・救急へ連絡してください。

どちらの急性合併症も、高血糖が原因で浸透圧を起こし、重度の脱水症状によって起こります。

糖尿病以外の「多尿」の原因とは

糖尿病以外にも、心理的な頻尿の他、病気や血中のミネラル成分の不足などでも多尿になります。

心因性頻尿

泌尿器系の疾患はなく、ストレスや緊張などで尿意を感じるものです。
心理的に緊張状態が続く要因がある場合は、長期化すると共に、尿意の我慢に自信が持てなくなります。
リラックスしていたり、何かに集中している時は気にならない場合が多く、さらに、睡眠中はトイレに行きたくて起きることがほとんどありません。

中枢性尿崩症(ちゅうすうせいにょうほうしょう)

バソプレシンというホルモンが不足して起こる病気です。
脳下垂体後葉(のうかすいたいこうよう)から分泌され、腎臓で水分が再吸収されるよう、体内の水分バランスを調整していますが、ホルモンによる信号が送られなくなり起こります。
脳の手術や脳腫瘍、結核、その他の病気などいろいろな原因が関係します。
症状は、強い喉の渇きと多尿が唯一の特徴。
1日に3~30リットルもの尿があり、氷水を好んで飲むことがあります。

腎不全の初期症状

腎臓の機能低下で頻尿があります。
尿は、汗をかいたときなどに、体から水分が失われ過ぎないよう、濃度を濃くしたり薄くしたりして調節されています。
ですが、腎臓の働きが悪くなると、調節する力(尿濃縮力)が低下し尿の量が多くなり、頻尿・夜間尿となるのです。

低カリウム血症

血液中のカリウム濃度が低くなり、多尿になる場合があります。
カリウム濃度が低くなる原因は様々ありますが、多くは嘔吐、下痢、利尿薬の使用などが原因です。

主に筋肉や腎臓、消化器官が影響を受けやすく、軽度では以下のような症状が出ます。

  • 筋力低下
  • 不整脈(心筋)
  • 悪心(胸のむかつき)、嘔吐
  • 多尿、多飲(腎臓)
  • 便秘

高血圧

夜間や早朝の血圧が高い人には、夜間多尿がみられます。
腎臓は、血液中の高くなった塩分を夜間から早朝の時間帯に尿と一緒に排出します。
そのため、夜間の尿量が多くなったり、頻尿が気になったりするのです。
また、尿が作られる際、塩分を排出するために血圧を上げてしまう物質が分泌されるため、高血圧の原因になります。

心不全の初期症状

心不全の特徴的な初期症状では、夜間多尿がみられます。
心不全によって、腎臓の血流が弱くなり尿が作られにくくなりますが、寝ている状態では腎臓への血流が良くなるので尿の量が増えます。

糖尿病を患っている場合の多尿予防法は?

多尿は、血液中の糖が多くなって起こる症状です。
予防は、血糖コントロールをして、血糖が上昇しないよう調整していなければなりません。
日頃から良く食べる食品の糖質を把握しておくと、血糖コントロールの参考になります。

【食べ物の糖質/g】

  • ごはん(1杯150g)…55.2g
  • 食パン食パン(1枚60g)…26.6g
  • そば(ゆで1玉170g)…40.8g
  • トマト(100g)…3.7g
  • ブロッコリー(1個約300g)…1.2g
  • アボカド(1個約200g)…1.3g
  • キャベツ(100g)…3.4g
  • きゅうり(100g)…1.9g
  • 鶏肉(1枚もも約250g、むね約210g)…0g
  • 豚ロース(100g)…0.2g
  • さば(1切れ約80g)…0.1g
  • ツナ缶(小1缶約80g)…0.2g
  • 卵(M玉1個)…0.1g
  • マヨネーズ(大さじ1)…0.2g
  • オリーブ油(大さじ1)…0g
  • しょうゆ(大さじ1)…1.8g
  • ビール(糖質オフではないもの350ml1缶)…約9~16g
  • 赤ワイン(100ml)…1.5g
  • 本醸造酒(100ml)…4.5g

主食は糖質多めなので、炭水化物を減らし、その代わりにたんぱく質(肉・魚・卵など)を増やして食べれば、物足りなさを補えます。
また、脂質は糖質が少ないので、食事の満足感をアップさせるのに有効です。
そして、サプリメントも食品のひとつ。栄養をバランスよく摂取でき、サポートとなる成分で食生活の改善に効果的です。

このように、糖質のバランスを取りながら血糖をコントロールしていくと、脱水を起こしにくくなり多尿の予防にもなります。

さらに、ストレスを溜めない生活も大切。
「ストレスホルモン」と呼ばれる、血糖を上げるホルモンが分泌されるため、体やメンタル面にも日々負担をかけないよう心掛けていきたいものです。

すでに多飲・多尿を感じている場合は、血糖の数値がオーバーしている危険なサインかもしれませんので、まず早めに担当医へ相談してみましょう。

多尿を自覚しながら放置は危険!

糖尿病の症状は、自覚しにくいのがとても厄介な点です。
その中でも、「喉の渇き」「多飲」「多尿」は比較的多くの人が、気が付きやすい症状。
ですが、初めは糖尿病と思い付かず、忙しくてストレスや疲れが溜まっていると思ったり、夏場は夏バテかもなどと軽く考えてしまいがちです。

また、糖尿病かもと思いつつ受診を避けているケースでは、とても危険ですし、まだ軽いうちに治療できるチャンスを逃してしまいます。
糖尿病と診断された時も、自覚症状がないため治療しなかったり、病気の発症を認めたくない気持ちから通院しないなど、糖尿病治療がすぐに行われないことも。

糖尿病の放置は、三大合併症といわれる「神経障害」「網膜症」「腎症」になりかねません。
重度の合併症は、失明や足の切断、透析になる場合もありますので、いかに、糖尿病を進ませないかがカギとなるのです。

糖尿病は早く見つける方が得!

何事も、早期発見・早期治療が、その後の健康を良好に保つことにつながります。
糖尿病は、食事療法をするだけでも「80%の人が改善する」といわれている病です。
しかも、食べてはいけない食品はなく、適正な範囲のカロリー制限と糖質制限を行えば、お酒も飲めます。
進行していなければ投薬治療も必要ありませんし、改善していけば薬も飲まなくても済むようになるのです。

毎日イキイキと、楽しく生活を送っている人もたくさんいらっしゃいます。
軽いうちほど、調整しやすく健康な体でいれるのです。
なので、少しでも気になる症状があれば、受診してみてください。
なにもなければ、健康的な生活を心掛けていけば良いだけなのですから。

まとめ

多尿は、糖尿病の特徴的な症状です。
風邪や疲れと思い込んでいたらとても危険。
もし、多尿や口の渇き、倦怠感などと一緒に表れたら糖尿病の可能性も考えてみてください。そして、速やかに受診しましょう。
糖尿病について良く知り、良質な血液状態を目指せば、ずっと健康的な体のままいれることもできるのです。
他にも気になったことは、このサイトでも調べてみてくださいね。

この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

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