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尿から甘い匂いが!それは糖尿病かも

糖尿病と尿に関する基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 尿から甘い匂いがしたら、糖尿病ですか?
A. . 必ずしもそうではありませんが、糖尿病の可能性はあります。確実に判断するためには血液検査が必要なので、医療機関を受診するのがよいでしょう。

尿から甘い匂いがしたら糖尿病?

糖尿病とは、インスリンが十分に働かないことによって、血糖(血液中のブドウ糖)をうまく細胞に取り込めなくなる病気です。
それによってブドウ糖を利用できなくなった細胞は、代わりに脂肪を分解してエネルギーを作ろうとします。

この分解の過程で、ケトン体(アセトン・アセト酢酸・βヒドロキシ酪酸の総称)という物質が発生し、尿中や呼気に排泄されます。ケトン体のうちのアセトンには甘い匂いがあるため、糖尿病で尿中にケトン体が排泄されている場合には、尿から甘い匂いがすることがあります。

この甘いまたは甘酸っぱい匂いは、”リンゴが腐ったような“や”果実が腐る直前の”というように表現されます。
ですが、糖尿病以外でも尿にケトン体が排泄されることがあります。例えば、極端な空腹、下痢や嘔吐、糖質制限食の摂取などによって、炭水化物が不足したりうまく利用できなくなった場合です。

また、糖尿病の診断は、尿ではなく血液検査で行われます。尿にケトン体が排泄されていたとしても、血糖値に問題がなければ糖尿病ではありません。

ですので、尿から甘い匂いがした場合、糖尿病の可能性はあるが必ずしもそうではない、といえます。とはいえ、糖尿病は早期発見と治療がとても大切な病気なので、疑いを感じたら速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

糖尿病による尿の変化

糖尿病では、先にご紹介したケトン体の排泄以外にも、以下のような尿の変化がみられることがあります。

尿糖

尿糖とは、血液中のブドウ糖が尿中に排泄されたもののことです。通常、血液中のブドウ糖は、腎臓が尿を作る過程で体に再吸収されますが、血糖が増えすぎて再吸収が間に合わなくなると、尿中に漏れ出します。一般的に、血糖値が160~180mg/dL(正常値は140mg/dL未満)を超えると尿糖が検出されるといわれています。尿糖は、尿に試験紙をつけることで測定します。正常値は(-)、異常値は(±)以上です。

また、血糖値が高くなくても尿糖が検出される場合もあります。腎臓でのブドウ糖の再吸収能力が体質的に低い人がこれにあたり、腎性糖尿とよばれます。この場合には病気とはみなされず、治療の必要はありません。

多尿

ブドウ糖は、尿に漏れ出すときに水分も一緒に連れて出ていくという特性をもっています。そのため、尿糖が増えると尿の量も増えます。正常な尿量は1日1~1.5リットルですが、糖尿病では3リットル以上になることがあります

尿が泡立つ

尿糖が出ていると、尿の粘稠度(ねんちゅうど)が高くなるため、排尿の勢いによって泡立つことがあります。

糖尿病の症状

糖尿病は、初期では無症状のこともありますが、血糖値が高い状態が続くとさまざまな自覚症状が現れます。また、更に進行すると、合併症も発生します。糖尿病とわかった時点ですでに合併症が起こっていた、という場合も少なくありません。

糖尿病の自覚症状

尿糖の増加によって多尿になると、体内の水分量が不足して脱水状態になります。これによって、口渇が強くなります。

また、ブドウ糖が尿に漏れ出ることによってエネルギー源が不足し、代わりにたんぱく質や脂肪を消費するようになることで、体重が減少します。この状態が続くことによって、疲れやすくなります。

その他、血糖値が高い状態では免疫を司る細胞の機能が低下するため、風邪などの感染症にかかりやすくなることもあります。

尿病の合併症

糖尿病には、糖尿病の3大合併症といわれる網膜症・腎症・神経障害があります。血糖値が高い状態では、血管の内側の壁が厚くなり、血流が悪くなったりつまったりします。それによって、合併症が起こるのです。
網膜症が起こっても、しばらくの間は自覚症状がありません。ですが、眼底検査によって血管のこぶや小さな出血がみられます。進行すると、目がかすむ、飛蚊症(視野に影やゴミのようなものが映る)、視野が欠ける、視力が急に低下する、などの症状が現れます。

腎症が起こると、再吸収が必要なたんぱく質が体から出て行ってしまったり、老廃物が体に残ってしまったりします。そのため、たんぱく尿が出る、余分な水分が溜まってむくみが出る、などの症状が現れます。また腎臓は、赤血球がつくられることを促進するエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。腎症になるとこのエリスロポエチンの分泌が低下し、貧血が起こります。

末梢神経には、運動神経、知覚神経、自律神経がありますが、糖尿病ではこれら全ての神経が障害される可能性があります。それによって、下肢の筋力が低下する、足が変形する、熱さや痛みなどを感じにくくなる、消化不良、便秘や下痢、頻尿や残尿、勃起障害(ED)などの症状が現れます。

 

糖尿病の診断

糖尿病の診断は、血液検査によって行われます。すなわち、糖尿病のような症状があったり、尿検査で尿糖やケトン体が検出されていたとしても、血液検査に異常がなければ糖尿病とは診断されないのです。糖尿病の診断に使用される血液検査の項目には、以下のようなものがあります。

① 血糖値
・空腹時血糖
:10時間以上、食事や糖分を含む飲み物を摂っていない状態で採血した時の血糖値。
・随時血糖
:食事とは関係のないタイミングで採血した時の血糖値。
・75グラム経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)
:10時間以上の空腹状態でブドウ糖入りのソーダ水を飲み、飲む前と飲んだ後で採血した時の血糖値。

② HbA1c
:採血した時点から過去1~2か月の血糖値の状態を反映する検査値。

上記の血液検査によって、「糖尿病型」といわれる状態が2回確認された時点で、糖尿病と診断されます。「糖尿病型」とは、以下の検査値を指します。

空腹時血糖が126mg/dL以上
随時血糖が200mg/dL以上
75グラム経口ブドウ糖負荷試験で2時間後の血糖値が200mg/dL以上
HbA1cが6.5%以上

血糖値のみで判断する場合には、日を改めて2回採血をする必要がありますが、血糖値とHbA1cで判断する場合には一度の採血で済みます。

ですが、HbA1cを2回測定しても糖尿病と診断することはできず、血糖値を測定することが必須条件となります。また、既に糖尿病の症状がみられる場合・自覚症状がなくても眼底検査によって網膜症の所見が確認された場合には、1回の血糖検査のみで糖尿病と診断できます。

血糖値は、一般的な健康診断項目に入っている場合がほとんどです。糖尿病の合併症である血管や神経の障害は、一度起こると回復することはなく、進行を遅らせることが目標になります。このことから糖尿病は、早期発見と治療がとても大切な病気だといえます。ですので、健康診断で血糖値が基準(空腹時血糖110mg/dL未満・随時血糖140mg/dL未満)より高い場合には、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は、食事・運動・薬物療法を3本柱として行われます。血糖値や合併症の状態によっても異なりますが、まずは食事や運動など生活習慣の改善を図り、それで不十分な場合には薬物を使用するというのが一般的な流れになります。このうち生活習慣の改善は、糖尿病の予防にも効果的なので、糖尿病の心配をされている方は今から取り組んでみてはいかがでしょうか。

食事療法

食事療法は、糖尿病治療の根本として最も重要視されており、軽度の糖尿病であれば食事療法のみで血糖コントロールを図ることも可能です。糖尿病の食事療法とは、適切な摂取カロリーを守ることを主軸として、栄養バランスのよい食事を規則的に摂取することです。最近では、炭水化物を避けることで血糖値の上昇が抑えられるという考え方に基づき、炭水化物を制限してたんぱく質と脂質は自由に摂取するという食事法をすすめる情報源が多くあります。

ですが、この方法だと脂質が過剰になる場合があり、脂質による血糖値上昇の可能性があること、他の生活習慣病発症のリスクが上がることが考えられます。そのため、厚生労働省や糖尿病専門サイトが発信する情報源では、炭水化物を含むさまざまな食品をバランスよく摂ることをすすめています。

中でも、マグネシウムを含む食品(しらす干し、海藻、豆類など)や食物繊維を多く含む食品(玄米、根菜類、きのこなど)は、血糖値の改善に有効であるとされています。

運動療法

糖尿病の運動療法とは、運動によって血糖値を低下させ、なおかつ糖尿病の危険因子である肥満を改善する方法です。

強度の高い激しい運動は、交感神経を刺激して血糖値を上昇させることがありますので、ややきついと感じる程度の有酸素運動が効果的です。有酸素運動とはウォーキングや水泳ですが、これを1回につき20~40分、少なくとも週3回で継続するのがよいとされています。食後1~2時間の、血糖値が高くなっているタイミングで行うのも効果的です。

また、肥満の程度を評価するためには、BMI(Body Mass Index)という指標を用います。BMI(肥満指数)は体重(kg)を身長(m)の二乗で割って算出し、これを25未満にコントロールすることが必要です。
BMI=体重kg÷(身長m×身長m)

食事と運動以外にも、飲酒は適量(純アルコールに換算して20g以内で、ビールであれば中瓶1本・日本酒であれば1合)に留める、禁煙する、ストレスを溜めない、などの生活習慣改善を図ることで、血糖値の上昇を抑えることができます。

薬物療法

糖尿病の薬物療法では、内服薬とインスリンの自己注射が使用されます。この薬物療法は、食事・運動療法だけでは血糖コントロールが図れない場合に開始します。内服薬には、どのように血糖値を下げるかという作用機序や内服方法の異なる薬剤が複数あり、患者さんの血糖値の状況や生活スタイルに応じて処方されます。インスリンの自己注射は、内服薬では十分な効果が得られない場合やインスリンの分泌量が絶対的に不足している患者さんに適用されます。

 

糖尿病と匂いの関係

糖尿病では、尿の甘い匂い以外にも特徴的な匂いが生じる場合があり、これが診断や治療に活用されています。尿の甘い匂いの原因となるアセトンという物質は、呼気にも排泄されます。そのため、呼気に含まれる微量のアセトンを検知する検査機器が開発されており、糖尿病の早期発見に役立つ可能性が期待されています。

また、糖尿病の治療によって低血糖(血糖値が基準を下回り、最悪の場合は命にかかわる状態)が起こった場合には、呼気にイソプレンという物質が増加します。そこで欧米では、このイソプレンを嗅ぎつけて人間に知らせる「血糖アラート犬」の訓練が行われています。血糖アラート犬が就寝中などで患者さん本人が気付けない低血糖を感知することで、速やかな処置が可能になるのです。

一方で、匂いが糖尿病を改善する可能性についても研究が進められています。匂いを感知する受容体が鼻だけではなく膵臓にもあり、ここに「オクタン酸」という匂い物質を作用させることでインスリンの分泌が促進されるということがわかりました。しかも、この現象は血糖値が高い状況でのみ発現するそうです。

現在使用されている血糖降下剤は、血糖値にかかわらず作用するため、低血糖を起こす可能性があります。そのため、オクタン酸による高血糖時限定でのインスリン分泌は、低血糖の心配がない新しい治療薬の開発につながることが期待されています。ちなみにオクタン酸の匂いは、アプリコットやパイナップルのような甘い匂いだそうです。

匂いがサインとなる病気

病気に特有な匂いがあることは古くから知られており、医師が患者さんの体臭や排泄物の匂いを嗅ぐ「嗅診」は、明治・大正期までは標準的な診断方法でした。客観的な検査の技術が向上した現代でも、匂いが病気のサインとなる場合は多くあります。これは、病気になると体内での物質の合成や化学反応が健康な時とは異なってくることによります。代表的な病気の匂いには以下のようなものがあります。

  • 糖尿病:甘い匂い、甘酸っぱい匂い
  • 胃の障害:酸っぱい匂い、卵の腐ったような匂い
  • 腎臓の障害:アンモニアの匂い
  • 肝臓の障害:ネズミのような匂い、ドブの匂い
  • 痛風:古いビールの匂い
  • 歯周病や慢性副鼻腔炎(蓄膿症):腐った匂い
  • ひどい便秘:便の匂い

また、がんの診断にも匂いが役立つことがわかっています。どのような匂い物質なのかはまだ明らかになっていませんが、がんにも特有の匂いがあるというのです。

この匂いは、人間が嗅ぎ分けることは困難なのですが、犬や線虫ではそれが可能です。特に線虫は、尿ががん患者のものかそうでないかを90%の確率で嗅ぎ分けることができるそうです。

しかも、かなり早期のがんでも感知するということです。この方法はまだ研究段階にありますが、実用化が叶えば少量の尿を提出するだけという侵襲※のない方法でがんの早期発見ができる、素晴らしい診断方法になりそうです。
※侵襲 …医療において、生体内の恒常性を乱す可能性のある外部からの刺激。外科手術、感染、中毒など。

まとめ

糖尿病の兆候には、尿から甘い匂いがする、尿が泡立つ、尿の量が増える、などの尿の変化があります。また、口渇、体重減少、疲れやすいなどの症状がみられます。ですが、これらの症状は糖尿病以外でも起こることがあり、糖尿病でも初期の場合には全くみられないこともあります。ですので、症状だけで糖尿病かどうかを判断することはできず、確定診断には血液検査が必要になります。

糖尿病の血液検査では、血糖値とHbA1cの高値を2回以上確認することで、糖尿病という診断がなされます。血糖値は、一般的な健康診断項目に入っている場合がほとんどです。糖尿病は、早期発見・治療によって合併症の進行を抑えることがとても大切な病気なので、健康診断で血糖値が基準(空腹時血糖110mg/dL未満・随時血糖140mg/dL未満)より高い場合には、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

糖尿病の治療は、食事・運動・薬物療法を3本柱として行われます。血糖値や合併症の状態によっても異なりますが、まずは食事や運動など生活習慣の改善を図り、それで不十分な場合には薬物を使用するというのが一般的な流れになります。このうち生活習慣の改善は、糖尿病の予防にも効果的です。

適切なカロリーで栄養バランスのよい食事を規則的に摂る、ややきついと感じる程度の有酸素運動を継続する、肥満を予防・改善する、飲酒は適量に留める、禁煙する、ストレスを溜めない、などの生活習慣がよいとされています。

糖尿病の甘い匂い以外にも、病気に特有な匂いがあることは古くから知られており、匂いが病気のサインとなる場合があります。

これは、病気になると体内での物質の合成や化学反応が健康な時とは異なってくることによります。酸っぱい匂いや腐ったような匂いなど体の匂いの変化を感じたら、健康状態をチェックしてみるのがよいかもしれません。

 

この記事の監修ドクター

自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

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