目次
血糖値をインスリン注射で下げる時に気をつけること
インスリン注射は血糖値を下げる画期的なお薬です。ただ、インスリン注射は何かと誤解されることも多い薬でもあります。一旦注射を打つと一生打ち続けなければならない、というのもよくある誤解のひとつです。
薬物治療が始まるといつの間にか注射を頼りすぎてしまい、食事療法や運動療法をさぼってしまう患者さんも少なくありません。インスリン注射の正しい知識をしっかり認識しておきましょう。
インスリン注射のよくある誤解
正しい方法でインスリン注射を打つと多くの場合スムーズに血糖値をコントロールできるようになります。
ところが、インスリン注射に関しては間違っている情報が広まっていることも少なくありません。同じ内科医でも、糖尿病の専門医として最新の医療に携わっていないと、医療知識が不足していることもあります。
患者さんに間違っている知識を教えてしまうお医者もいるということを知っておきましょう。
きちんと指導して貰うためにも、単純に「近所だから」という理由ではなく、専門医が在籍している糖尿病外来で診て貰うことも大切です。
インスリン注射は糖尿病の治療薬?
インスリン注射を打っても、糖尿病が治るわけではありません。足りなくなったインスリンを外から補充し、血糖コントロールに役立てるのが注射の目的です。
インスリン注射を打っても食事療法と運動療法をさぼってしまうと、膵臓の機能はさらに衰退し、インスリンが完全に分泌されなくなれば、注射だけではカバーするのが難しくなります。
そうなると、一度開始すると二度と引き返すことができない人工透析治療を始めなければなりません。
インスリン注射で対応できる段階にいるなら、これ以上膵臓を酷使して病気が進行するのを防ぐためにも、食事療法と運動療法を軽視しないようにしましょう。
インスリン注射は太るのは一時的
インスリン注射を打つと太るから嫌、と思い込んでいる患者さんもいらっしゃいます。確かにインスリン療法をスタートすると体重が若干増えるケースもあります。ただ、この反応はごく初期に起こる一時的なものです。
一時的にも太ってしまうのは、インスリンが足りない状態だった患者さんが、注射治療を始めることで血液中に溢れていた糖を細胞に取り込めるようになるのが原因です。
インスリン注射と並行して食事療法と運動療法を行って入れば、そのまま体重が増え続けることはありません。
インスリン注射を始めて体重が増加する一方なら、原因は注射ではなく食事の内容や量、運動不足のせいだと考えられます。
インスリンで血糖値を下げると膵臓が怠ける
インスリン注射を打つと、膵臓が怠けてインスリンを分泌しなくなる、というのもよくある誤解です。ステロイド剤とインスリン注射を混同してしまい、間違った認識をする方もいらっしゃいます。
ステロイド剤を長く飲み続けると、副腎でステロイドが作られなくなります。しかし、同じ注射でもステロイドとインスリン製剤はまったく違う薬です。
インスリン注射を打つ目的のひとつは膵臓を休ませることです。血糖値を下げるために疲れきった膵臓は、インスリン注射を打っている間は酷使されずに済むため、機能が回復することもあります。
インスリン注射は一生続く?
一度インスリン注射を打つと生涯打ち続けなければならない、というのも間違った認識のひとつです。
インスリン注射を打つことで膵臓に休息が与えられ、分泌量が増えるケースが多いため、最近では症状が軽いうちから注射療法を勧めるお医者さんが増えています。
食事療法と運動療法で血糖値が良好な状態を保ち、3か月程度でインスリン注射を卒業した患者さんもいらっしゃいます。
一旦始めるとやめることができない人工透析とインスリン療法を混合しているため、医師から注射治療を提案されてもかたくなに拒む患者さんもいるようです。
膵臓が疲弊し切ってから始めるより、余力があるうちに注射をスタートするのが早く解放されるポイントです。
脱・インスリンを目指す血糖値コントロール
早いタイミングでインスリン治療をスタートし継続することで、注射の量や回数を少なくできる可能性があります。
早めに注射を打つ早期治療が成功し、たった3か月でインスリン注射を卒業できるケースもあります。
インスリン注射は血糖値をコントロールするのに抜群の効果を発揮するとは言え、飲み薬で済むならその方が楽です。医師から「もうインスリン注射は打たなくて良いですよ」と言われるためには、どんなことをすれば良いのでしょうか。
血糖値が下がらない時はインスリン注射
主治医からインスリン注射を勧められたら、断らないようにしましょう。食事療法と運動療法でも血糖値が下がらなければ、インスリン注射で下げるしかありません。
最近は早めにインスリン療法を始める方針が積極的に選ばれています。とは言え誰でも不安になるインスリン注射です。先生からも詳しい説明がなかったら、疑問を積極的に尋ね解消しておきましょう。
膵臓が疲弊し切ってボロボロになった状態でインスリン注射を始めるより、まだ機能が残っている段階でスタートすることで、再びインスリンを分泌できるようになる可能性があります。
また、インスリン注射を打って膵臓を守ることで、合併症も予防しやすくなります。血糖コントロールが悪い状態が長時間続くと、膵臓のβ細胞も疲れてしまい、どんなに刺激を与えてもインスリンを分泌できなくなります。
膵臓がほぼ機能しなくなってしまう段階に突入すると、インスリン注射だけでは対応できなくなり、人工透析を検討しなければなりません。人工透析は糖尿病治療の最終手段です。一度始めると中断することはできません。
人工透析治療を受けずに済むようにも、インスリン注射を始めるタイミングを逃さないようにすることが大切です。
運動不足・暴飲暴食は厳禁
インスリン注射が始まっても、食事療法と運動療法は血糖値対策の基本です。インスン注射を打つと血糖値を確実に下げることができます。しかし、暴飲暴食をしてしまえうと、膵臓が酷使され注射療法ではフォローすることができなくなります。
注射を打つ目的の1つは疲れ切った膵臓を休ませることにあります。食べすぎ、飲みすぎ、運動不足の生活を続けていると膵臓もきちんと休むことができず、脱インスリン注射への道が遠くなります。
不摂生な生活をしていると強いインスリンを大量に打たなければならなくなり、注射を打つ回数も増え、注射治療のストレスも大きくなります。
膵臓の状態が良くなれば、インスリン注射を打つ回数もその分少なくなって量も減るので、副作用の問題も減少します。徐々に注射を打つ回数を減らし、できれば飲み薬で済むレベルになるよう目指しましょう。
1型糖尿病とは異なり、2型は生活習慣の改善を頑張ることで、膵臓機能を復活させ、血糖値を大幅に下げることができます。
インスリンは血糖値の上昇グラフに合わせて注射する
インスリン注射は、自分の血糖値上昇グラフに合わせて打つ必要があります。むやみに追加注射を打たないように注意して下さい。
最近は低血糖などの副作用を起こしにくいインスリン製剤もたくさん出てはいますが、追加のインスリン注射は、低血糖の発作が起きる大きな原因のひとつです。
食後は一気に血糖値が高くなるので、血糖値を下げるために急いで追加注射を打ちたくなるものです。
しかし、血糖値は180mg/dlより高くなると糖が尿に排泄されるため、血糖値が上昇するスピードも徐々に遅くなっていきます。そのタイミングで追加インスリンを注射すると、血糖値が急速に下がってしまい、低血糖などの発作を起こしやすくなります。
血糖値が上昇、下降するタイミングは個人差があるので、こまめに自己測定を繰り返し、データを集めて自分の数値が変動する癖を把握できるようにしておきましょう。
適切な単位のインスリンを脂肪にしっかり注射
インスリン注射は打つ部位によって身体に吸収され、作用を発揮するまでの時間が異なります。針を深く刺して筋肉層に打った場合、素早く吸収され、皮膚の浅い部位に打ってしまうと吸収されるまで時間がかかることがあります。
インスリン注射は皮下注射ですので、皮膚と筋肉の間の脂肪部分に届くよう根元まで刺す必要があります。
インスリン製剤の単位は主治医が微調整してくれますが、打つ位置が間違っていると治療計画通りに効かせることが難しくなります。
もちろん、皮下脂肪の厚みは個人差があります。注射の針を刺す深さを微調整できるメーカーだと、正しい位置を狙いやすく、インスリンの吸収速度をコントロールしやすくなります。
当社エイコン血糖値測定器は針の太さが30Gと極めて細い上、針を刺す深さも11段階に渡って細かく調整が可能です。薬物療法中の患者さんにも「病院貸与の穿刺器より使いやすい」と高く評価されています。
血糖値を自己測定して副作用を避ける
インスリン注射を含め、血糖値をコントロールする方法は色々ありますが、基本になるのは自己測定の結果を把握しコントロールすることです。
病院や定期健診で調べる数値は一定の条件での測定しかできません。大切なのは、普段の数値変動を正確に追うことです。
そのためには家庭用の血糖値自己測定器を用いて、自分で積極的にデータを集めなければなりません。注射療法と自己測定はセットになり、薬の効果を確かめるのに、血糖値の自己測定は必須とも言えます。
また、インスリン注射で低血糖発作が起きると、眠気が強く出る状態、思考能力が大幅にダウンする危険な状態になります。
運転中や高いところで作業中に低血糖になると、自分はもちろん周りの人間にも深刻な被害を与える恐れがあります。自己測定をこまめに行うことで低血糖の発作も未然に防げます。
血糖値を良い状態にキープするためにも、自己測定で正確な情報をチェックすることが大事です。
インスリン関係の治療費を節約する方法5つ
インスリン治療を途中でやめてしまう患者さんが少なくありません。低血糖など副作用の問題や、度々注射を打つことで皮膚が変化してしまうトラブルなど、注射治療をやめたくなる理由は色々あります。
特に金銭面の負担を考えてやめてしまうケースが少なくありません。しかし、医療費が高くても、インスリン治療を自己判断で勝手にやめるのは禁物です。
基本的に、食事療法、運動療法だけでは血糖値を抑えられない患者さんが注射療法を始めます。その患者さんが注射を打たなくなると高血糖が続き症状が一気に進んでしまい、深刻な合併症を続発する恐れがあります。
主治医から「インスリン注射は行わないでも良い」と言われるまで治療を続けるためにも、医療費を節約するための具体策をピックアップしました。
自己測定の費用も決して安くはありません。正確に測定できるのは最低条件として、消耗品などの負担が少ない測定器のメーカー選びも重要です。
ジェネリック医薬品に切り替える
血糖値を下げるための薬物療法を始める場合、できるだけジェネリック医薬品を利用しましょう。
ジェネリック医薬品は先発医薬品の4~5割の値段で買うことができます。薬を処方してくれる薬剤師さんから「ジェネリックを使ってみませんか?」と提案されることもあります。
市町村でもジェネリック医薬品希望シールを配布しているので、診察券や保険証に貼っておけば自動的にジェネリック医薬品を選んで貰えます。
特許が切れた薬の成分を使うだけで、先発医薬品の有効成分と薬の効き目や成分の量は変わりありません。
高額療養費制度を使う
自分で払わなければならない医療費の上限は、年齢や所得によって決まっています。高額療養費制度は、上限からはみ出した分はお金が戻ってくる制度です。
申請手続きをすれば医療費の節約になります。医療機関を受診した費用はもちろん、薬局で支払ったお金も戻ってきます。
医療費控除制度を使う
1年間支払った医療費は、確定申告の書類手続きをすることで控除して貰える可能性があります。
控除して貰える金額は他の家族の医療費との兼ね合いや所得によっても異なりますが、月々の医療費が高い注射治療中は申告することで医療費が戻ってくる確率が高いでしょう。
注射治療から脱却する
インスリン治療を行わなくてはならない状況から、血糖値のコントロールが上手く行き、健全なライフスタイルが定着すれば注射を打たなくて済むようになります。
一昔前まで「注射治療=糖尿病末期」と思われていました。しかし、最近は軽度のうちに早めに注射治療をスタートし、膵臓を休まる方針が選ばれています。
条件によっては少し休憩することでインスリンの分泌や機能が復活することもあります。食事療法や運動療法を継続して行い、注射が必要ない状態まで回復させましょう。
センサー代が安い測定器を併用
インスリン治療を始めると自宅でも血糖値の自己測定が必要になります。病院から測定器は貸与されますが、消耗品のセンサー代が高いのがネックになっています。
しかも健康保険が適用されるのは月に60回まで。インスリン注射を始める段階の患者さんは、1日2回の測定では少し足りない印象です。60回をはみ出した分は自費になります。
当社エイコンの測定器はセンサー代が1枚39円~とどのメーカーより安く、最初に必要な本体や針なども初回にすべて無料でプレゼントしています。
厳格な血糖コントロールに測定器は欠かさないので、こまめに測って過不足のないインスリン注射を行い、1日でも早く薬を使わない生活に戻りましょう。