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糖尿病リスクを低下させるために必要なこと

糖尿病のリスクを下げる基礎知識

弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病のリスクを下げるためには、どんな方法がありますか?
A. 血圧の管理、健康的な食事、適度な運動、肥満改善、禁煙など、さまざまな方法があります。

この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得している自然療法専門医。
スコッツ先生のプロフィール
https://gluco-help.com/media/lose-weight-diabetes27/

糖尿病はどうして発症するのか

厚生労働省の国民健康・栄養調査の発表によると、日本の糖尿病患者は推計1,000万人を突破したといいます。さらに、糖尿病リスクが極めて高い「糖尿病予備軍」を合わせると約2,000万人にものぼることがわかりました。
糖尿病は、これだけ多くの人が悩まされている病気ということもあり、日頃から「糖尿病リスク」に怯えている方も少なくありません。

そもそも、糖尿病はどうして発症するのでしょうか。
その原因の代表的なものには、遺伝因子、ストレス、食べ過ぎ、運動不足などがあげられます。なかでも、遺伝によるものは大きいとされており、糖尿病になる原因の半分程度は体質(遺伝)といわれているのです。

私たち人間の身体には、生きていくために必要なエネルギー源としてブドウ糖が存在します。ブドウ糖は、身体の各細胞に届けられてさまざまな生命維持活動に使われるため、なくてはならないものです。

しかし、このブドウ糖が多すぎても身体に大きなダメージを与えてしまいます。健康な人であれば、膵臓から分泌されるインスリンによって、食事を摂った後に上昇した血糖値を正常値まで下げる作用が働きます。
ところが、なんらかの不具合が起きてインスリンの働きや作用が弱くなってしまうと、上昇した血糖値をスムーズに下げることができなくなってしまうのです。

糖質の高い食べ物を摂取すると糖尿病リスクが上昇?

糖尿病のリスクを低下させるためには、「糖質が高い食品をできるだけ控えるように」と話す専門家も存在します。しかし、高糖質の食べ物を毎日のように食べていても、糖尿病にならない人もおり、逆に低糖質を心がけているにも関わらず、糖尿病を発症してしまう人も少なくありません。

糖尿病は、砂糖たっぷりの甘い食べ物を摂取したからといって、必ずしも発症する病気ではないのです。前述した通り、遺伝因子や日頃の運動不足、ストレス、食生活の乱れなど、あらゆる要因が絡み合って発症します。

高糖質の食品や飲料を摂取すると、食後の血糖値が急激に上昇するのは確かです。しかし、「甘いコーヒー牛乳を飲んだら糖尿病になりますか?」「糖質の高いバナナを食べると糖尿病リスクが上がりますか?」といった不安を抱くのは、糖尿病の発症メカニズムをきちんと把握していない典型的な例です。

もちろん、両親などの親族に糖尿病患者が多い場合には、遺伝因子としての糖尿病リスクが懸念されるため、血糖値の急上昇を招くような食生活は控えるべきです。
糖質の多い食品を食べ続けていると、その度にインスリンが過剰に分泌されます。
もともと糖尿病リスクが高い体質の方は、これが続くと膵臓のインスリンを放出する力が減少してきてしまうのです。その結果、血糖値が高い状態となって「糖尿病ですね」と診断されることもあるため、血糖値が急上昇するような「食べ方」は避けるようにしましょう。

糖尿病を予防するには、規則正しくバランスのとれた食生活を心がけ、適切な運動を取り入れながら「健康的な暮らし」を送ることが重要だといわれています。
ときには、甘いジュースやお菓子、ケーキなどを食べても問題はありません。全体の摂取エネルギーや栄養素のバランスをしっかり把握しながら、食事を摂るようにしましょう。
また、早食いは血糖値の急上昇につながります。食事の際は、糖の吸収を抑える働きがある食物繊維(野菜やキノコ類)を先に摂取し、しっかり咀嚼してゆっくりと食を楽しむようにすることが大切です。

1日1食にすると糖尿病のリスクが上がるって本当?

糖尿病のリスクを上昇させないためには、1日3食を規則正しく食べることが大切です。
ところが、最近では肥満防止や健康のために「1日1食」にしている芸能人や有名人の方も多く見かけるようになりました。さらには、「1日1食にしてから糖尿病予備軍を抜け出せた」といった方も、実際にいるようです。

1日1食は、合う体質と合わない体質が存在するため注意が必要です。遺伝などで糖尿病リスクが高いとされている方が1日1食にしてしまうと、食後のインスリン分泌に無理がかかってしまい、糖尿病発症につながるケースも実際に報告されているのです。

きちんと3食を摂らないと、空腹でいる時間が長すぎて「食事をした際の血糖値」が異常なまでに上昇する恐れもあるといいます。これは「血糖値スパイク」と呼ばれており、糖尿病ではない人の3~5人に1人の割合で起きているとのデータが出ています。

血糖値スパイクは、糖尿病をはじめ、心筋梗塞、動脈硬化、脳梗塞、がん、認知症などのあらゆる病気を招くともいわれているため、あなどってはいけません。
「どうしても1日1食生活をしたい」といった場合には、ビタミンやミネラルが豊富なナッツや、牛乳・チーズなどのタンパク質が豊富な間食を上手く取り入れながら、血糖値の急上昇を予防することが大切です。

糖尿病のリスクを低下させるには食物繊維が有効?

糖の吸収を穏やかにすることで知られている「食物繊維」ですが、実際に1日25~29gの食物繊維を食べている人では、2型糖尿病になるリスクが低下することがわかっています。
これは、世界保健機関(WHO)の委託によってニュージーランドのオダゴ大学が行った研究で明らかとなりました。

毎回の食事で、食物繊維をしっかり摂っている人は、糖尿病リスクが16%も減少し、脳卒中のリスクは22%減少、冠動脈性心疾患のリスクは30%も減少すると判明したのです。
多くの人は、食事から摂取する食物繊維量が20g以下といわれています。これは、推奨される食物繊維摂取量と比較すると、かなり不足している状態です。

食物繊維は、精製されていない穀物に多く含まれていますが、日本では精米したお米が主食となっているため、どうしても食物繊維不足になりがちです。
糖尿病リスクを減少させるためには、イモ類、きのこ、野菜、果物、大豆製品などから、積極的に食物繊維を摂取するように心がけましょう。

食物繊維は、水溶性と脂溶性に分けられます。このうち、糖尿病リスクを下げる働きをしてくれるのは「水溶性食物繊維」です。
水溶性食物繊維は、食事から摂取した糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待されています。さらに、脂質の吸収も抑えてコレステロールを減少させる作用も見逃せません。

食物繊維の多い食品は、よく噛んで食べる必要があるため、満腹中枢に刺激を与えて「食べ過ぎ」を予防することにもつながります。糖尿病リスクを高めるといわれている「肥満」を防ぐといった意味でも、意識的に食生活へ取り入れると良いでしょう。

コーヒーは糖尿病リスクを低下させる?

「毎朝、必ずコーヒーを飲む」という方も多いかもしれませんが、コーヒーを飲むことで糖尿病のリスクを低下させられるといった報告があがっています。
これは、国立国際医療センターが、40~69歳の男女5万6,000人を対象として調査・研究をして2009年に発表したものです。

「コーヒーを1日に3~4杯飲む」グループは、「コーヒーをほとんど飲まない」と答えたグループと比較して、2型糖尿病になるリスクが女性で38%、男性では17%も低下したといいます。

どうして、コーヒーが糖尿病リスクを下げるのか、そのメカニズムは明確になっていないのが現状です。しかし、コーヒーには、ポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」が豊富に含まれており、その強い抗酸化作用によって炎症を抑制することから、糖尿病の予防につながっているのではないかと考えられています。
また、ポリフェノールが膵臓からのインスリン分泌を正常化するサポートをしてくれている可能性もあるようです。

お酒は糖尿病リスクを上げるのか?下げるのか?

お酒が好きな人は「アルコールが糖尿病リスクを上げるのか、それとも下げるのか」という点が気になるでしょう。
糖尿病リスクとアルコールの関係性については、さまざまな研究や調査が行われていますが、専門家の意見は真っ二つに分かれているのです。

デンマークで行われた研究では、週に3~4回の飲酒をする人は、まったく飲酒をしない人と比較して「2型糖尿病」になるリスクが減少すると示されました。特に、赤ワインに含まれるポリフェノールは血糖値を下げる効果や動脈硬化の予防が期待できるといいます。
1回の飲酒で大量にアルコールを摂取するより、週3~4回程度に分けて飲んだ方がより良い効果を得られるとの報告もありました。

しかし、その一方で「いかなる量でも飲酒は健康に悪影響を与える」といった考え方も存在しているのです。特に、日本人を含む東洋人の36%は「2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」と呼ばれる特定の酵素の働きが弱いことがわかっています。
この酵素が弱いと、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドの分解が非常に遅くなり、空腹時血糖値やインスリン抵抗性に影響を与えるといいます。
お酒を飲んだときにすぐ顔が赤くなる人は、ALDH2の活性が弱いため注意が必要です。

さらに、お酒に含まれるアルコールを過剰摂取してしまうと、糖尿病だけでなくアルコール性肝疾患、心臓病、膵炎、がんなどの病気を引き起こします。「適量を守れば健康にいい」と言いながらも、ついつい飲みすぎてしまう方も少なくありません。
グラス1杯のビールやワインで止められる自信がない人は、最初から飲まないことをおすすめします。

糖尿病のリスクを下げる7つの方法とは?

現代において、糖尿病は決して珍しい病気ではありません。しかし、網膜症や腎症などの恐ろしい合併症を引き起こす可能性のある病気のため、多くの人は「少しでも糖尿病リスクを下げたい」と考えているでしょう。

オハイオ州立大学の研究によると、糖尿病のリスクを下げるためには7つの方法があるといいます。これは、米国心臓病学会が発表している「ライフズ シンプル7」と呼ばれるもので、健康に長生きするためには欠かせない条件が並んでいます。
糖尿病をはじめ、心疾患や脳卒中などの病気を予防する行動指針です。

「ライフズ シンプル7」の1つ目は、血圧をしっかりと管理することです。高血圧があると、酸素や栄養素を十分に循環させることが難しくなるため、活性酸素によって血管内皮にダメージが蓄積されていきます。高血圧は自分で認識しにくいので、定期的に検査してもらうようにしましょう。

2つ目は、コレステロールを管理することです。動物性の悪玉LDLコレステロールを減らし、野菜、きのこ類、海藻、果物などを積極的に食べるようにしてください。これは、糖尿病の血糖コントロールでも重要視されています。

3つ目は、良好な血糖コントロールです。運動不足や食べ過ぎが続くと、インスリンの働きや作用が悪くなり、血糖値が下がりにくくなってしまいます。バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を行うようにしてください。

4つ目は、健康的な食事を継続することです。カロリーオーバーによる肥満は、糖尿病をはじめ、心疾患の原因になるともいわれています。脂質やカロリー、塩分、糖質の過剰摂取に注意し、3食を規則正しく摂取するようにしましょう。
特に、野菜や魚、海藻、果物などを意識的に食べることが推奨されています。

5つ目は、運動を習慣にすることです。特に、座りっぱなしの仕事をしている方は、血液循環が悪くなったり、酸素の取り込みが不十分になりがちです。
「忙しくてなかなか運動する時間をとれない」といった方も多いかもしれません。しかし、1日たった30分だけのウォーキングを取り入れるだけで、血糖値や血圧、コレステロール、中性脂肪を減少させることが可能なので、ぜひ心がけてくださいね。

6つ目は、体重管理です。肥満や内臓脂肪の増加がみられると、2型糖尿病を発症する可能性が高くなるといわれています。自分の身長や年齢から算出される「標準体重」を目標に減量するようにしましょう。
1日の摂取目安カロリーを守った食事を摂り、適度な運動を行うことが大切です。肥満と診断された人が、3か月程度かけて体重を3%減らしただけでも、血糖値や血圧が改善されることも珍しくありません。

7つ目は、たばこを吸わないことです。喫煙は、「百害あって一利なし」ともいわれているほどです。たばこに含まれているニコチンやタールは、血管を収縮させるため心臓病や脳卒中のリスクを上昇させます。現在、たばこを吸っているという方は今すぐ禁煙するよう努力しましょう。
「今さら禁煙しても大して変わらないだろう」と思われる方も多いかもしれませんが、禁煙してから数年程度で非喫煙者と同程度のリスクまで低下させることが可能です。
また、たばこをやめると、血糖値の平均を表す「HbA1c」が0.21%低下したという調査結果も出ています。

糖尿病リスク予測ツールを活用しよう

国立国際医療研究センターでは、3年後の糖尿病リスクを予測できる「糖尿病リスク予測ツール」をホームページ上で公開しています。これは、最近話題のAI(人工知能)を用いた機械学習手法によって、株式会社教育ソフトウエアと共同開発したものです。

糖尿病の既往歴、性別、年齢、身長、体重、腹囲、血圧などの12項目を入力するだけで、「3年以内に糖尿病を発症する確率」を数字で算出してくれます。
また、同年代の人の結果と比較することもできるため、自分がどの位置にいるのかを把握し、生活習慣を改善するきっかけになるでしょう。

まとめ

糖尿病は、その予備軍も含めると現在の日本では2,000万人もの人が悩まされているといいます。これだけ多くの方が発症する病気なので、決して他人事ではありません。
「肥満体質の人がなる病気」と思い込んでいる方も少なくありませんが、痩せ型でも糖尿病を発症している人は大勢いるのです。

糖尿病は一度発症すると、今の医療では完治させることができないため、健康なうちに糖尿病リスクを少しでも下げる生活習慣を心がける必要があります。
糖尿病境界型(予備軍)と診断されても、早期発見ができれば糖尿病の発病を防ぐことも可能です。
これまでの食生活や運動習慣、飲酒、喫煙などをもう一度しっかりと見直し、少しでも心配なことがあれば、早めに医師へ相談するようにしてください。

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