目次
糖尿病セルフチェックに関する基礎知識
弊社の商品開発チームの医師監修
Q. 糖尿病かどうかセルフチェックする方法はある?
A. 自宅でできるチェック方法があります!。
糖尿病かどうかセルフチェックする方法はある?
糖尿病患者・糖尿病予備群は年々増え続けています。ネットでも情報を簡単に入手できることもあり、自分が糖尿病なのではないかという疑いを持っている人も少なくありません。病院に行くのは少し抵抗がある、忙しくて検査に行くひまがない、なかなか重い腰が上がらないなどの理由でそのままにしている人も多いのではないでしょうか。
糖尿病は放置しておくと合併症が怖いため、気になったらすぐに検査するのが一番なのですが、なかなかそうもいかないこともあるでしょう。そんなときに、自分で簡単にチェックできる方法や、病院に行かなくても自宅でセルフチェックできる方法があると助かりますよね。
実は最近では、ホームページで糖尿病の簡易チェックをしたり、自宅でも病院と同じような検査ができる方法があります。検査結果も1週間程度のものが多く、価格も病院の検査より安いものもあり、手軽に利用できます。セルフチェックの方法はいくつかありますが、手軽にできるものほど診断の信頼性は低くなり、手間がかかるものほど信頼性は高くなります。
手間がかかるといっても、自分で血を採取して郵送するだけですので、実際はそこまで手間ではありません。病気はちゃんと調べるべきものですので、なるべく信頼性の高いものを利用することをおすすめします。では、実際にどういったセルフチェックの方法があるのか見ていきましょう。
ネット上で該当項目を選ぶセルフチェック方法
ネット上では、該当する項目確認をすることで糖尿病のセルフチェックができるサイトが数多くあります。基本的には当てはまる項目が多いほど、糖尿病のリスクが高くなるというものです。どのサイトも項目はほぼ同じで、具体的には以下のようなものになります。
- 昔より体重が増えている
- 頻尿、多尿になった
- 疲れやすい
- 体がだるい
- のどが頻繁に渇く
- 食べてもやせてしまう
- 目が見えにくい
- 両親や兄弟に糖尿病の人がいる
- 運動をあまりしない
- 高血圧の薬を飲んでいる
- 40歳以上である
- 野菜をほとんど食べない
- 検査で血糖値が高かったことがある
これらのチェック項目はネットとスマホやPCがあればすぐに確認できるため、今すぐ知りたいというときに役に立ちます。糖尿病患者に多い症状ばかりですが、簡易的なものですので、当然ながらこれだけで糖尿病と判断できるものではありません。このセルフチェックは、ほんの参考程度にとどめておきましょう。
茨城県立健康プラザの糖尿病危険度予測シート
http://www.hsc-i.jp/03_seikatsu/diabetes_risk_sheet.htm
茨城県立健康プラザが10年間の健康調査をもとに作成した、糖尿病のセルフチェックシートです。厚生労働省のホームページにもリンクが掲載されており、信頼性が高いです。血圧や血液検査の結果が必要になりますので、健康診断を受けた後などに確認するとよいでしょう。すべての項目を選択していき、点数が高いほど糖尿病のリスクが高くなります。
判定はABCの三段階で行われ、Cがもっとも危険となります。また、生活習慣のチェック項目もあり、各項目に対する改善目標や解説も記載されています。糖尿病に大敵なメタボリックシンドロームの改善もできます。1日の摂取カロリーの見直し方や、目標達成度のチェックシートもあり、これだけで糖尿病の予防効果が期待できます。
排尿時に尿の状態をチェックする方法
糖尿病の検査には尿検査もありますが、そういった検査ではケトン体や尿糖などの成分を調べます。ですが、見た目や臭いなどでチェックする方法もあり、それは自分が排泄するときにも確認できます。糖尿病になっていると、健康な人とは違った状態の尿が排泄されるため、それを参考にする方法です。
・頻尿、多尿になった
尿の量や回数も糖尿病を調べる上での目安になります。一般的に、頻尿とは1日8回以上トイレに行くことをいいます。また、多尿とは1日3リットルを超える排尿をすることと定義されています。高血糖になると血管外から血管内へ水分を移動させるため、のどが渇き、水を大量に飲むようになります。
そして、血管内へ移動した水も尿として排尿されますので、結果的に頻尿や多尿となるのです。ですから、頻尿や多尿は糖尿病になった可能性があると考えることができます。
・色がほとんど透明に近い
頻尿・多尿になると、トイレに行く回数が増えます。健康な人の尿の色は、淡黄色や淡褐色です。一方、頻繁にトイレに行っている人は色がどんどん薄くなっていき、透明に近い色になります。健康な人でも、水を多く飲む人は薄くなっていくため、そのことを考慮しておく必要があります。ほかのチェック項目に比べると、色は信頼性の低い項目になります。
・泡立っている
尿の泡立ちも糖尿病の判断する際のひとつの材料になります。誰でも排尿の際は泡立ちますが、泡立ちがいつまでたっても消えない場合は、タンパク尿の可能性が高いです。ただし、健康な人でもタンパク尿が出る場合はありますので、その頻度を確認しましょう。毎回消えない泡が出るようなら、糖尿病を疑わなくてはいけません。
・甘酸っぱいような臭いがする
糖尿病になると血液中の糖が増えます。それは、インスリンの働きが低下したことによるものです。そういった高血糖の状態になると、糖が処理しきれずに尿に排出されます。具体的には、血糖値が160mg/dLを超えたあたりから、尿糖が出はじめます。
尿糖は糖が混ざっていますので、その甘いような臭いとアンモニアなどの臭いが一緒になって、果実のような独特の臭いがします。はっきりと断定はできませんが、この臭いから糖尿病が発覚することもあるため、チェックする際のひとつの目安になります。
薬局で市販のものを購入してできるセルフチェック
尿を自分で見てチェックするよりも信頼性の高いチェック方法は、自宅でチェックできる市販の道具を使うことです。これらの道具は薬局やドラッグストアで購入できます。忙しくて病院に行くひまがなかったり、病院に行くことに抵抗があるけど糖尿病になっているか気になるという人におすすめです。
・自己血糖測定器を使った血糖値検査
自己血糖測定器という、自宅で血糖値を測定できる市販のキットがあります。基本的には、すでに糖尿病になっている人が血糖値を管理するために使うものですが、誰でも血糖値を調べられますので、糖尿病の判断材料として使うことができます。
種類はいくつかありますが、基本的な使用方法は同じです。指先に専用の針を刺し、出てきた血を本体のセンサーに吸い取らせるだけで測定できます。本体とは別に、穿刺器具・穿刺針(ランセット)・測定用のチップがあります。商品によっては穿刺器具や穿刺針がセットになったものもあります。
ですが、測定用のチップは医療用医薬品になりますので、法律によりネットで買うことはできません。薬局やドラッグストアで購入しましょう。穿刺針は消耗品ですので、何度も検査する場合は予備を持っておく必要があります。
・尿検査薬を使った尿検査
自己血糖測定器のように、市販の尿検査薬(尿試験紙)と呼ばれるものを使うことで尿の検査もできます。尿検査薬は第2類医薬品になりますので、薬局やドラッグストアで購入できますし、ネットでも購入できます。使い方は健康診断のときと同じように、紙コップなどに少量の尿を採り、試験紙を尿に浸すだけです。
浸すと色が変わり、何色に変わったかでその程度がわかります。この検査では、尿糖や尿タンパクの検査ができます。尿糖や尿タンパクが多いと、糖尿病を発症している可能性が高くなります。他にも自宅で尿検査ができる電子尿糖計などもあります。
これらの検査キットでちゃんと調べられるのか不安がある方のために、もっと病院の検査並みの結果が出て、自宅でもできるキットもあります。
ネットで購入して自宅でできる検査キット
最近ではネットでもさまざまな検査キットを購入でき、自宅にいながら病院の検査と同じような結果を得ることができるようになりました。中には人間ドックに近い検査ができるものもあり、検査で病院に行く必要性が感じられないほどです。手間もかかりませんし価格も手ごろですので、気軽に利用できます。どのようなものがあるのか、一部を紹介します。
糖尿病郵送検診申し込みセット
価格は2,000円程度で、検査費用などすべて込みの費用になります。このセット自体には申込書しか入っていません。購入後に申込書を郵送すると、検診キットが送られてきます。検診依頼書に記入し、取扱説明書を読みながら、付属の針で指を刺して出た血を、ろ紙に染み込ませます。針は痛みが少ないつくりになっています。
採取した血液を染み込ませたろ紙と検診依頼書を返送用封筒に入れ、提携医療機関宛に送ると、検査結果が約1週間ほどで送られてきます。
生活習慣病12項目+糖尿病セルフチェック
糖尿病以外にも、生活習慣病に関する12項目を検査できるセットです。付属のキットを使い、自分で少量の血を採血して郵送します。厚生労働省から医療機器認可を取得した検査で、病院の検査とほぼ同じ結果が出ます。価格は7,000円程度で、検査費用などすべて込みです。
検査データは管理されているので、同じIDを使用して検査をすれば、前回の結果と比較できるところが便利です。結果はメールで3日程度で届きます。郵送でも1週間程度です。検査してもらえる項目には以下のようなものがあります。
栄養状態 | 総タンパク(TP)、アルブミン(Alb) |
肝機能 | GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTP |
脂質 | 総コレステロール(TC)、中性脂肪(TG)、HDLコレステロール(HDL-C) |
血糖 | 血糖値(Gluc) |
腎機能 | 尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CR) |
痛風 | 尿酸(UA) |
糖尿病 | グリコヘモグロビン(HbA1c) |
ヘモグロビンA1c(HbA1c)郵送検査キット
この検査キットも、自分で血を採って郵送するものになります。医療機器として承認されており、検査も登録衛生検査所が行いますので安心です。検査方法では、精度の高い液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用います。価格は4,000円程度で、検査費用などすべて込みです。
血糖値が高いと、HbA1cの数値も高くなりますので、HbA1cを検査することで糖尿病の疑いがあるかどうかを確認できます。この数値は過去1〜2ヶ月の血糖値の平均をあらわしますので、過去にも高血糖があったかどうかの参考になります。また、食事をしたかどうかに関係なく、いつでも検査ができるのが特徴です。
購入後に申込書を送ると、検査キットが宅急便で届きます。取扱説明書の手順にしたがって血液を採取し、検査申込書と一緒に同封の封筒で分析センターへ送るだけで完了です。検査結果は1週間〜10日程度で、インターネットまたは郵送で確認できます。
基本的にはどの検査キットも、自分で血を採って郵送するという形をとっています。針を刺すのも簡単にできて、痛くないように工夫されていますが、苦手な人にはこの検査は向かないでしょう。中には一部の道具が別売りで、別途用意しなければいけない場合もありますので、購入の際は内容をよく確認しておくことが大事です。
まとめー確定診断は自分でせず医師に任せること
技術が進歩するにつれてどんどん便利になってきて、自宅でも病院と同じような検査を受けることができるようになりました。病院嫌いの人や忙しくて行けない人など、理由があってなかなか検査ができない人にとっては助かります。
会社勤めだと健康診断があるのは普通ですが、中にはないところもあったり、あってもそこまで詳しく調べてもらえない場合もあってまちまちです。そんなときに自宅で気軽に検査できると便利ですし、病気の早期発見や予防につながります。ですが、だからといってこういったものに頼りすぎて、病院へ行くのを疎かにしてはいけません。
病気かどうかの最終的な診断は医師がすることですし、実際に糖尿病だった場合は治療を受ける必要がありますので、結局は病院に行かなくてはいけません。こういう道具はあくまで病院を受診するかどうかの目安として、参考程度にとどめておくべきなのです。そのことを踏まえた上で、自宅でのセルフチェックを行いましょう。